多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

短距離と長距離、得意不得意は何で決まる?

そろそろスポーツの秋。昔から短距離走が得意な代わりに、長距離走が苦手だったというCBCの加藤愛アナウンサー。

9月9日放送の『多田しげおの気分爽快~朝からP•O•N』では、加藤アナが「短距離走が得意な人や長距離走が得意な人、いったい何が違うのか?」について、中京大学名誉教授の湯浅景元先生に聞きました。

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短距離と長距離の違い

そもそも短距離と長距離の走り方の違いで、身体はどう変わるのでしょう?

湯浅「スポーツ科学の世界では、走るためにエネルギーが何によって出されてるかで短距離と長距離を分けるんです」

短距離の場合、身体が酸素を十分に利用できる前にレースが終わってしまいます。
そのため短距離のエネルギー源は、グリコーゲンのような糖です。スポーツ科学の世界では、走るために主に糖を使うのを短距離とするそうです。

一方、長距離の場合は酸素を十分に使いますが、こういう時のエネルギー源は脂肪です。

その基準で距離を分けると、短距離はだいたい400m まで、長距離は1500m以上の距離ということです。

湯浅「陸上競技もよく見ると400mまでを短距離。1500m以上を長距離としているわけです。間にある800mと1500mは両方のエネルギー源を使うので中距離と呼んでるんですね」
 

得意、不得意はどうして起きる?

短距離と長距離、それぞれ得意不得意がありますが、何の違いで決まるのでしょう?

湯浅「筋肉は大きく分けるとふたつの繊維から出来てるんですね。ひとつは短距離型の速筋繊維と呼ばれるもの。もうひとつは長距離型の遅筋繊維と呼ばれるものです」

これは誰もが両方持っていて、そのために誰でも適当に長距離を走れ、適当に短距離を走れるそうです。

ただし、速筋繊維と遅筋繊維の混じり合ってる割合が人によって違うそうです。

湯浅「短距離が得意な方は短距離型の速筋繊維の多い人。長距離が得意な方は、遅筋という長距離型の繊維の多い人になるわけです」
 

トップアスリートは偏っている

特にトップアスリートの場合、短距離型の筋肉、速筋繊維と長距離型の筋肉、遅筋繊維が多めに偏っているそうです。
それを専門的に鍛えていって、それぞれ選手として活躍していくんだとか。

マラソンの高橋尚子選手は遅筋が多め、イチロー選手は速筋の塊。これは生まれ持っての才能と言えるかもしれません。

ただ私たち、ほとんどの一般人は、筋肉のバランスに、あまり偏りがないようです。

湯浅「調べてみると、速筋、遅筋、どちらかがうんと多い人は稀なんです。たいていの人は短距離型と長距離型の筋肉はほぼ半々なんです」
 

短距離の鍛え方

スポーツ好きな一般人でも速く走りたい。速筋、遅筋を増やすことができないのでしょうか?

湯浅「筋肉を増やすことは出来るんです。ただ、筋繊維の数を増やすんじゃなくて、働きを良くしたりとか、太くしたりという意味です。だからトレーニングをすると、みんな長距離を走れるし、短距離も走れるようになるんです」

まずは短距離の鍛え方です。
短距離のトレーニングには「加速走」と「セット走」というのがあるそうです。加速走というのは例えば5mから10mの助走をつけて、そこから30mから100mを全力で走ることを繰り返す方法。

セット走は、例えば10mとか50mの距離の違うダッシュを100mのウォーキングを挟みながら数多くやる方法。

短距離が少しでも早く走れるようになりたい人のためにはこんな練習メニューがオススメ。

湯浅「例えば3週間ほど10mを走ってみる。次の3週間は20mにしてみる。次の3週間は30mにしてみるというふうに、半年から7~8ヶ月かけて、だんだん100mが走れるようにするのが、一般の人に薦められる方法でしょうね」
 

長距離の鍛え方

そして長距離走の鍛え方です。

湯浅「主な方法はジョギング、ペース走、インターバルトレーニングです」

ジョギングはゆっくりと60分から90分走ります。これなら少し体力作りすれば多くの方ができそうです。とにかくゆっくり、長い距離を走るのがジョギングの大事なところだそうです。

ペース走は、決められた距離を決められた時間で走ること。例えば5kmと決めたら、ギリギリ息が切れないペースで走る。だから少し追い込むことになります。

インターバルトレーニングは速く走ることとジョギングを繰り返していく。例えば100m走って1~2分ジョギング。また100m走って1~2分ジョギングという方法をマラソン選手はよく使うそうです。

湯浅「計10本ぐらい走りましょう。トータル、1000mプラスジョギングの分ですから2000mぐらい走ることになりますね」

ジョギングはいいけど、その他はキツイ。一般の人で、ちょっとずつ長距離を走れるといいなあという方はこういった方法がオススメ。

湯浅「一般の方がやるならジョギング、スロー。ゆっくりゆっくり長い時間走るという方法が一般の方向きだと思います」
 

健康維持にオススメの運動

続いて健康寿命を延ばす観点から、皆さんにオススメの短距離走、長距離走の運動方法を聞きました。

例えば短距離では0mスプリントだそうです。一歩も前に出ていかないスプリントで、その場でバタバタバタバタッと高速ステップを10秒間。

これも立派な短距離。スプリント能力がいるんだそうです。これは転倒予防に繋がるんだとか。

今度は長距離の運動。フルマラソン42.195kmを走る方は稀です。その代わりにしようというのが30分ウォーキング。

湯浅「毎日30分歩いて、そのうちの10分間だけ、速歩、早歩き。これよって心臓血管、脳などの衰えを防いでくれるわけです」

短距離走、長距離走の得意、不得意は速筋繊維、遅筋繊維の量で決まるということがわかりました。しかし、ほとんどの人はその筋肉は半々。短距離、長距離、鍛えればそれなりに速くなるということでした。

なによりも健康のためには、無理せず運動することが一番です。 
(尾関)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2021年09月09日07時40分~抜粋

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