多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

映画やドラマの最後に表示される「フィルムコミッション」って何?

8月27日は、今からおよそ50年前の1969年(昭和44年)に映画『男はつらいよ』の第1作が封切られた日です。

渥美清さん演じる主人公の寅さんは、全国各地を渡り歩いていますので、いろんな所がロケ地として使われていました。

そこで、この日に放送された『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、CBC論説室特別解説委員の石塚元章が、「ロケ地」をテーマに語りました。

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映画の撮影が現実に!

「ロケ」は英語のロケーションの略で、それ自体が「場所を探す」という意味です。

日本ではロケハン(撮影場所の下見)やロケ弁(外の撮影時に食べるお弁当)など、和製英語のようにも使われています。

先日、大リーグの公式戦で、映画『フィールド・オブ・ドリームス』のロケ地で作られた特設球場で試合が行われ、話題になりました。

ケビン・コスナーが主役の作品で、農夫がトウモロコシ畑から野球場を作るという話。

撮影のために球場が作られ、撮影が終わってからも残していたのですが、本物の試合を30年越しに実現。

しかも、選手はトウモロコシ畑から登場するという粋な演出。

映画のロケ地であることが広く知られているからこそ、盛り上がったというわけです。
 

撮る側と撮られる側のニーズが合致

作り手にとって、ロケ地を探すのは大変。

良い場所を見つけても、まず許可を取る必要がありますし、スタッフをどこに泊めるのか、どこで食べるのかまで考えないといけません。

一方で、ロケ地の地元にとっては、作品がヒットすると観光資源となり、経済の活性化につながる場合があります。

そこで、一部の都市では積極的に撮影に協力する仕組みを作り、自治体などの団体がサポートする制度、フィルム・コミッションというものがあり、今では約350の団体があるそうです。

もちろん、双方のニーズが合致しないといけないのですが、うまく行った例の1つが、北海道の富良野を舞台とした、倉本聰さん脚本のドラマ『北の国から』(フジ系)です。

また、広島県尾道市を舞台とした大林宣彦監督の映画も有名です。

ただ、フィルムコミッションを介して、全国どこでも撮影できるというわけではなく、例えば、映画『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』で出てくるレインボーブリッジは、実はお台場ではなく、当時未開通だった京都の某ジャンクションで撮影されています。
 

聖地巡礼で人気となった場所も

そして、観る側にとって楽しみなのが、好きな作品の舞台となった場所へ実際に行って、体験すること。

同じ食事をしてみたい、あのシーンと同じ場所に行ってみたいと思い、ロケ地へ出かけることも。

撮影に使われるまでは単なる建物や普通の店でも、観光地に変わることがあるわけです。

アニメで描かれた舞台を数か所巡る「聖地巡礼」といった言葉もありますが、映画『君の名は。』では、モデルになったというだけで、岐阜県飛騨市が一躍人気となりました。

さて、最初のお話に戻りますが、日本各地を回っていた『男はつらいよ』では唯一、海外ロケがありました。

それは1989年(平成元年)公開の『男はつらいよ 寅次郎心の旅路』、オーストリアのウィーンで撮影されています。

なぜウィーンなのかといいますと、渥美さんや山田洋次監督が行きたかったからではなく、当時のウィーン市長が日本に向かう飛行機の中で、たまたま『男はつらいよ』を観て感激し、招致したのがきっかけだそうです。

ロケ地の決まり方はさまざまですが、自分が住んでいるところの近くも、何かの作品で使われているかもしれません。
(岡本)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2021年08月27日07時24分~抜粋

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