お盆を迎え、例年であれば盆踊りが各地で開催されているところですが、今年もコロナ禍でなかなか開催が難しい状況。
8月13日放送『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』の1コーナー、「石塚元章の金曜コラム」では、CBC論説室の特別解説委員である石塚元章が、盆踊りを取りあげ解説しました。
盆踊りの起源
盆踊りの起源には諸説あり、1つは時宗の開祖である一遍上人が、鎌倉時代に教えを広めるために始めた「踊り念仏」が元となっている説。
これが次第に娯楽的要素を含むようになり、念仏よりも踊りが中心となって「念仏踊り」に変わっていきます。
他には「風流踊(ふりゅうおどり)」という、それぞれの地域で歌や太鼓などに合わせ、派手な衣装を着て踊るという風習が元という説もあり、さらに念仏踊りと一体化していったそうです。
さらには「歌垣」という、男女が出会いを求めて即興で歌をかけ合うという行事が元ともいわれています。
それが現代に近づくにつれて、ご先祖様の霊を弔う目的となり、地域での娯楽イベントと化していきました。
かつては年に1回大騒ぎができるめったにない機会であり、男女関係の乱れを生むと見られていたせいか、お上からたびたび盆踊りが禁止されたこともありました。
例えば、江戸時代では人が集まって騒ぐことが一揆につながるとして禁止されました。
明治になると、政府が近代化・欧米化を進めていた中で「外国から風紀が乱れている国だと思われたくない」という考えからか、警察の取り締まりが厳しくなり、いったん盆踊りは廃れたそうです。
昭和に盆踊りが復活
それが復活するのは昭和の初め。そのきっかけは1933年(昭和8年)に発売されたレコード『東京音頭』でした。
レコードが発売されたことで演奏しなくても済むようになり、手軽に盆踊りができるということで、再び広まりました。
戦後、盆踊りは別の形で広がっていきます。
まず、『炭坑へ送る夕(ゆうべ)』(NHKラジオ)という、炭坑で働く人向けの番組で『炭坑節』という民謡が流れたことで民謡ブームが到来。
また、アメリカ文化の流入により、レクリエーションや娯楽が必要という考えがやってきます。
さらに地方から都会に出て働く人が増え、都会でニュータウンができた一方で、そこに住む人たちには地域のイベントがないことで、コミュニティを作りたいという意識が芽生えたこともあり、これらの相乗効果で盆踊りが各地で盛り上がるようになりました。
盆踊りの進化
現在、盆踊りは様変わりし、昔ながらの民謡や音頭だけではなく、今や東海地方では荻野目洋子さんの「ダンシング・ヒーロー」が定番となっています。
もともと名古屋の団体が曲を使ったことが発祥なのですが、名古屋というのがポイントで、都会には伝統的な盆踊りの曲がないため、歌謡曲やアニメソングなどを使うようになってきています。
また、踊りも各地で進化を遂げていて、例えば高知で開催されている「よさこい祭り」を北海道の大学生が見たところ感動し、それを札幌で「YOSAKOIソーラン祭り」として開催し、現在も続いています。
昔は全員参加だった盆踊りが、見る側と踊る側に分かれて行われているというのが、大きな特徴です。
今でも盆踊りが続く理由
今やインターネットの普及により、盆踊りがどこでいつ行われているのか、情報が入手しやすくなり、踊り方が動画などで解説されるなど、盆踊りの普及にネットが一役買っています。
また、騒音がうるさいという苦情に対応するため、外向けに音楽は流さず、イヤホンで聴きながら踊るという盆踊りも。
側からは無音状態で踊ってるだけのように見えるので、奇妙に感じるかもしれませんが…。
さらに今はコロナ禍で1か所に集まって踊ることはできないため、オンライン盆踊りなるものも。
最後に石塚は盆踊りの意義について、「一体感と非日常、このキーワードは絶対で、そのために集まるとか、みんなが同じ振り付けをするとか、ハメを外せるとかがポイントで、制限したい側と新しい物で派手にやりたい側のぶつかり合いが1つの歴史かなと」とまとめました。
(岡本)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2021年08月13日07時28分~抜粋