多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

半導体不足で世界がパニック!?日本復活への道はあるのか

トヨタをはじめ自動車メーカーに減産の動きが広がっているようです。原因は世界的な半導体不足だとか。
かつては日本も「半導体王国」と呼ばれていましたが、現状や将来の展望はどうなのでしょう?

8月3日放送のCBCラジオ『多田しげおの気分爽快~朝からP•O•N』では、名古屋工業大学名誉教授、齋藤勝裕先生に半導体について尋ねました。
聞き手は多田しげおです。

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そもそも半導体とは?

そもそも半導体とは何でしょうか?

物質はざっくりと3つに分けることができるそうです。
まず電気をよく流すもの。金属がその代表で「良導体」といいます。
逆に電気を全然流さないガラスや瀬戸物は「絶縁体」といいます。

その中間にあるのが「半導体」ということだそうです。
半導体とは、電気を全く通さないわけではないけど、通しにくい物質だということです。
 

さまざまな半導体

齋藤先生「世の中は90種類ほどの元素で出来ています。その元素で考えると、昔の珪素、今はシリコンと言います。それとゲルマニウム。これらは一番基礎的な半導体で、これを元素半導体と言います」

その他に2種類の金属を化合させた「化合物半導体」というものがあるそうです。
これは性能は良い反面、価格が高いそうで扱うのが大変なんだとか。

シリコンやゲルマニウムは半導体ですが、電気をあまり通さないため、なかなか性能が上がらないそうです。
それで、電導をよくするために少量の不純物を混ぜて出来たものを「不純物半導体」というそうです。

この「不純物半導体」にはP型半導体と、N型半導体というものがあるそうです。
太陽電池やLEDはP型半導体とN型半導体を重ね合わせただけの物なんだとか。

その半導体を重ね合わせたものに光を当てると、電気が流れて太陽電池になり、反対に電気を流すと、光を出すのでLED照明器具になるとのことでした。
 

半導体不足の原因

齋藤先生「一般に半導体というのは、いま言ったような物質としての半導体の他に、それを組み合わせた集積回路、これを半導体と言うもんですから、半導体が不足していると言われているわけです」

なぜ不足しているかは、単純に生産量よりも使用量が多いからだそうです。
何故使用量が多いかと言うと、自動車の需要が増えたこと。
現代の自動車は自動制御の部分が増えたため、多くの半導体が使われています。

自動車に使う半導体は一世代前の物でも供給が追い付いていない状況。

また意外にも、コロナ禍も半導体不足の原因だそうです。
オンライン化の仕事が増えパソコンの需要が高まったこと。
若い人たちが外へ遊びに行けず、家でパソコンやゲームをするようになったことが原因です。ゲーム機には最先端の半導体が積まれているのです。
 

半導体を取り巻く国際情勢

齋藤先生「それから去年の暮でしたか、政府がカーボンフリーなんて言い出したでしょ?カーボンフリーってのは炭素を使わないこと。使わないためには、いろんな機械を非常に高度に制御しなければならない。そのためには半導体が必要になるわけです」

「カーボンフリー」「カーボンニュートラル」とは脱炭素のこと。温暖化対策で脱炭素社会を目指すための世界的なSDGsの取り組みです。
となると、半導体を取り巻く今後の国際情勢が気になります。

齋藤先生「これから、うなぎ登りに増えていくでしょう。半導体が要らなくなるということはあり得ませんのでね。絶対これから増えるに決まっています」
 

半導体王国だった日本

齋藤先生「取り残されましたね。一時は日本は半導体王国みたいな感じでしたけどね」

他の国が日本以上に頑張った結果です。

半導体分野で「頑張る」とは二通りの意味があるそうです。
一つは新しくて素晴らしい半導体を開発すること。
もう一つは、既存の半導体を安く作ること。

日本が取り残された理由は価格競争。
韓国、台湾、中国。半導体分野でも、いつもの三国にやられてしまいました。これから日本がやれることは?

齋藤先生「日本がこれまで勝負してたのは価格競争です。結局負けてしまって落ち目になり、落ち目になると設備投資に回す金もなくなる。
それどころか、いま動かしている設備をメンテナンスする費用も出てこなくなる。暗い話になっちゃうんですね」
 

明るい話で終わるには?

齋藤先生「明るくするためには、将来を育てることですよ。若い技術者を育てることです。理系に行きたいこどもたちをたくさん育てて、将来のことを心配せずに勉強できるようにすること。

だいたいどこの会社も高給を取るのは経営者ですよね。経営者のだいたいは文科系の出身。どうも日本は理系に対して冷たいようですね」

ヒートアップした齋藤先生の話は、理工系で問題になった論文捏造問題へ。

齋藤先生「これは、そういうことを表しているんです。論文を書かなければ上に上がることができないし、大学に残ることもできない。
ところが大学には研究費がなくて研究できない。だったら実験をやった気になって、実験の小説でも書こうかとなりますよ」

大学の経営にはお金を出すけど、大学の研究には渋い。使うべきところにお金を使って半導体王国を復活させて欲しいものです。 
(尾関)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2021年08月03日07時22分~抜粋

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