多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

血液提供で飼い犬の命を救う「供血犬」。引退年齢と余生は?

「供血犬」という言葉を聞いたことがありますか?読んで字のごとく、輸血を必要としている犬に対して、血液を提供する犬のことです。

犬や猫も、人間と同じように事故や病気で輸血が必要となることがあります。供血犬や供血猫はあまり知られていない陰の存在ですが、ペットの治療においてかなり重要な役割を果たしています。

7月26日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』では、供血犬とその課題について、岐阜大学動物病院 麻酔科准教授 柴田早苗先生にお話を伺いました。

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犬の血液型

人間と違い、犬や猫には「献血」というシステムが構築されていません。そのため、動物病院ではそれぞれ供血犬や供血猫を飼育しているそうです。

しかしその数は決して多くありません。規模の大きい岐阜大学動物病院でも、「供血犬は5頭、供血猫は4頭」と柴田先生。

そして血液型の問題もあります。

柴田先生「10種類以上の血液型があります。その中でも特に『DEA1.1』という血液型が犬の輸血上、重要です。血液型1.1が陽性なのか陰性なのかというところを合わせていきます」

「1.1陰性」の犬は比較的少ないため、輸血も難しくなるようです。
 

採血の間隔は3週間以上

岐阜大学動物病院でも陰性の犬を飼育しています。

しかし、前の採血から次の採血までは3週間以上空ける決まりがあるため、タイミングによっては血液が使えない可能性はあり得るということです。

「もっと供血犬を増やせばいいのではないか?」と思うかもしれませんが、飼育数をそう簡単に増やすわけにはいきません。

柴田先生「院内に飼育されている供血犬だけでは限界があります。しかし頭数が増えすぎてしまうと、供血犬たちの生活環境の維持が難しくなってしまいます」

世話をする人数も限られているため、単純に頭数を増やせば良いという問題ではないのです。
 

頭数が伸びない「ドナー登録」

そのため、血液バンクやドナー制度が重要になってきています。

ドナー制度とは、一般家庭で飼われている犬や猫をドナーとして登録する制度です。拡充する方向ではありますが、現状はそううまくはいかないようです。

柴田先生「登録していただいているワンちゃんが2頭だけで、かなり厳しいです。いろいろなところでアピールをしようとはしているけれど、なかなか手をあげてくださる方がいないという現状で、上手く回っていないですね」

実際、「血が足りない」ということも起きてしまっているといいます。
 

リタイア後の生活

8~9歳まで血を提供する供血犬。それでは、引退後の生活はどうなのでしょうか。

柴田先生「基本的には動物病院で引き取り手を探しています。8~9歳ぐらいがリタイアの年齢。その頃に手を挙げていただける方がいれば引き取っていただいて、一般家庭で幸せに暮らしてもらっています。ゆっくりと暮らしてほしいといつも思っています」

その存在はあまり知られていない供血犬。

しかし供血犬や供血猫がいてくれるからこそ、一般家庭の飼い犬・飼い猫は、もしもの場合にしっかりとした治療を受けることができるのです。
(minto)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2021年07月26日07時15分~抜粋

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