よく紅茶などと一緒に食べる「クッキー」と「ビスケット」。
箱や袋に書いてあるからと特に気にも留めなかった方が多いかもしれませんが、これらの違いはご存知でしょうか。
7月8日放送『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』では、加藤愛アナウンサーがクッキーとビスケットの違いについて調査。
全国ビスケット協会専務理事の島田純さんにお話を伺いました。
名前の違いはどこから?
ビスケットもクッキーも欧米から入ってきたものですが、別にどちらかが英語でどちらかがフランス語などというわけではありません。
ではいったい、何が違うのでしょうか。
島田さん「イギリスではビスケットと呼び、アメリカでは同じ物をクッキーと呼ぶと。
同じ英語圏であっても、イギリス語とアメリカ語の違いがあるといったところですかね」
ということは、「自転車」と「ケッタ」の違いと同じということでしょうか。
なんとなく、ビスケットは固い感じで、クッキーはしっとりした感じだと思っていましたが、それはクッキーの種類にもよるので、間違っていました……。
ただ、言い方が違うということは、それぞれで言葉の成り立ちが違うということになりますが、ビスケットの方はどんな意味なのでしょうか。
島田さん「ビスケットの定義は、そもそもラテン語の『ビスコクトゥス・パーニス』という、2度焼いたパンという意味なんですね」
2度焼いたパンということは、やっぱり固いということになりますが、古代ローマにできたものとされています。
ビスケットの語源は?
日本に伝来したのは戦国時代で、種子島に鉄砲が伝来したのと同時に、カステラやボーロなどと一緒に入ってきたと考えられています。
記録で残っているものでは、1855年(安政2年)に水戸藩の蘭方医が長崎にいる時に、2月28日付でビスケットの作り方が書かれた書物を同じ水戸藩の藩士に送ったことがわかっています。
では、もう一方のクッキーとは、どんな意味なのでしょうか。
島田さん「オランダ語のケーキを語源とするというふうに、いわれています」
幕末にはビスケットがある程度伝わっていた後に、後から明治時代にアメリカからクッキーが伝わっています。
島田さん「明治以降、日本にビスケットやクッキーの作り方が欧米から入って来るわけです。
アメリカ流のレシピや製法を学んだ人たちが、クッキーというふうに呼んだということですね。
ヨーロッパやイギリスから入ってきたのがビスケットという名前を称したと」
作り方を習った人によって、クッキーと呼んだり、ビスケットと呼んだりしたようですが、150年以上経った今も名前は統一されていません。
日本独自の区分けがあった
しかし、1960年代に入り、ビスケットとクッキーの呼び名でちょっとしたもめごとが起きたそうです。
島田さん「1960年代や70年代は、いろんな商品名を付けたビスケットやクッキーがあふれていたと。
クッキーだと食べてみたらビスケットだったとか、ビスケットのつもりで食べたら脂肪分があって、これはクッキーだと。
ビスケットもクッキーも定義がないですから、消費者が思うものと商品名との間に乖離が生じたということですね」
本来はビスケットもクッキーも違いはないのですが、特定のヒット商品でクッキーやビスケットのイメージがついたのかもしれません。
そこで、公正取引委員会は1971年(昭和46年)、「ビスケット類の表示に関する公正競争規約」というものを作り、具体的に定義付けしました。
島田さん「ビスケットと申しますのは、小麦粉や糖類、植物油脂といった原料を混ぜ合わせて成型して、オーブンで焼き上げたものというふうに定義がございます。
クッキーはビスケットの1つのカテゴリーで、手づくり風の外観を有して、糖分と脂肪分の合計が40%以上の物をクッキーと呼んでもいいという規約があります」
日本では、ビスケットの1種をクッキーと呼ぶように決められているようです。
(岡本)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2021年07月08日07時39分~抜粋