多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

希少植物や動物がいっぱい!豊橋市「葦毛湿原」をみんなで守ろう。

湿原と聞くと北海道の湿原や尾瀬などが有名ですが、愛知県にもすばらしい湿原があります。

6月29日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では愛知県豊橋市にある「葦毛湿原」(いもうしつげん)を取り上げました。実はこの度、国の天然記念物に指定されることになりました。この湿原は地元の人たちの努力で保護している湿原です。

愛知教育大学の植物分類学の教授、渡邊幹男先生は愛知県の文化財保護審議会の委員でもあり、また、葦毛湿原の保護にも尽力をしています。

[この番組の画像一覧を見る]

湿原とは?

――そもそも湿原とはどういうところですか?

渡邊先生「広くいうと湿地があって、湿地には淡水と海水がある。その中でも淡水で湿った草原状態のところを湿原と言います。

非常に水分が多くて、地面に空気が少なく、植物が分解されません。普通は植物が分解されて栄養分ができるので、栄養分がほとんどないところです」

――植物にとって環境としてはよくないんですか?

渡邊先生「養分が多いところはいろんな植物が生育したがりますから、競争になります。だから栄養分がなくても生育できる植物が湿原に生育しているわけです」
 

希少な植物の宝庫

――ということは希少な植物がいるんですか?

渡邊先生「現在では、湿原、湿地に生育している植物はほとんどが絶滅危惧植物です」

――葦毛湿原にはどんな植物が生育していますか?

渡邊先生「この地域で有名なのは、例えばシラタマホシクサ。秋になると白い金平糖のような花が咲きます。これからの時期はヒメミミカキソウといって、大きさは1cmくらいの茎で花は2、3mmの食虫植物とかがあります。
これらは東海地域だけに生育しているものです。

全国的に生育しているもので湿地にいる代表的なものは、たとえば秋に咲くミズギクなどがあります」
 

湿地の森林化

――湿原は放置すると森林化すると言いますが、この葦毛湿原もそうですか?

渡邊先生「今から10年前くらいには本当に森林になってしまいました。木が生えてきて、そのまま放置したので、林になってしまって、そこに葉っぱが落ちて堆積して森林が形成されてしまった」

――そうなると、シラタマホシクサやヒメミミカキソウはいなくなったんですか?

渡邊先生「その当時はまったく見られない状態になりました」
 

回復への努力

――それを回復されたのですね。

渡邊先生「森林になったところの木を根から抜きました。
豊橋市と地元のボランティア団体、官民一体となって、森林になったところをもう一度湿地状態に戻すという作業を一生懸命やりました。
それが始まったのが2013年です」

――それによって湿原の状態に戻りつつあるのですか?

渡邊先生「今はだいぶ湿原の状態に戻ってきました。ただ2013年頃に作業したところは、また木が生えつつあるところもあります」
 

植物、動物を守る

――なんとか、湿原のまま保って、希少な植物を守ろうという人の動きですね。

渡邊先生「実際、全国どこでも湿原、湿地というのは放置していけばどんどん森林化してしまいます。それをなんとか人間の手でもう一度回復させる。

それは湿原にしか生育していない希少な植物、動物を守っていこうということです。昆虫など非常に珍しいものが多いですから」
 

地元と官民一体で

――葦毛湿原が今回、国の指定天然記念物になりますが、そういった地元のみなさんの努力なども含めて、指定されるのでしょうか。

渡邊先生「もともと非常に希少な場所ですが、それプラス、地元と官民一体となってとにかくそこをもう一度元に戻して、生物をちゃんと守っていこうということが、今回、国の指定につながったと思います」

――いいお話ですね。

渡邊先生「ところがどの団体も高齢化が進んで、なかなか若い人が参加してくれないというのが現状です。
ほぼ土地の所有者は行政ですから、行政が実際に国の宝を守っていかないといけないですね」

湿原は人の努力によって、その美しい景観が保たれているのですね。「東海のミニ尾瀬」と呼ばれる「葦毛湿原」、ぜひ一度訪れたいものです。
(みず)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
この記事をで聴く

2021年06月29日07時20分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報