新型コロナウイルスをきっかけにしてウイルスの怖さを思い知らされましたが、身近には他にもいろいろなウイルスが存在しています。
6月21日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』ではRSウイルス感染症を取り上げました。
特に愛知県ではこの春から流行しているというRSウイルス、いったいどういう病気でしょうか?
あいち小児保健医療総合センターの総診療科の伊藤健太先生に伺いました。
RSウイルス感染症とは?
RSウイルス感染症は通常は秋から冬にかけて流行しますが、今年は早くも流行が始まっています。
誰もが感染している感染症ですが、特に乳幼児が感染すると、その一部のこどもたちは重症化する可能性があるということです。
伊藤先生「基本的には、2歳くらいまでのほとんどの方が感染するウイルスです。その後も何回も再感染します。
基本的な病気の形は、風邪のようなものです。鼻水や咳が出て、熱はあることもないこともあります」
多田「こどもの頃、1度、2度はかかる病気。大人になってもかかる病気ですか?」
伊藤先生「大人になっても、知らない間にひいていた風邪がRSウイルスが原因、ということはあります」
乳幼児が危ない
多田「乳幼児の場合は重篤化するおそれが大きいんですか?」
伊藤先生「入院するようなリスクの人を診てみると、一番そのリスクを規定している因子は年齢です。
特に6ヶ月未満からすごくリスクが高くなり、また、早く生まれた方、小さく生まれた方がリスクが高い層になります」
多田「どういう病気に進行するんですか?」
伊藤先生「一般的には風邪のようなものですが、それが気管の細い場所とか、肺の中の方に進展していって、呼吸が非常に苦しくなるのが特徴です」
多田「つまり時々肺炎を引き起こすことがあるということですね」
呼吸の仕方に注意を
多田「気管支炎、肺炎は、小さい子など、呼吸のために胸が高くなったり、低くなったり、ヒューヒューゼイゼイいったりしますね」
伊藤先生「呼吸するために胸とお腹の間がペコペコへこむような陥没呼吸とか、呼吸の回数が早い。大人だと1分間に十数回の呼吸ですが、それが1秒間に1回以上呼吸するくらいの感じになることがあります」
多田「肺炎は高齢者でも亡くなることがままありますが、RSウイルスで新生児、乳幼児が肺炎になった場合、亡くなるようなことがあるんですか?」
伊藤先生「先進諸国であれば、RSウイルスの肺炎で苦しくなっても一命を取り留めることがほとんどです。
世界中で亡くなっているRSウイルスの患者さんの9割以上が発展途上国での死亡になります」
多田「これも哀しい事実ですね」
治療方法は?
多田「治療方法はどういうものがありますか」
伊藤先生「このウイルスに対して比較的どこでも使えるような抗ウイルス薬はないです。基本的には呼吸の手助け、栄養補給の手助けなど、対処療法が中心になります。
重症で入院するような患者さん、特に小児の患者さんでRSウイルスが原因の占める割合は非常に大きいです。数的にはもっとも多いウイルスのひとつです」
RSウイルスとは、あまり聞きなれないウイルスの気がしますが、実際はかかりやすいものなのですね。
予防方法は?
多田「感染経路はどこですか?」
伊藤先生「他の風邪と同じですが、咳とか鼻水の中に含まれている飛沫と接触すること。口まわりについているウイルスをいろんなところに触って広げていくという接触感染も、非常に経路としては重要です」
多田「新型コロナウイルスの感染経路と基本的には同じですね。
ということは、予防は普段の風邪、インフルエンザの予防と同じですね」
伊藤先生「そうです。予防は今の新型コロナウイルスと大きくは変わりません」
流行の原因は?
多田「今年RSウイルスの流行が早く始まっている原因は何でしょうか?」
伊藤先生「まだよくわかっていません。昨年、RSウイルスが世界的にほとんど流行しなかった。これが通常考えられないことで、その理由がわかってないんです。
そんな中、世界中でRSウイルスがこの時期から流行しだしていることになります。理由は今後、検討していくという段階です」
多田「基本的には普段から風邪はひかないように注意しましょう、乳幼児、新生児の場合はおかしいなと思った場合は早目にお医者さんに行きましょう、ということですか」
伊藤先生「呼吸が苦しくなるとか、回数が早くなる、お腹をペコペコしている姿をみたら早めに受診していただくことが重要です」
(みず)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2021年06月21日07時19分~抜粋