多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

天気予報でおなじみの「平年値」が変わる!

天気予報で「気温は平年並み」「降水量は平年を上回った」というような表現をよく聞きます。
こういう時に使われる「平年値」とは、どんな値でしょうか。

実は平年値は10年毎に更新されますが、今年がその年で、正確にいうと5月19日から新しい平年値が採用されたのです。

当日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、気象情報に欠かせない「平年値」を気象予報士でもある沢朋宏アナウンサーが解説します。

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平年値とは?

平年値が、今年10年ぶりに新しい数字に更新されます。
平年値とはどういうものでしょうか。

沢「過去30年分の気象データの平均値を平年値と呼びます。最高気温なら、過去30年間の最高気温を平均したものが平年値。平年に比べると何度高いとか低いとかという風に使われます」

沢は「ものさしにしている値」と例えます。
 

なぜ10年ごとに更新?

沢「この値を10年ごとに更新しましょう。今年は西暦2021年、1の位の数字が1になったときに10年ぶりに更新するというのがルールです」

多田「今はコンピュータがこれだけ発達しています。毎年毎年、その年から過去30年の平均ではダメでしょうか」

沢「今の時代ならすぐ計算できます。でも、そうすると面倒くさい。なぜか。1年ごとに平年値を変えていくと、ものさしが変わりすぎてあまりよくないです」

逆に100年間、同じ数値を使うと、地球温暖化による全地球的な気温の上昇が大きいのでそれもよくない。
そこで、10年に1回くらいの間隔でものさしを変えていった方がいい、ということになったそうです。
 

平均する期間は?

今回、具体的には何年から何年の数字を平均するのでしょうか。

沢「1991年から2020年までの平均値でやることになります」

10年前の過去30年の平均値と、今年の過去30年の平均値で大きく変わった点はあるのでしょうか。

沢「気温もそうですが、全体的に地球が温かくなるとこういう傾向が出てくる、というのが全部出ました。

湿度もそうです。雪の量、これは顕著に減りました。
さらに雨の量。これも顕著に夏場の雨が増えました。最近確かに、梅雨も台風も豪雨災害も多いよねという感覚が、データでも出てきました。

しかもその割には年間の量は変わらない。日本にだんだん雨季と乾季が出てきました。夏場が多いです」

台風の大型化?

他にどんな変化があるでしょうか。

沢「台風の発生する数はやや減りました。ただ台風には、熱帯の方にたまりすぎた熱をまるごと一気に緯度が高いところにもっていくという役目があった。数が減るということは、台風一個あたりのパワーは強くなるのではと言われています。

台風はそれていってくれたらいいです。ところがそれない。接近する数、上陸する数が、やや増えている。

つまり、台風は発生する数はやや減るが、パワーは強いものが多くなり、かつ、生まれた台風は日本に狙いやすいという傾向が出そうです」

また、台風による災害が増えそうです。
 

ヒートアイランド現象

多田「総じて言うと、地球温暖化の影響が数字で顕著に見えていますね」

沢「われわれ人間の肌感覚通りにデータで見ても、だんだん地球は暖かくなっている。
もうひとつ、これが街ごとの差が大きい。岐阜と名古屋はぐんと暑さがのびています。

都市化も大きな要素として関わっている。ということはこれからヒートアイランドを抑えるような街づくりをしていかなくてはいけない」

沢は最後に「いったん気温が上がったものは取り戻せないので、この先どのようにしてこの上がったものを抑えていくのか、街づくりの指標になるデータです」とまとめました。

温暖化は感覚だけでなく、実際にデータでクリアに表れているのですね。
「いったん気温が上がったものは取り戻せない」の言葉は重く感じられました。
(みず)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2021年05月19日07時18分~抜粋

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