多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

これぞ北海道の春!サケの体験放流

この時期、北海道では「鮭の体験放流」が行われているそうです。放流した鮭はちゃんと戻ってくるのだとか。

5月4日放送のCBCラジオ『多田しげおの気分爽快!!朝からP・O・N』では、鮭の不思議な生態について千歳水族館(北海道千歳市)の館長・菊池基弘さんに話を聞きました。

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明治時代から鮭は保護されてきた

5月になると、北海道の多くの川で鮭の放流が行われます。
鮭は、秋から冬にかけて生まれ故郷の川を遡上していく魚です。鮭は資源でもあり、基本的には国の管理下に置かれています。

それぞれの川で鮭が捕獲されて採卵、そして人工孵化を経て稚魚にまで育て、それをまた川に放流します。
放流された稚魚は、川を下って太平洋に出て行って、また3年ほどかけてその川にまた帰ってくるのです。

こうして資源としての鮭を保護するようになったのは、なんと明治時代から。国の事業として行われているんです。

最近は鮭の放流を一般にも体験してもらおうという体験放流が盛んに行われています。

そのうちの一つが千歳川。
ここにも明治の頃から人工孵化場があって、養殖の事業が行われています。
 

桜の下で放流

「千歳水族館」は、千歳川の畔の「道の駅サーモンパーク千歳」にあります。ここでも一般を対象に体験放流が行われています。

菊池さん「千歳は今がまさに桜の見頃を迎えてまして、この水族館のあるサーモンパークも桜が満開です」

桜が奇麗に咲くその下で千歳川に鮭を放流するそうです。

放流するのは生まれてから3ヶ月から4ヶ月程度の稚魚。大きさはわずかに4センチ程度。
放流体験は、その赤ちゃんをプラスチックのコップに2匹入れて、水族館の裏を流れている小川に流すんだそうです。
 

こどもたちに大好評

放流体験はこどもたちに好評のようです。
「可愛い」という声と、コップの中で動く稚魚の振動が伝わって、それに驚く子もいるんだとか。

菊池さん「放す時には、もう一匹ずつに名前をつけて『〇〇ちゃん、元気に帰っておいでね』って言って放すことが多いですね」

放流体験の前には、こどもたちに鮭が海を回遊して戻ってくる不思議さを地図を使って説明しているそうです。
放流の前に、この鮭がどのように育ってきて、川に放した後、どんな旅をしていくのか、ということを教えているとのこと。

菊池さん「この旅は非常に厳しくて、川に無事に戻ってくることができるのは、100匹放しても一匹いるかいないかぐらいの非常に厳しい旅なんだよ。だから『元気に帰ってきて』と声をかけてあげてねって言うように話しています」
 

北太平洋3カ国の旅

北海道はじめ日本から旅立った鮭たちは、最初にカムチャッカ半島の西側あたりのオホーツク海に入り、今年の夏を過ごすそうです。

冬になると北太平洋の西側へ少し南下、また夏になると北上して、ベーリング海まで行き、さらにまた冬になると、南下してアラスカ湾に行くんだそうです。

日本から直線距離で3000キロ以上離れた場所まで行く、まさに北太平洋横断。ロシア、アメリカ、カナダと3カ国の旅です。

日本に戻って来る時は70センチ前後の大きさになっているそうです。
ちなみにアラスカやカムチャッカ半島に分布するキングサーモンだと、1メートルを超えることもあるんだとか。
 

故郷に戻ってこられる謎

この不思議な生態はどこまで研究が進んでいるのでしょうか?

菊池さん「最近の研究でわかっているのは、自分の生まれた川の水の匂いをちゃんと覚えているということです」

自分の生まれた川が近づいてくると、その匂いを辿ってちゃんと帰って行くんだそうです。匂いと言っても人間には嗅ぎ取ることができないような、水に溶けているアミノ酸。
川ごとに、環境由来のアミノ酸の種類が違うんだとか。

菊池さん「水の中なので、人間でいえば、匂いと言うより味みたいなものかもしれません。それを嗅ぎ分けて帰って来ます。ただ遠く北太平洋から、ちゃんと日本の位置がどうしてわかるのかというのは、まだはっきりわかってないんですね」

渡り鳥みたいにコンパスがあるのか、海流を上手く使って泳いでいるのか、まだまだ謎が多い鮭。多くの川で鮭の放流が行われると、北海道はいよいよ本格的な春です。 
(尾関)
 
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2021年05月04日07時44分~抜粋

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