多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

清少納言の『枕草子』は気象予報士のバイブルだった!

『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』、気象予報士でもある沢朋宏アナウンサーがリスナーの質問に答える「沢君教えて!」のコーナー。

4月16日の放送には、「どうして『春は、あけぼの』なんでしょうか?」という質問が、リスナーAさんから寄せられました。

清少納言はなぜ「春はあけぼのが好き」だったのでしょうか。沢が気象予報士の立場から読み解きます。

[この番組の画像一覧を見る]

どうして「春は、あけぼの」?

Aさんの質問はこうです。

「どうして『春は、あけぼの』なんでしょうか。『やうやう白く……』なんて、年がら年中、いつものことでしょ? 春の夜明けはどんな特徴があるから、清少納言さんはこんなことを言ったんでしょうか」(Aさん)

「ドラえもんにタイムマシンを用意してもらえたら……」と逃げようとした沢でしたが、そうは問屋が卸しません。

「春は、あけぼの」は、清少納言の随筆『枕草子』の冒頭部分。

「確かにおっしゃる通り。夜明明けが近づけば、山際は毎日白くなっていくじゃないか!」と思った沢。

改めて枕草子を読んでみた結果、ひとつの結論にたどり着きました。
 

気象予報士的観点

沢いわく、ポイントは「そのあとの文章」。

「春は、あけぼの」の後は、「やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲の、細くたなびきたる」と続きます。

「春は、夜明けがいい。だんだんと白くなってゆく山際の空が、少し明るくなって、紫がかった雲が、細くたなびいているのがいい」という意味。

多田しげおも「なるほどね。それは他の季節とは、ちょっと少し違う風景ですよ。で、『いとおかし』となるわけですね」と納得です。

「こういうことをいうと文学作品を台無しにするようで恐縮ですが」と沢。

「春は空気中の水蒸気量が増えてくるからこそ、夜明け頃の山際に、たなびく雲がよく見られる」と、気象予報士としての目線から解説しました。
 

「夏は、夜」「秋は、夕暮れ」

冬と比べて、春は一気に水蒸気量が増えます。

夏も雲が「細くたなびきたる」ことはありますが、冬からの変化を最も感じられるのが春というわけです。

沢「夜明けにふわ~とたなびいて。寒さも和らいできて、外の朝日を眺めて見たくなるような気持ちになる」
多田「つまり、春がやってきたなぁ。夜明け頃はそれをよく感じることができますね」

と解釈することができます。

「春は、あけぼの」に対して、「夏は、夜」。

「蛍が飛ぶのもいいし、時には雨が降るのもいい」と書かれています。

「この夏は、今の我々の感覚でいう8月ではなく、もうちょっと前の梅雨時なんかも含めていたということでしょうね」と沢。

「秋は、夕暮れ。夕日のさして、山のはいと近うなりたるに、烏(からす)の、寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ、三つなど、飛びいそぐさへ、あはれなり」

雲がびっしり空を覆っていた夏から「天高い」秋になったことで、烏が巣へ帰っていく光景がよく見える季節が秋です。
 

気象予報士にとって大切なこと

沢「と考えると、四季をすごくうまく謳っている」
多田「気象予報士としては、絶対読まないといけないバイブルですね」

沢いわく、気象予報士にとって天気を当てるのは「あまり意味がない」こと。

「肝心なのは、晴れか雨かを予測できることではなく、どのような気象になるかをしっかり伝えられるようになること」だといいます。

清少納言の季節の伝え方は、気象予報士にとって大切なことを教えてくれているようです。

「勉強しないかんっていう風に思いますね。改めて勉強し直す機会をいただいた」と、Aさんに感謝を述べる沢。

遠い遠い平安時代、風景を見て四季の移ろいの特徴をしっかりと感じていた清少納言は、今も私たちに多くのことを教えてくれています。
(minto)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
この記事をで聴く

2021年04月16日08時04分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報