多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

あらためて考える「石油は何からどうやってできるの?」

私たちの生活に欠かせないものの1つといえば、石油。

ただ、あまりにも身近すぎて、何からできるものなのか意識もしたことがないという方も多いのではないでしょうか。

『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』の1コーナー「加藤愛の知ってるつもり」、4月15日の放送では、石油地質学がご専門、秋田大学大学院国際資源学研究科の荒戸裕之教授に、加藤愛アナウンサーが石油の作り方についてお話を伺いました。

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石油の元は何?

そもそも、石油は何からできるのでしょうか。

荒戸先生「大元の物質は、地質時代(数千年前よりもさらに前の時代)の生物の遺骸、死骸ですね。生物なので身体が有機物でできているわけですね」

生物とは例えば、海洋のプランクトンや陸上にある植物などがあたるそうで、有機物とは炭素原子を含む化合物のことを指し、燃やすと水や二酸化炭素に分解されるものです。

では、これがどうやって石油に変わるのでしょうか。

荒戸先生「有機物は死ぬと、例えば海の底とかに溜まるわけですね。

普段は海底にバクテリアなどの微生物が住んでまして、その死骸を分解してしまいます。

ところが分解されない時があって、バクテリアが棲んでいないようなよどんだ海とか、酸素があまりないような海の底に生物の遺骸が溜まると、それがそのまま地層の中に残っていくと」

どこでもできるものではないものですし、かなり時間を要する現象ですね。
 

どうやって石油に変わる?

そして、この遺骸からさらに変化が起きることで、石油の元ができあがります。

荒戸先生「そういう地層ができると、有機物をいっぱい含んだ地層ができあがって、これが地下深くに埋没していって熱を受けると化学的に変化して、最終的には炭化水素という物質になるわけですね。

炭化水素というのは炭素と水素を含んでいて、これが石油を作っている構成物なんですけど、地下で化学変化が起きるわけですね」

この炭化水素が液体の場合は石油、気体の場合は天然ガスと呼ばれるものになるわけです。

石油ができるまでにかかる時間ですが、ヨーロッパにある北海油田の場合、推定1億5千万年前のもの、日本国内で産出される石油は推定1,500万年ほど前のものを掘っているそうです。
 

どんな場所に石油は多い?

石油がたくさん埋蔵されているところを「油田」といいますが、どんな場所に石油が集まっているのでしょうか。

荒戸先生「炭化水素は少しずつ染み出してきて、地下のいろんな場所に拡散していってしまうんですが、基本的には水より軽いので、だんだん浅い方へ移動してしまうんですね。

最終的には通り道があれば地表に出てしまうんですけど、通り道が途切れていると途中で止まっちゃうんですね。

車の渋滞のように、次から来るものがどんどん溜まっていく」

そうして石油や天然ガスが溜まった場所のことをトラップと呼ぶそうですが、そこからどうやって取り出すのでしょうか。

荒戸先生「何千mという井戸を掘って、穴を開けると噴き出してきます。

どうしてかというと、石油って水より軽いので、地下に溜まると上へ上へ上がろうとする力が圧力となって、そこに穴を開けると噴き出してきます。

これを自噴といって、通常は自噴で取り出しますが、圧力がだんだん下がってくると出てこなくなるので、ポンプを付けて汲み上げてますね」

それなら溜まってる場所を見つけてどんどん掘っていけば、いつかは石油が見つかるのではないかと思いそうですが、地中深くを掘るためにかかる費用が莫大。

5,000m掘るのに100億円かかるそうで、大きな資本力がないとできない事業ですね。
 

石油は実は枯渇しない!?

こうして何億年もかけてできるものに対して、特にこの100年ほどの間で急激に使い続けている状況。

また、石油は人工的に作ることができない再生不可能資源で、いつかは枯渇するのではないかといわれていますが、本当に地球上からまったくなくなるという意味ではないそうです。

荒戸先生「地下にある量の4分の1ぐらいしか、最終的には採れないのです。

だから、例えば中東の巨大な油田が枯渇する、なくなるというのはゼロになるのではなくて、自噴する量がほとんどゼロになるというのが枯渇の状態で、地下にはその3倍は残ってるわけで、採れないだけなんですね」

とはいえ、採れる石油については限りある資源。

リサイクルできない限りは、今後も大事に使うことを意識する必要がありそうです。
(岡本)
 
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2021年04月15日07時40分~抜粋

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