多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

お坊さんや落語家の足が痺れないのはなぜ?

正座をすると避けられないのが足の痺れ。職業柄、住職や落語家の方はどのようにこの痺れを乗り越えているのでしょうか?

4月8日『多田しげおの気分爽快~朝からP•O•N』では、加藤愛アナウンサーが、京都大学大学院薬学研究科の生体機能解析学分野の教授、金子周司先生に聞きました。

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足が痺れるとは?

足が痺れると、手で触っても、触られた感覚すらなくなります。
どうして感覚がなくなってしまうのでしょうか?

金子先生「簡単に言えば血が通わなくなるからです。医学用語では虚血って言います」

お尻で、太ももを潰してしまう結果、血管が潰れて血が通わなくなるんだそうです。血がなくなったことで、神経が麻痺してくる、そんなイメージに近いんだとか。

血流がないため、冷えも起こります。それがさらに感覚がなくなる要因にもなるそうです。
 

痺れの原因は活性酸素

足の痺れは、正座の最中ではなく、正座を止めた時に襲ってきます。
どうして足を崩すと痺れが起きるのでしょうか?

金子先生「今まで途絶えていた血流が、今度は一気に流れ出すんですね。そうすると活性酸素と言われる、神経を刺激するようなものが出来上がって、それが神経を思いっきり刺激するので痛みを感じるわけです」

実は、このことを発見したのは金子先生の研究グループ。
活性酸素が感覚神経のセンサーを刺激して痺れるということを、2016年に発表しているそうです。
 

お坊さんはなぜ痺れない?

ただ不思議なことに、世の中には正座を長時間していても足が痺れない人がいます。
例えばお坊さんや落語家です。お経の後、立ち上がったお坊さんがこける、話し終わった落語家が歩き始めたらこける、そんな話は落語にもありません。

痺れを我慢しているのかもしれませんが、そんな素振りも見えません。
よく言われるのが「慣れ」ですが、実際はどうなっているのでしょうか?
この疑問に対して、金子先生の答えは驚くべき内容でした。

金子先生「血管の通り道は人によって違うんですね。例えば、手のひらでも眼底でもそうです。正座をよくされる方は、それにだんだん身体が順応してきて、別に流れる血管を作っていくんです」
 

人体の不思議

迂回して出来た血管を「副側路」といいます。
正座をして太腿が圧迫されて、血流がなくなるのなら、圧迫されていない部分に血管を通してしまえと、お坊さんや落語家の身体の中で新しい血管が作られていたわけです。

副側路で血流が保たれているので、足を崩した後の活性酸素は発生しません。だから痺れないという理由だったのです。
お坊さんや落語家は職業に合わせて身体が変わっていたというわけです。この人体の不思議で新作落語が作れそうです。

こうした職業に就いていない方でも、実は痺れない方法があります。

血流を止めなければ痺れの原因になる活性酸素は発生しません。
つまり、正座の間にこそこそと動いて血流を止めなければいいわけです。
 

痺れの原因が役に立つ

金子先生のグループが行った正座の痺れや痛みの研究、実は新しい薬の開発に役立てられようとしています。

正座した時と同じような痺れを感じる症状が二つあるそうです。
一つは糖尿病患者。足の血管が駄目になって常にチリチリしたような灼熱痛という痛みを感じる患者が多いんだそうです。

もう一つは癌患者。抗がん剤の中には、正座で起きる種類と同じような痺れを起こしてしまう抗がん剤があるんだそうです。

金児先生「そういった方々の副作用を止めるための薬が作れる、ということで、我々は研究しています」

正座の痺れの原因が解明され、それが糖尿病、抗がん剤へと応用されようとしています。 
(尾関)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2021年04月08日07時41分~抜粋

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