多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

コンテナ船座礁で世界中が注目!スエズ運河ってどんなところ?

エジプトのスエズ運河では、3月23日に大型のコンテナ船が座礁して通行できなくなっていましたが、29日になり6日ぶりに通行が再開されました。

3月30日『多田しげおの気分爽快~朝からP•O•N』では、スエズ運河についてCBC論説室の石塚元章特別解説委員が説明しました。

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明治維新の頃に完成

ヨーロッパとアジアを結ぶ船の航路として非常に重要だというスエズ運河。
地中海と紅海で挟まれた、エジプトの狭い陸地を、グーグルアースやヤフーマップなどでどんどん拡大していくとカミソリでつけたような溝があります。
これがスエズ運河です。

スエズ運河が完成したのは1869年、日本でいうと明治の初めです。
当時は今ほど大きくはなく、かなり狭くて浅かったそうです。通れる船は5000トン級の船がやっとだったんだとか。
 

新幹線で例えると

今回座礁した船は22万トン。20万トン以上の船が通れるところまで、後に何回も改修工事をして、運河を広げてきたわけです。

ちなみに座礁した船は、長さが400m、幅59m。映像で見ると近くで作業している船が小さく見えるほどの大きさです。

多田「10両以上ある東海道新幹線の一編成が400m。あれと同じ長さ」
石塚「東京タワーが333mですから、あれを横倒しにしたよりも長いです」
 

昔から考えることは一緒

地中海と紅海で挟まれた陸地は160~170キロの距離で「スエズ地峡」とも呼ばれます。「地峡」というのは地面の海峡。
陸と陸に挟まれていると「海峡」ですが、海と海に挟まれていると「地峡」ということです。

この狭い部分を抜ければ近道が出来ると考えることは、昔も今も同じで、古代エジプトには、すでにあの辺を王様たちが一生懸命運河を掘っていたそうです。

地中海から紅海へ完全に抜けないまでも、エジプトの内陸部から紅海の方へ、つまりアジア側へ行く運河を作っていたんだそうす。
 

作ったのは誰?

多田「せいぜい100~200mなら分かりますけども、スエズ運河の全長は190キロほどでしょう?世界地図で見るから狭い所だけど、そこに立ってる人間からすれば名古屋大阪間ぐらいの距離。エジプトは偉大ですね」

石塚「でもやったのはレセップスというフランス人です」

フランス人のレセップスというのは、カイロで生まれた外交官。父親も外交官でした。そのためエジプトに人脈もありました。

ナポレオンが運河を作りたがっていたことを見て育ったため、スエズ運河の重要性も理解していました。
そこでレセップスは出資を募りスエズ運河会社を設立し、スエズ運河を建設しました。

石塚「レセップスがいなかったら、そんなバカなこと、で終わってたかもしれない」
 

外貨収入の目玉

石塚「スエズ運河は、フランスとイギリスが取り合いっこしたんですけど、最終的にはエジプトが国有化宣言をして、今はエジプトのものです」

現在エジプトには運河庁があり、年間何百億という通行料収入があるそうです。エジプトにとっては外貨収入の目玉です。
シーシー大統領はスエズ運河の改修に力を入れているんだとか。

石塚「ここを拡大して大きい船がたくさん通れるようにすれば、収入が増える。本当はこの運河は、時間差をつけて一歩通行なんです。ところがその後の改修で、一部は鉄道で例えると複線化したりしてるんですね」
 

1割以上が必ず通る

エジプトによると、2019年には18,800隻ほどの大型船がスエズ運河を通過したそうです。世界で船が運んでる物流の12%は必ずここを通ってると言われています。

ここがないとアフリカの南端、喜望峰をぐるっ周らないといけません。そうなると7~10日ほど余分にかかってしまいます。

石塚「しかも物とか商品とかによっては、スエズ運河はヨーロッパや日本にとっても重要なんですね」
 

世界への影響

今回起こった座礁事故では、世界各国に影響が出るようです。
例えば中東で産出される量が大きい原油。日本からは、中東はスエズ運河より、こちら側にあるので、今回の座礁による原油の被害はそれほど大きくないと言われています。

しかしヨーロッパは逆です。中東の原油はスエズ運河を通って運ばれているため、被害が出ているんだとか。
日本に影響が出ているのは、スエズ運河を通って来る自動車部品や家具だそうです。

石塚「商品によって、国によって色々違いは出ますけど少なからず影響があります」

アメリカの西海岸にも影響が出ているそうです。アメリカの東海岸へヨーロッパから物を運ぶ時は大西洋を渡ればいいですが、アメリカの西海岸は、ヨーロッパから見たら大陸の向こう側です。

そのためアジアへ運ぶ船が、ついでにアメリカの物を積み、アジアで仕事したら、そのまま太平洋を横切って、アメリカ西海岸へ行くという船もあるそうです。
転じてアメリカの西海岸にも影響があると言われているそうです。
 

コンテナ不足に拍車がかかった?

石塚「世界的にコンテナ不足なんです。コロナになったんで、巣ごもり消費で必要な商品が変わってきて、コンテナで運ぶようなものが多くなったんです」

今回座礁したのも大型のコンテナ船。映像で見ると溢れんばかりのコンテナが積まれています。1万8000個ほどのコンテナが積んであるんだとか。

座礁した船だけではなく、スエズ運河の両側で渋滞している船もコンテナを積んでいます。今回の物流の停滞がそのコンテナ不足に拍車をかけるんじゃないかといわれているそうです。

石塚「コンテナで運んで、空のコンテナで次の物を積むと、連携して動いていたのが、ただでさえコロナでちょっとまずいのに、この事故で影響が出ているという指摘もあります」

やっと通行が再開されたスエズ運河ですが、今度は賠償の問題が発生しそうです。大量の物量が動き出したら、大量のお金が動くのでしょうか?一難去ってまた一難です。 
(尾関)
 
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2021年03月30日07時19分~抜粋

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