『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』で最終金曜の恒例となっているのが、「博士クイズ」。
毎回、その道の専門家の方が出題していますが、3月26日放送のテーマは、「プラネタリウム」。
世界最大級のプラネタリウムが誕生してから今年で10周年となった名古屋市科学館で、主任学芸員を務める毛利勝廣さんが出題しましたが、ここではその一部を紹介します。
観客数日本一は名古屋
名古屋で最初にプラネタリウムができたのは、同じく名古屋市科学館で1962年(昭和37年)のことで、当時も世界トップレベルのものが設立されました。
全国に300以上ほどのプラネタリウム施設がある中で、現在も観客数日本一を誇っています。
プラネタリウムという言葉は、惑星を意味する「planet」と、見る場所を示す「arium」を組み合わせた造語、水族館を「アクアリウム」と呼ぶのと同じですね。
オランダのアイジンガーという人が200年以上前に考えたといわれています。
プラネタリウムで星が映る仕組みですが、まずドーム状のスクリーンを作り、基本は真ん中から光学式の機械を使って星を投影。
今はさらに、いろんなところから映し出すことで、宇宙旅行など多彩な映像を流すこともできます。
名古屋市科学館で10年前に建設したプラネタリウム関連の費用はなんと25億円、そしてスクリーンは直径35mと世界最大級のものですが、そこで第1問。
「このスクリーンに映し出される星の数はいくつでしょうか?」
映す星の数は決まっている
加藤愛アナウンサー「これはたぶん本当にもう、たくさんだと思うんですよ。だから私が想像してるよりも上を行くとして、1億!行き過ぎかな……」
確かに「幾千万の星が」などと表現することがあり、星自体は数えきれないほどありますが、さすがに多すぎるようです。
ここで多田が「1万より多いか少ないか」というヒントを出し、加藤アナは「多い」と答えましたが、正解は1万個より少ない「9,100個」。
「実際の星の数は9,100個ではきかないのでは?」と思いがちですが、プラネタリウムの性能の限界というわけではなく、この数にはきちんとした根拠があるそうです。
毛利さん「私たちの目で見ることができるすべての星をできるだけ見栄えを再現する」
名古屋の都心では9,100個も見られませんが、地球上で最高に見られる状況と同じというわけで、6.55等星までの星を表示しています。
さらに光ファイバーで9,100個すべての星をつなぎ、光の瞬きもきちんと1個1個再現しているそうです。
これだけのすごい施設が現在、800円で見られるというのは、ありがたいことですね。
200年前のプラネタリウム
現在のようなタイプのプラネタリウムですが、ドイツのカールツァイスという会社が1923年(大正12年)、ドイツ博物館のために作ったのが始まり。
ただ、9,100個もの星を再現しないまでも、あるものだけに限定して見せるようなものは以前からあったようですが、ここで第2問です。
「以前から簡単な仕組みのプラネタリウムがありましたが、これは主に何の動きを再現したものでしょうか」
ヒントは、最初にお話のあったプラネタリウムの語源……というと、ほぼ答えのようなものですが、加藤アナは「惑星!」と解答し、これは正解。
プラネタリウムと初めて名乗ったアイジンガーさんが作ったのは、天井の真ん中に太陽があり、惑星がその周りを回っている仕掛けですが、200年以上経った今でもミュージアムとして残されていて、現在の惑星の位置が再現されています。
プラネタリウム誕生の理由
実はアイジンガーさんは天文学者ではないのですが、このプラネタリウムを作ったきっかけが、ロマンティックなものではなく、けっこう深刻なものです。
当時、惑星が同一線上に並ぶ「惑星直列」が起きると言われていて、何か天変地異が起きるのではないかと噂されていました。
それによりデマを流して不当に儲けたり、不安に思う人が現れたりと、世の中が混乱に陥っていました。
そこでアイジンガーさんが、自分の家の天井に7年かけてしかけを手づくりし、計算上たまたま並ぶだけで、天変地異と連動するわけではないと人々に伝えていたのです。
新型コロナでデマが流れることがありますが、正しい科学知識を得ることで、デマに惑わされないようになるという点は、200年前も今も同じですね。
プラネタリウムを公開する理由
最後にプラネタリウムを通じて最も伝えたいことについて、毛利さんに伺いました。
毛利さん「プラネタリウムをきっかけに、ぜひ本物の星を見て欲しい。
星空をきちんと(プラネタリウムで再現)するのも、本当の星をご覧いただいた時に迷わないように。
それから、日が沈んで最初は街中の空にしますが、名古屋の空でもこれだけ見えていると。
街中だと見えないってあきらめる方が多いんですけど、そうではなくて見えている。
それから、ノーベル賞級の話をする時もあり、例えば系外惑星が見つかったという時にも、それはあの星座のあそこといって、場所はわれわれの空の上にあるんですね。
関係ないことではなくて、みなさんと空をつなげたい、つながって欲しい、それがわれわれの願いです」
星の話となると、普段の生活から離れた話のように感じることが多いのですが、プラネタリウムを観賞した後に実際の夜空を見ると、今までとは違った気づきがあるかもしれません。
(岡本)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
この記事をで聴く
2021年03月26日08時15分~抜粋