多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

そもそもIOC(国際オリンピック委員会)とはどんな組織?

今月10日から3日間、IOC(国際オリンピック委員会)の総会がオンラインで行われています。
議題には当然ながら東京五輪の開催についても含まれており、その審議に世界が注目しています。

そもそもIOCとはどんな組織なのしょうか。
3月9日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、CBC論説室の特別解説委員・石塚元章に話を聞きました。

[この番組の画像一覧を見る]

オリンピックのためのクラブ

改めてIOCとは何でしょうか。
IOCの本部はスイスのローザンヌ。国際法に基づいてつくられたのではなく、極端にいうと単なる「仲良しクラブ」です。みんなで集まってオリンピックしようよ、という団体です。現状、肥大化していろいろな問題を抱えています。

多田「国際オリンピック委員会IOCとはどういう組織でしょうか?」

石塚「できたのは1894年。近代オリンピックの父と呼ばれたクーベルタンが、古代オリンピックのいいところをとってもう一回やろうと提唱した。そのために組織が必要だと、パリに集まって作ったのがIOCのはしりです」

多田「ヨーロッパの貴族が集まって、スポーツの祭典、平和の祭典をやろうというのが一番最初ですね」

石塚「だんだん世界的になり、日本も参加しませんか、そのうち女性も参加しましょうと、ずっとやってきて、今9代目の会長がバッハさんです」
 

商業主義への転換

石塚「IOCの歴史の転換点は1976年のモントリオール大会です。その前が石油ショックで、世界的に経済がよくなくて、モントリオール大会で大きな赤字を出します。

だから、モントリオール大会の後『オリンピックは嫌だ、だって赤字になるじゃないか』と誰もやり手がなかった。

その時に、ロサンゼルスがやってもいいと言い、IOCがこれに飛びついた。その時、ロサンゼルスは条件を出しました。赤字になるのは困る。わかりやすくいうと『オリンピックを資金を集める大会にしてもいいか』という条件を出しました。

IOCはそれを認めました。ロサンゼルス大会は商業主義化への第一歩と言われています。
なぜそうなったか。それを認めないと、そこでオリンピックは終わっていたかもしれないからです」

多田「IOCは仲良しクラブですが、オリンピックで集金をしないと存在できないという体質になったんですね」
 

IOCの収入

石塚「IOCの収入はテレビ放映権が7割です。特にアメリカが圧倒的に多い。あとはスポンサー料など、これでほぼ90%です。

IOCはそういう風に集めたお金を各国の競技団体に分け与えます。ここから先はアスリートに関わってきます。

昔は、極端にいえばかけっこしてどっちが早いねという世界だった。ところが、アスリートがすごく能力が高まって、人間技とは思えないレベルで競争します。トレーニング、道具にお金がかかる時代になってきました。

そうすると各国もあまり綺麗事を言ってられなくて、IOCからもらえるお金がうれしいとなる」

多田「その国のスポーツ団体が配分を受ける、それで選手を強化しているという実態が出てきました」
 

IOCからの分配金

多田「最初はヨーロッパの貴族たちの楽しみであったかもしれませんが、あくまでもスポーツの祭典、平和の祭典としてやってきました。

ところが、オリンピックを維持するためには、お金を集めなければいけない。さらにはその金で世界中の選手の強化が行われているという実態もできてきました」

石塚「IOCからの分配金がなかったらやっていけない、という競技団体もいくつもあるわけです」
 

次の世代のオリンピック

多田「10日からの総会の一番の議題は、なんとか東京オリンピックがやれるように何かいい方法はないか、ですね」

石塚「もうひとつあって、次はパリ、その次はロサンゼルスと決まっています。その次2032年にオーストラリアのブリスベンがほぼ内定しています。これを今回の総会で正式に決めていこうとなっています。

もうひとつは将来どうやって稼ぐか、ネットをどう利用するかとか、次の世代のオリンピックのことも話し合いたいみたいです。

アスリートの気持ちを大事にしようと思えばこそ、オリンピックは綺麗事だけでは運営できない大会になってきているのです」

オリンピックは平和の祭典であると同時に、大きくなりすぎ、お金と切り離せないものになってしまったようです。
(みず)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
この記事をで聴く

2021年03月09日07時22分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報