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紙が勝手に折れてできあがる紙飛行機 いったいどんなしくみ?

古くから日本で伝わる遊びの1つといえば、折り紙。

最近は人の顔やキャラクターなど、とても普通の紙を折ってできたとは思えないものもありますが、今も昔も人間が紙を折るという手法は変わりません。

ところが最近、自動的にできあがる折り紙というものがあるのをご存知でしょうか。
機械やロボットが紙を折るというわけではなく、なんと紙そのものが自動的に折れて作品ができあがる…実物や映像を見ないとピンとこないかもしれませんが。

実は紙ではなく、紙に引く折れ線を書く時に使うインクに秘密があるそうですが、いったいどんな仕組みなのでしょうか。

芝浦工業大学工学部電気工学科の重宗宏毅助教に電話でお話を伺いました。

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不思議なインク

まずは、その特殊なインクの仕組みについて、解説していただきました。

重宗先生「紙と印刷したインクの間の物理化学反応を用いていまして、印刷した直後に1回山折りになるんですね。

山折りになってだんだん元に戻った後に、今度は谷折りになっていくという。

最初伸びた後、縮んでいくのかなと。そこまではなんとなくイメージしています」

そのインクは色をつけたりする一般的なものとは異なり、重宗先生の研究室でいろいろと試した結果、折れる反応が良い特殊なものです。

紙の繊維を伸びたり縮ませたりすることで紙が折れるそうですが、さらに折れる角度も調整できるそうです。

重宗先生「調整できることは実験しておりまして、印刷する線の幅が大きい程よく折れ曲がる。

だいたい狙った角度に対して±5度ぐらいの精度で折り曲げることができます」
 

折り順はどうやって決める?

インクによって自動的に折れ曲がることはわかったのですが、折り紙で大事なのは折る順番。

一斉に折れるとぐちゃぐちゃになりますし、順番が違えば作品はできません。

ということは、折れるタイミングを調整することができるのでしょうか。

重宗先生「いろいろなインクを調整しまして、だいたい5分から15分ほどで折れ曲がるものから、2日かけて折れ曲がるような、植物のようにゆっくり動く紙を作りまして。

5分の所が先に曲がって、次3時間の所が曲がって、10時間の所が曲がってというふうに、順序をつけて折れ曲がることにも成功しております」

研究の結果、紙飛行機ができあがったのですが、ただし、今の段階ではできないこともあるそうです。

重宗先生「印刷した瞬間に、紙と溶液の反応がスタートしてしまうので、今のところ(好きな時に折り紙をスタートさせることは)できません。すぐに始まってしまいます」

これも研究が進めば、改良されるかもしれませんね。
 

身近な商品にも折り紙のアイデアが

ここまでは近未来の折り紙について紹介しましたが、折り紙そのものに目を向けますと、単に立体的な作品ができて面白いというだけではなく、実は折り紙の技術について、他の分野への応用も期待されています。

重宗先生「1つの応用例としては、スペースシャトルに乗せるために容積が限定されているので、あまり大きい状態で物を持っていけないんですね。

太陽光パネルは大きいほどより電力を発生することができるので、まずは折り紙の技術を使って畳んだ状態で宇宙船に乗せて、宇宙に行った後に太陽に向けて展開して、大きな構造をつくると」

さらに私たちの身近なところにも、折り紙の技術が隠されているようです。

重宗先生「缶チューハイの模様(表面にあるひし形の凸凹)、ダイヤモンドパターンとか吉村パターンとかいわれるんですけど、特定の方向からの力には強くて、特定の方向からの力には弱いと。

缶は上から下に圧縮した方が縮むので、この方向に圧縮したいというものがあるので、その方向に折りパターンを入れるということも応用されています」

このほか、コンパクトに折り畳まれた地図や観光地のパンフレットなども、折り紙の技術から来ています。

折り鶴や紙飛行機など、何気なく折っているものもありますが、意外と奥深いもののようです。
(岡本)
 
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2021年03月04日07時23分~抜粋

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