一時期は毎日のように報道されていた環太平洋パートナーシップ協定＝TPP。
日本人の今後の生活と密接に関わっているTPP、現在はどうなっているのでしょうか。
2月24日放送の『多田しげおの気分爽快!!～朝からP･O･N』では、神戸大学経済経営研究所教授、家森信善先生に電話で伺いました。
参加は11カ国
最近は、世界各国が地域ごとに協定を決めて自由貿易を整備しています。
日本をめぐる地域間の協定のひとつがTPPです。
環太平洋の地域の国々でいろんなルールを決めて自由貿易をやっていきましょうということです。
参加している国は、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、シンガポールなど。もともとは米国も入っていましたが、今は抜けて、11カ国です。2018年3月に合意、2018年12月30日に発効しました。
日本をめぐる地域間の協定のひとつがTPPです。
環太平洋の地域の国々でいろんなルールを決めて自由貿易をやっていきましょうということです。
参加している国は、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、シンガポールなど。もともとは米国も入っていましたが、今は抜けて、11カ国です。2018年3月に合意、2018年12月30日に発効しました。
牛肉が安くなった！
この発効によって、関税などが変わってきています。
例えば牛肉の関税はかつて40％くらいありました。TPPの加盟国から入ってくる牛肉については現在25％まで下がりました。だから、牛肉は安くなっています。
米国はTPPに入らなかった。オーストラリアやニュージーランド、カナダは入っていて関税が20％台なので、そちらから買いましょうとなりました。
米国は困り、2020年に日米貿易協定が結ばれました。そこで米国の牛肉の関税もTPPの国と同じ税率にすると決めていました。
だから、最近はまた米国の牛肉が入ってきています。
TPPによって、将来にかけてどんどん税率を下げて、最終的には限りなくゼロにして、どんどん海外から安くいろいろなものが入ってくるはずです。
例えば牛肉の関税はかつて40％くらいありました。TPPの加盟国から入ってくる牛肉については現在25％まで下がりました。だから、牛肉は安くなっています。
米国はTPPに入らなかった。オーストラリアやニュージーランド、カナダは入っていて関税が20％台なので、そちらから買いましょうとなりました。
米国は困り、2020年に日米貿易協定が結ばれました。そこで米国の牛肉の関税もTPPの国と同じ税率にすると決めていました。
だから、最近はまた米国の牛肉が入ってきています。
TPPによって、将来にかけてどんどん税率を下げて、最終的には限りなくゼロにして、どんどん海外から安くいろいろなものが入ってくるはずです。
イギリスの動向
――そんな時にイギリスがTPPに参加したいと言ってきましたね。
イギリスはEUから離脱したので、何かグループに入っていたいというのがあると思います。
世界経済をみると、環太平洋地域は成長しています。だからそこと自由貿易をすると、イギリスからの輸出がやりやすいとか、イギリスのビジネスマンが往来するときに税関の手続きが容易になるとか、そういうメリットがあります。
――日本側からすると歓迎できることでしょうか。
TPPは貿易に関しての言葉、ルールです。例えるなら、いま日本語が11カ国で通用しているわけです。そこへイギリスが入ってくると、イギリスでも日本語が通用する。われわれがイギリスに旅行するのに便利です。そう考えると、日本にとってはいい話です。
このTPP11に他の国々も入れてとやってくると、ますますどこにいっても日本語が通用するという夢のような話です。
イギリスはEUから離脱したので、何かグループに入っていたいというのがあると思います。
世界経済をみると、環太平洋地域は成長しています。だからそこと自由貿易をすると、イギリスからの輸出がやりやすいとか、イギリスのビジネスマンが往来するときに税関の手続きが容易になるとか、そういうメリットがあります。
――日本側からすると歓迎できることでしょうか。
TPPは貿易に関しての言葉、ルールです。例えるなら、いま日本語が11カ国で通用しているわけです。そこへイギリスが入ってくると、イギリスでも日本語が通用する。われわれがイギリスに旅行するのに便利です。そう考えると、日本にとってはいい話です。
このTPP11に他の国々も入れてとやってくると、ますますどこにいっても日本語が通用するという夢のような話です。
米国の参加は？
――今後、米国が参加することはあるのでしょうか？
バイデン政権下の米国はTPPに復活するのではと思われていました。
しかし、米国国内では、そうなると他の国から米国に大量の輸入品が入ってくるのではないか、米国の労働者の雇用が失われるのではないかという心配が強くて「TPPに戻ります」と簡単に言えなくなっています。
バイデン政権下の米国はTPPに復活するのではと思われていました。
しかし、米国国内では、そうなると他の国から米国に大量の輸入品が入ってくるのではないか、米国の労働者の雇用が失われるのではないかという心配が強くて「TPPに戻ります」と簡単に言えなくなっています。
お隣の中国は？
――中国が入りたいという話もちらっと出ていますが、どうなるのでしょうか。
今のところは非常に難しいと言われています。
ひとつは中国の企業は国有企業が多いですが、TPPのルールではこういう企業について非常に制約をつけます。ところが、それをやると中国の国内経済体制の根幹に関わってくるので、「はい」とはいきません。
他の11カ国も中国という大きな国との間で関税がなくなったら、ものすごく国内にいろんなものが入ってきます。そうすると国内産業の労働者にすごい影響が出てきます。それで「ちょっと待って」となると思います。
それぞれの国に守りたい産業があり、中国はそれが全部あります。そうするとどの国も困ります。
交渉のハードルは高くなります。
今のところは非常に難しいと言われています。
ひとつは中国の企業は国有企業が多いですが、TPPのルールではこういう企業について非常に制約をつけます。ところが、それをやると中国の国内経済体制の根幹に関わってくるので、「はい」とはいきません。
他の11カ国も中国という大きな国との間で関税がなくなったら、ものすごく国内にいろんなものが入ってきます。そうすると国内産業の労働者にすごい影響が出てきます。それで「ちょっと待って」となると思います。
それぞれの国に守りたい産業があり、中国はそれが全部あります。そうするとどの国も困ります。
交渉のハードルは高くなります。
農業は輸出産業へ
多田「われわれの身の回りに11カ国から安いものが入ってくる。市民レベルの買い物でもありがたいですけど、同じものを作っている国内の業者は大変ですね。その辺を上手にどうバランスをとっていくかですね」
家森先生「基本的に農業は日本は弱くて、これまでは自由貿易をやると農業がどんどんやられていっていました。
今、TPP11の他の国が成長しているので、品質のいい安全な食品のニーズが高まっています。そういうものを日本から輸出するという形で、農業もこれから輸出産業に変えていこうと考えています」
多田は「TPPはわれわれの生活がどう変わっていくかとものすごく密接に関係している取り決めですね」と、認識を新たにしました。
牛肉の価格ひとつにしても、生活に密着した協定であることがわかりました。これからもTPPの動向に注目していきましょう。
（みず）
家森先生「基本的に農業は日本は弱くて、これまでは自由貿易をやると農業がどんどんやられていっていました。
今、TPP11の他の国が成長しているので、品質のいい安全な食品のニーズが高まっています。そういうものを日本から輸出するという形で、農業もこれから輸出産業に変えていこうと考えています」
多田は「TPPはわれわれの生活がどう変わっていくかとものすごく密接に関係している取り決めですね」と、認識を新たにしました。
牛肉の価格ひとつにしても、生活に密着した協定であることがわかりました。これからもTPPの動向に注目していきましょう。
（みず）
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