多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

世界初実用化。徳島のローカル線、阿佐鉄が導入したDMVとは?

世界で最初に実用化されるという鉄道ファン注目の乗り物「DMV」が徳島県を走ります。
いったいどんな乗り物でしょうか?

1月28日『多田しげおの気分爽快~朝からP•O•N』では、徳島県を走る阿佐海岸鉄道の専務、井原豊喜さんにお話を伺いました。

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DMVとは?

DMVとは、デュアル・モード・ビークル(Dual Mode Vehicle)の頭文字。デュアルは「二重の、二パターンの」という意味。モードは「方式」。ビークルは「乗り物」です。
DMVは「二つの方式の乗り物」という意味です。

線路の上を列車として走り、終点に着いて線路がなくなると、そこからは一般道を普通のバスとして走るという乗り物です。乗り換えなしで、同じ車両が線路の上も、道路の上も走れるのでデュアル・モード・ビークルといいます。
 

世界初はローカル線で

日本をはじめ世界中でこのような研究開発が行われていたんですが、いよいよ、これが実用化します。徳島県にある阿佐海岸鉄道という第三セクターのローカル線です。

阿佐海岸鉄道は、徳島県の海陽町と高知県の東陽町を結んでいる10キロの鉄道路線。地元では「阿佐鉄」と呼ばれています。
線路が終わると、そこからバスとして走らせようという計画です。
 

見かけはボンネットバス

井原さん「ボンネットバスをイメージしていただいたらいいかなと思うんです。通常のマイクロバスを改造して作ってますので、前の所に鉄車輪を収納するボンネットを付けてるんですよ」

DMVの動力はバスのエンジンで後輪駆動。道路を走る姿はボンネットバスそのものです。
しかし、昔のボンネットバスより、かなりスマートな車両です。
阿佐鉄では青、緑、赤の3台のDMVを導入しました。
 

前が列車、後ろがバス

レールの上を走る時には、ボンネットに格納されていたレール用の鉄車輪を下ろします。逆に前のゴムタイヤは上に上げて浮かせた状態にします。後輪のゴムタイヤは左右に二つずつ、二重に付けられています。ダンプカーや大型トレーラーでよくあるタイヤの付き方。

後輪の内側のタイヤがレールの上に乗って、その動力でレールの上を走っていく仕組み。線路の上では前輪が列車の鉄車輪、後輪がバスのゴムタイヤという、ちょっと変わった走行風景です。

座席は18席。定員は立ち席を入れて22名で運行予定だそうです。乗り物がデュアルなので、もちろん免許もデュアル。

列車の免許と、バスの中型二種という免許が必要。阿佐鉄の運転士は早速、中型二種免許を取りに行って、現在は、全員が両方の免許を持っているということです。
 

バスから列車へチェンジ

線路の終点には、バスから列車へ、列車からバスへ変わるための「モード・インターチェンジ」という場所があるそうです。

例えばバスとして道路を走ってきて、列車に変わる時に、ボンネットに格納していた鉄車輪を降ろすんだそうです。その時にうまくレールの上に乗らないと脱線してしまいます。

モード・インターチェンジは、そこにバスの形で入って車輪を下ろすと、レールの上にぴったり乗るサイズに設計されてるんだとか。モードチェンジにかかる時間は10~15秒。

井原さん「非常に短い時間で変身していくんですが、当然、お客様も乗ったままの状態でモードチェンジをやっていきますから、それも一つの楽しみかなと思います」

多田「普通の信号待ちよりも短い時間で変身できるんですね。鉄道ファンとしたら、どうやって変身していくのかを見てみたいと思うんですが、現実はたった10秒で変身です」
 

アトラクション的な乗り心地

道路を走る時は、鉄車輪を積んでいる重たい分、ガタガタと振動するそうです。レールの上に乗った時はスーッと滑るように進むそうです。しかし、普通の列車と同じように、ガタン、ゴトンという音はするんだそうです。

「乗り心地は非常にいいですね」と井原さん。最高速度は70キロの設定で考えているそうです。

「車両が小さいので、最初に加速していく時はスーッとスピードが上がっていくんですよ。ちょっとアトラクション的な、ジェットコースターに乗ってるような気分になってもらえるんじゃないかなと思います」と楽しそうに言いました。

多田「私なんかは、変身するところを見たいなーとか、70キロでマイクロバスがスーッとレールの上を走っていくところを見たいなと思います」
 

DMV導入を決めた理由

DMVは元々JR北海道が住民の足として研究していましたが、JR北海道は実用化を断念。阿佐鉄は実用化、導入に至りました。目的は二つありました。公共交通機関としての住民の足の役割、さらに既存の列車に比べてのコスト削減という面。

もう一つの大きな目的は観光。DMVに乗りに来る観光客を呼び込んで地域の活性化に繋げていくこと。

井原さん「こちらの地域は海と山と川と自然が非常に豊かなところなんですよ。だから、ここの観光資源をしっかり磨き上げてですね、地域全体でも楽しんでもらえる、そんな活性化策を進めております」

多田「大きな目的は私なんかのような鉄ちゃんが狙いで、地域の観光活性化の目玉にしたいそうです。コロナ禍が落ち着いたら、ぜひ見に行ってください、じゃなくて、行きたいですね」

多田の言葉を聞くと観光目的の導入目的は成功しそうです。阿佐鉄のDMVは夏ごろ本格的に運行予定だそうです。 
(尾関)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2021年01月28日07時21分~抜粋

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