多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

「日本の労働生産性は国際的に見て低い」実はそうとも限らない?

昨年の12月23日に日本生産性本部が、日本の労働生産性が経済協力開発機構(OECD)加盟37か国中21位、G7(先進7カ国)では最下位と、低いことを明らかにしました。

労働生産性の低さについては、ときどき日本企業の問題点として取りあげられますが、なぜ問題なのでしょうか。

1月7日放送『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』では、「そもそも労働生産性とは何か?」ということも含めて、名古屋大学客員教授で神戸大学経済経営研究所の家森信善先生が解説しました。

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労働生産性って何?

家森先生によりますと、この「労働生産性」という用語はさまざまな意味を含んでいるそうで、報じるニュースの内容によって定義が異なるそうです。

先程の「日本の労働生産性がOECD加盟国で21位」という発表で用いられた「労働生産性」は、平均的な就業者が1時間働いてどれだけの価値(付加価値)を生み出せるかということを指しています。

2019年の日本の労働生産性は1時間あたり4,866円で、アメリカの3分の2ほどしかありません。

同じ1時間働くのでも、日本はアメリカの3分の2ほどの価値しか物やサービスが生み出せない、別の見方では同じ物を生み出すのに、日本はアメリカよりも1.5倍ほど時間を長くかけて働くことになります。

もちろん、4,866円分まるまる働いている人がもらえるわけではなく、そこから会社のコストやいろいろな物が引かれていく訳ですので、労働者の時給としてはもっと安くなります。
 

日本の生産性は本当に低い?

OECDのランキングでは、日本はイタリアよりも下に位置しているのですが、パーソナリティの多田しげおは「何かイメージとしたら、『イタリアよりはよう働いてるやろう』と、そういう気になるんですが……」と疑問を投げかけます。

日本人は勤勉とよくいわれますが、例えば250万円の物を作るのに、ある国が250時間働いて作るのと、日本では一生懸命500時間かけて作るのでは、日本の方が労働生産性が低いということになります。

ただ、家森先生はこの労働生産性の比較については、2点問題があると指摘。

1つは国際比較が難しいという点です。

世界各国を比較するには、どうしても同じ通貨(今回の比較ではドル)で比べる必要がありますが、どうしても為替レートの影響を受けることになります。

例えば、対ドルで円安が進むと、よけいに日本の労働生産性は低く計算されてしまいます。
 

日本的なサービスは不利?

もう1つは、生産されたサービスや物の品質自体は計算に含まれないという点。

家森先生「例えばレストランでごはんを食べますということにしても、店がきれいで店員さんが非常に親切にしてくれると、気持ちよく食べられますと。

それとも、ポイとお皿を置かれて行ってしまいますっていうのでは、受けるサービスの質は違うんですけど、その部分が十分日本では反映してないとされてるんですね。

日本的なサービスがおまけ的について当たり前になってる社会では、不利になるんです。全部お金で計算される国に比べると」

労働生産性はあくまでも金額で計算されるため、サービスがチップや価格そのものに反映される国の方が有利で、日本のようにおもてなしや心遣いなどが自然と行われていると、不利ということになります。
 

でもやっぱり労働生産性は低い

しかし、それらを考慮したとしても、日本の生産性はやはり低いそうです。

というのも、日本は2000年と比べて伸び率が外国よりも低いからで、これだと為替レートに関係なく、外国と比較しても低いというふうに考えられます。

特に日本は高齢化社会が進んでいる中で、労働できない人が増えていく一方で、労働している人が支えていかなければならない状況となると、より高い生産性が求められます。

そのためには、新しい産業を生み出すのはもちろんのこと、既存の産業にもITを活用したり、頭を使って工夫したりするのが重要とのことです。
(岡本)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2021年01月07日07時21分~抜粋

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