多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

わざとコロナにかかってワクチンの効果を検証「ヒトチャレンジ」とは

一刻も早い新型コロナワクチンの完成が待たれる現状ですが、実際に人間に効くのかどうかを分析するには、結局人間が摂取してみなければわかりません。

イギリス政府は先月、実際にコロナウイルスにかかった後、ワクチンが効くのかどうかという治験「ヒトチャレンジ」を年明けにも始めると発表しました。

12月10日放送『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』では、CBC特別解説委員の後藤克幸が「ヒトチャレンジ」について解説しました。

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「ヒトチャレンジ」とは、開発中のワクチンの有効性を短期間、小規模な人数で評価するための臨床方法の1つで、健康体の人が開発中のワクチンを接種した上で、実際に病原体にさらした上で経過を見るという方法です。

つまり、わざと病気にかかって治るかどうかを試すという方法なのですが、実はこの手法はコレラやマラリアなどに応用されたことがあります。

通常の治験だと日常生活を送りながら経過を観ていくため、時間もかかりますし、多くの人数が必要となってきますが、最初から病気にかかるのを前提にすると、人数も時間もかからないということになります。

また、できる限り安全に治験を行うため、事前にどれだけ少なくすれば治験ができるのか、必要最小限の病原体の量を調べた上で治験は行われます。
 
イギリスのヒトチャレンジに参加する人は、重症化するリスクが低いとされる18~30歳の若者で、90人程を募集する予定とのことです。

実際に病気にかかってしまうため、迅速に治療ができ、安全に管理されたロンドン市内の病院に滞在してもらい、24時間体制で病状の変化を観察する体制が組まれ、数週間ほど観察するそうです。

ただ、「ヒトチャレンジ」という言い方ではあるものの、言い換えれば人体実験、倫理的な問題はクリアしているのでしょうか。

後藤「一番倫理的に問題になるのが、参加者が発症するというリスク、安全性が一番の課題。

ですから、そのためにどんな体制が組まれるのか、その基準が明確でないと。あるいはその設備、施設、治療体制がしっかり組まれているか、参加者はどういう人を選ぶのかということがしっかりしてないといけない」
 

日本で消極的な原因

また、WHO(世界保健機関)はヒトチャレンジに対して8項目の倫理基準を設け、しっかりとした体制で行うように勧告しています。

科学的に正当性のある臨床試験であることや、利益がリスクを上回っていることが誰もが納得できること、リスクが少ない参加者を選ぶこと、環境が整っていることや参加者に十分説明し情報提供した上で同意を得ることなどが挙げられます。

参加者が同意することが前提、ということは自発的に参加しているボランティアということになりますが、実際に世界中から38,000人もの方が希望しているそうです。

イギリスと比較すると、日本ではあまりこのようなボランティアに参加する話を聞きませんが、後藤はこれに対して、「日本では(薬害による)不幸な歴史があったりして、結構抵抗感が強いと思います」とコメント。

薬害に対するこれまでの国の対応が、あまり良いものではないという評価の表れかもしれません。

イギリスで始まるヒトチャレンジ、数週間後の結果が待たれます。
(岡本)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2020年12月10日07時19分~抜粋

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