多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

国産初の手術支援ロボット承認 かかる期待と普及への課題

工場での生産や工事現場など、さまざまな分野で活躍するロボットですが、今や手術でも活躍するまでに。

11月26日放送『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』では、国産初となる手術支援ロボットの生産が厚生労働省から承認されたというニュースを取り上げました。

ロボットの特徴や国産化にかかる期待などについて、CBC論説室の後藤克幸特別解説委員が解説しました。

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手術「支援」ロボットとは?

そのロボットは、川崎重工業とシスメックスによる共同出資会社メディカロイドが手がける『hinotori』。

『火の鳥』といえば、漫画家の手塚治虫さんの有名な作品ですが、手塚治虫さんは医師免許を持っていたことでも知られていて、そこから名付けられたそうです。

手術支援ロボットとは、その名のとおり手術を「支援」するロボットで、実際に手術を行うのはあくまでも執刀医、つまり人間。

患者の手術台から数メートル離れた所にあるコンソールと呼ばれる機械の前に執刀医が座り、高精細な画面を持つ3次元モニターを見ながら、マジックハンドに手を入れて遠隔操作を行うという仕組みです。

ロボットが支援するのは開腹手術ではなく、内視鏡を体の中に入れた手術で、患者さんにとっては傷が少なく、出血量も少ないために早期に社会復帰できるというメリットがあります。

また、人間よりもロボットの方が手ブレがなかったり、細かい作業ができるといった点で、手術支援ロボットを使うメリットがあります。
 

日本製ならではの特徴

その手術支援ロボットは現在、ほとんどがアメリカ製であり、日本製への期待が高まりますが、どのような特徴があるのでしょうか。

一番の特徴は、日本人の体格に合ったコンパクトなサイズで設計がなされている点。

例えば、世界最大のシェアを持つ『ダヴィンチ』は、アームが長いためにお互いにぶつかってしまって使いにくいなど、日本の医師の要望を聞きながら作られています。

そのほか、アメリカ製の手術支援ロボットのアームは6つなのに対して、『hinotori』は8つですのでさらに細かい動きが可能になるなど、改良が加えられています。
 

すぐには広がらない理由

産業用ロボットについては、世界市場の半分以上は日本製で、日本はいわばロボット先進国。

産業用ロボットの技術を応用して、今回医療分野にも打って出ることになりましたが、いずれは世界進出も視野に入れているそうです。

厚生労働省は今年8月に承認し、9月には保険適用にもなっていて、最初は泌尿器科の領域から始め、将来は消化器、呼吸器、婦人科などの領域に広げる戦略があるそうです。

ただ、国内ではすでに300台ほど『ダヴィンチ』が導入されており、その操作に慣れた医師が多いため、市場に入り込むことは簡単ではなさそう。

そのため、操作の習熟などに新たなコストがかかるというのが課題ですが、川崎重工業としては、若い世代の医師を対象に情報を提供し、研修の機会を設けるように計画しているそうです。

導入には時間がかかりそうですが、2030年には手術支援ロボットの市場は今の3倍ほど、約2兆円に成長すると言われている中で、今後の展開が期待されています。
(岡本)
 
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2020年11月26日07時20分~抜粋

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