多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

胃がんのリスクを上げる「ピロリ菌」って何?

日本人の死因の1位は悪性新生物、つまりがんで、その中でもよく知られるのが「胃がん」。

昔のイメージとは違って、今や胃がんも治る病気と言われています。

11月20日放送『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、愛知県がんセンターの内視鏡部部長、田近正洋先生に、胃がんに関するお話を伺いました。

ここでは胃がんの主な原因と言われている「ピロリ菌」を中心に取りあげます。

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ピロリ菌の悪い働き

胃の壁は5層構造となっていて、粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜に分かれています。

最も内側にあるのが粘膜で、そこに何らかの原因でがん細胞ができて、徐々に大きくなって広がったり、胃の外にも広がって、悪い症状となるのが胃がんということになります。

「何らかの原因」のうち、一番の原因は、最近よく知られるようになった「ヘリコバクター・ピロリ」、いわゆる「ピロリ菌」で、がんの発症に98~99%ほど関与しているのだそうです。

このピロリ菌ですが、どんな悪い働きを行うのでしょうか?

田近先生「菌がねじれてまして、尾っぽの所がスクリューのようにぐるぐる回って、胃の中を動き回ると。壁の中に毒素を埋め込んで、胃の中に炎症を起こすという細菌です。

慢性炎症を起こして、腸上皮化生(胃の粘膜を腸の粘膜が変化すること)で、がんができやすい土壌になると考えられています」
 

ピロリ菌の感染者が多い世代は?

日本人はピロリ菌を持っている人の割合が比較的高いと言われますが、なぜピロリ菌に感染するのでしょうか。

田近先生「だいたい2~3歳までに免疫力が発達していない頃に、経口感染、口から感染すると言われています。

昔の衛生状態が悪かった頃に井戸水(を飲み水として利用)だとか、今でもあるかもしれないですけど、お父さんお母さんが口移しでごはんを食べさせると」

ということは、当時親が感染していた場合に、こどもにも移ったということになりますが、今は衛生状態やこどもの食習慣も変わりましたので、ピロリ菌を持っているこどもは減少傾向に。

実際に今の中学生以下のこどもは感染者が5%以下といわれていて、50代以上の人と比べて格段に感染者の割合が少なくなっています。

ピロリ菌はいったん胃の中に入ると、基本的にはずっと居続けるという厄介な存在。

ただ、何十年も感染し続けていると、棲む場所がなくなるという状況になることもあるそうです。
 

ピロリ菌さえなければ大丈夫!?

ここで気になるのは、自分にはピロリ菌がいるのかどうかということ。

田近先生によりますと、今は血液検査や組織を採取した検査、呼気テスト、尿や便による検査などにより、簡単にわかるようになっているとのことです。

もしピロリ菌が見つかった場合は、2種類の抗生物質と胃酸を抑える薬を常用量の倍、1週間服用し続けることで、9割近くの菌が退治できるとのことです。

ただ、ここで「私にはピロリ菌がないから大丈夫」あるいは「薬でピロリ菌が無くなったから、もう胃がんにはならない」というのは誤解です。

あくまでも胃がんのリスクが3~4割減るだけであって、絶対に胃がんにかからないということではないそうです。

また、昔に比べて生存率が上がったといっても、早期発見が大前提。

早期発見できる段階では、自覚症状は現れないとのことですので、やはり定期的な検診で早く見つけてもらうことが大事ということです。
(岡本)
 
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2020年11月20日08時13分~抜粋

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