『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』、気象予報士でもある沢朋宏アナウンサーがリスナーの質問に答える「沢君教えて!」のコーナー。
10月30日の放送には「台風がポコポコ発生してますね。ということは、太平洋の海水温が高いという状態。海水の温度って誰がどうやって測ってるんですか?」という質問がよせられました。
デジタル化が進む現代。しかし海水の温度の測定には、意外にもまだまだアナログな方法が残っているようです。
「衛星だけじゃダメなんです」
「誰かが温度計を突っ込んでいるんですよ、簡単にいうと。今でもそれをやっています」と答える沢アナに、「てっきり気象衛星から赤外線を…実際に温度計突っ込んで!」と、意外なアナログぶりに驚く多田しげお。
海の上にはアメダスを置くことができないため、海の温度は「気象観測船」で測っています。
気象観測船には海上の風や気圧だけではなく、海水温を測るというタスクもあるのです。
「衛星だけじゃダメなんです!」と語気を強める沢アナ。
現在、気象観測船の数は多くありませんが、1800年代の終わり頃は今よりもたくさんの船で測っていました。
その方法は、なんと船からバケツで海水をすくって温度計を突っ込むというもの。
とはいえ、国によってバケツの大きさが違うという問題がありました。
多田「今となっては笑い話ですけど、当時は当然『それでよし』でやってたんですよね」
沢「『ウチノクニ、コレヤッテルヨ!』で全然違ったんですよ」
衛星を邪魔する「あるもの」
技術の進化に伴って次に考えられたのは、海水にブイ(浮き)を入れてデータを無線で送る方法。
しかし、第2次世界大戦中は無線傍受される恐れがあったため、国によって方法はさまざまでした。
「ウチ、コノホウホウでヤッテルヨ」と測定の違いで、もめることになってしまったのです。
いろいろ考えた末に「衛星でパシャッて撮ろう!」となったのですが、ここにも問題点がありました。
「衛星だけじゃダメなんです」と繰り返す沢アナ。
気象観測船を出さなければならない理由、それは衛星から海水温を測ろうとすると「あるものに邪魔されてしまうから」でした。
船で全世界の海を網羅
その「あるもの」とは、雲。
雲がある場所だけ、ポコポコと観測できないという状況になってしまうのです。
現代において海水温は衛星での観測が主体。
しかし、それだけでは観測しきれない「雲に覆われている場所」があるため、今でも船を出して海水温を測ることを補完的に行って、全世界の海を網羅しているのです。
海に水温計を突っ込んで測るのは同じですが、昔と今の違いは「表面海水温」を測っているということ。
表面海水温とは、海底50メートルの場所の温度のこと。
台風が海面をかき混ぜても、50メートル下まではかき混ぜることができません。
地球温暖化で50メートル下の水温も上がっているため、1個2個台風が通過しただけでは海水がかき混ぜられて冷めるわけではなく、ただ単に熱いお湯をかき混ぜただけということが最近わかってきたといいます。
海洋学者の夢は3Dの天気図
海洋学者の夢は、海上の空気の天気図をつくること。
本来は海底1万メートルまでの3Dで動いていて、平行な動きではありません。
沢「3Dのどこで潜る、どこで上がるという。これを日々の予測図作れたらおもしろいよね」
多田「こういったことがわかってくると、海上のあるいは地上のお天気も、より詳しく予報ができると」
「まだそういう段階なんですね」と、沢アナの解説に納得の多田でした。
(minto)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2020年10月30日08時05分~抜粋