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多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

ロケットの打ち上げ費はどのように抑えられるのか

2020年10月26日(月)

カルチャー

ロケット1機打ち上げるのに、経費はどれだけかかるのでしょう?
10月22日『多田しげおの気分爽快』では、ロケット打ち上げの値段について、科学コミュニケーターの本田隆行さんに聞きました。
なんでも昔に比べると今は抑えられているそうです。

安くなったと言うけれど

来月に、日本人の宇宙飛行士の野口聡一さんが 国際宇宙ステーション(ISS)に行く予定です。野口さんが乗る宇宙船が宇宙船がクルードラゴン。その宇宙船を打ち上げるロケットがファルコン9です。

このミッションを遂行するのが民間企業スペース X。昔のNASAに比べると、打ち上げ費用が抑えられてるそうですが…。

「アポロの時代から比べると、比べ物にならないくらい安くなっています」

それでも1回の打ち上げにつき60億円から70億円程度かかるそうです。
 

フィルム逆再生のような技術

ファルコン9は、スペース Xが開発したロケットで再利用可能。
打ち上げの時に一番最初に点火するロケットの部分が、打ち上がった後、立ったまま地上に降りてくるというシステムだそうです。

「打ち上げの時の映像を逆再生したように帰って来るのですごいですよね。あれ、難しいんですけどね」

スーッと地上に着陸して「何か問題ありました?」という感じで、打ち上げ前と同じように立っています。これぐらいの技術があり、ロケットも再利用できるのに、やはり60億~70億もかかる理由は?

「打ち上げの費用は材料費だけじゃなくて、人件費、燃料費など全部込めると、やはりこのぐらいはかかってしまいます」
 

打ち上げ費用

どんなところに経費がかかるのでしょう?

「打ち上げ費用は材料費だったり、組み立てにかかる人件費。それから発射場の経費です。ロケットを運搬して行ったり、点検したり、そもそもの発射場を維持管理しないといけない」

さらに燃料費もかかります。それが全て込みで60億円から70億円です。
ロケット打ち上げの中継でよく見る光景が、コンピューターの前で何十人かの人が成功した瞬間拍手が起こります。

「そこにかかるまでに、すごく大勢の方が携わるわけです」
 

日本のロケットはいくら?

では日本のロケットではどのくらいの経費がかかっているのでしょう?

「日本のH2Aロケットが40~50機程度打ち上がりましたけども、1回打ち上げる毎に約100億円かかってます」

ファルコン9の倍近い価格です。

新しいタイプのH3が開発されていますが、こちらは今後の価格競争の時代を見据えて、1回に付き50億円程度で打ち上がることを想定して作られているそうです。

ファルコン9の場合は、人が乗った宇宙船を打ち上げるロケット。
日本のH2AとH3は人工衛星を打ち上げるロケット。単純に比較はできないかもしれませんが、H3の50億円だったら商業的には勝負できるかもしれません。

「今のところ、大型の衛星を打ち上げるロケットは、まだ世界でも本数がないので、早く開発ができれば、競争は十分できるんじゃないかなと思います」

各国が衛星の打ち上げを日本に依頼してくれるのが望ましいですが、そうなるためには費用の他に安全性と信頼性、さらに重要なのは「失敗しないこと」だそうです。
 

お値段控えめH3

H3は人件費を抑えているそうですが、具体的にはどの辺りを抑えたんでしょうか?

「以前のロケットは、一点ものに近い形で作っていくので、毎回毎回少しずつ設計が違ったり、物が変わっていたんです」

日本のロケットは、打ち上がる頻度が多くなく、その分、毎回一点ものに近い製造だったそうです。それなりに携わる人も多くなり、人件費も嵩むわけです。

「H3の場合は、例えば一つのエンジンを作るのにも、パーツの数を減らすことで、製造日数が減る。日数が減ればかかる人件費も減りますよね。さらに試験の回数も減っていて、低コスト化を図っています」

個一個のパーツの規格を揃えておくことで製造設備が共通で使え、量産も出来るそうです。それがコスト削減に繋がるんだとか。
 

国家プロジェクトからビジネスへ

「アメリカも日本も、民間の企業がロケットを作る方針に変わっています。民間が作るということは、利益を出さないといけないわけです。どこで利益を出すのかということをずっと考えているとこはありますね」

昔はロケットの打ち上げは国家プロジェクトでした。
今ではアメリカのスペースXや、日本の三菱などの企業が受け負っています。

「今は宇宙に行くのが珍しくなくなった時代なので、今度は使うためにちゃんと儲けていかないと回って行かないというところにシフトして来てますね」
(尾関)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2020年10月22日07時20分~抜粋
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