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大麻取締法はGHQから大麻を守るための法律だった!

大麻所持・使用による芸能人の逮捕がニュースを賑わせています。幻覚作用を持つ大麻には、違法で危険なものというイメージがありますが、実は非常に有用な植物です。

大麻の生産量日本一は栃木県です。那須郡那須町には大麻博物館があります。
10月14日放送の『多田しげおの気分爽快』では、大麻博物館館長の高安淳一さんに大麻の有用性について聞きました。

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衣食住を支えた大麻草

「大麻は中央アジアの原産。最近の遺伝子調査などではチベットのあたりとも言われています。人類とすごく付き合いの長い植物と言った方が正確かもしれないですね」

人類と大麻草の関わりの最も古い証拠が日本に遺っているそうです。1万2000から1万5000年前の地層から縄として出土したのが大麻草です。当時は大麻草の繊維を使って衣服、釣り糸、魚を捕る網などが作られていたそうです。

大麻草は、昔から繊維として扱われてきた有用な植物であり、今も畑で栽培されています。繊維を取る栽培方法で育てた場合、背丈は2~3メートルまで伸び、種子を取る栽培の場合には4メートルまで伸びるそうです。

葉っぱの形状は5枚、7枚、9枚など奇数枚の「小葉状」と呼ばれる、手のひらを広げたような形です。
 

成長祈願&魔除け

「赤ちゃんの産着に使うのは麻の葉模様ですよね。大麻の畑を上から見ると、まさにああいう風に見えるんですよ。だからすごく密に栽培します」

大麻の畑の様子を幾何学模様的にしたのが麻の葉模様。
大麻草は勢いよく真っすぐ成長するため、こどもの健やかな成長を願って麻の葉模様の産着が使われていました。また、この模様には魔除けの意味もあるそうです。

名古屋市中区栄にある岡崎信用金庫名古屋支店の建物が、麻の葉模様を上手く使っているそうです。洒落た未来的な建物ですが、よく見ると麻の葉模様で覆われています。モダンと伝統の融合。名古屋へ行った際は、ぜひ間近でご覧ください。
 

大麻絶滅指令

大麻草が問題視されるのは、その幻覚成分です。

日本には大麻取締法という法律があります。この法律は、都道府県知事から大麻取扱者の免許を得ていない者の栽培、譲渡、研究用の使用、所持などを禁止しています。
つまり大麻草は免許なしに作ってはいけないという法律です。

制定されたのは終戦間もない1948年。それ以前にはこのような法律はありませんでした。

この法律が出来た経緯には、第二次世界大戦後に日本で占領政策を実施したGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が絡んでいたようです。

「大麻は、日本が戦争に負けた時にGHQの命令で禁止されたと伝えられてますけれど、実態は絶滅を命じられたんです。種子を含めて本植物を絶滅せよ、とかなり強烈な命令が出ました」

しかし日本人は大麻草からいろんな有用なものを作って生活してきました。栽培農家や関連する産業も多数あります。
そこでGHQに提示したのが、法律を作って大麻栽培を許可制にすることです。

「大麻という農作物の絶滅を回避するために、大麻取締法を作って守ったというのが実態です」
 

伝統、文化に大麻あり

「神道のお祓い道具。神主さんがお祓いの時にバッサバッサと振りますよね。あのお祓い棒の真ん中に、ちょっと黄色っぽい繊維がついています。それが大麻の茎から取った皮です」

この大麻の繊維の中から、強い祓い清めの力が出てくると考えて、その力で今でもお祓い、お清めをしてるのが日本の神道だそうです。

神宮大麻という伊勢神宮の御札の中にも大麻の繊維が入っているんだとか。また神社のしめ縄も大麻草です。
その他にも、元をたどれば神道行事である相撲。その横綱の綱も大麻の繊維で作られているそうです。

日本の伝統文化を考えた場合、大麻草は非常に重要なものなようです。
 

有名メーカーも注目する産業大麻

現代では麻のジャケットやシャツなどが身近にあります。
あの布は、以前は大麻草から作られていたのですが、今は同じ仲間の別の植物から作ることも多くなったんだとか。
特に近年では「ヘンプ」と呼ばれる産業用大麻が注目を集めています。

「ヘンプは環境負荷の少ない新たな資源として注目されています。パタゴニアとかリーバイス、ザ・ボディショップという大きなメーカーが熱心にやっています」

パタゴニアやリーバイスの場合は化学繊維に替わる繊維素材として使用しているそうです。
 

「無毒大麻」に注目

大麻の有用性を妨げているのが幻覚作用。
そこで開発されたのが「とちぎしろ」という幻覚成分のない大麻草。抗精神作用を起こすTHC(テトラヒドロカンナビノール))という成分が非常に低い品種で、「無毒大麻」とも呼ばれているそうです。

現在は全国で栽培されている大麻草の9割ほどが、この無毒大麻になっているんだとか。

「植物から取れた丈夫な繊維として大麻に注目が集まっています。衣料素材に石油化学製品を使わないようにすれば、相当変わるんじゃないかと思ってます。大麻という存在は、非常に可能性があるんじゃないでしょうか」

芸能人による大麻乱用のニュースで、マイナスイメージの強い大麻草ですが、本来は非常に重要で有用な植物。現状では残念ながら栽培農家は減少しているようです。
(尾関) 
 
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2020年10月14日07時22分~抜粋

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