多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

マニア以外にもオススメ「釣り文化資料館」

東京都新宿区に「釣り文化資料館」という施設があります。主に竹で作られた和竿をメインに、伝統釣具や釣り関係資料を後世に残すために開設された資料館です。

9月30日放送の『多田しげおの気分爽快~朝からP•O•N』では、釣り文化資料館の藤村浩介さんに聞きました。

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様々な竹の組み合わせ

現在の釣り竿の素材はカーボンファイバーやグラスファイバーが中心で、工業製品として大量生産されています。
しかし、昔は自然の竹で作ることが当たり前でした。しかも一本の竹だけで作るわけではないそうです。

「竿っていうのは、先端から穂先とか、ずっと順々に手元の方に行くんですけれども、それが一本の竹だと調子が出ないんですよね。そういう意味ではいろんな素材の竹を使っています」

「調子」とは魚がかかった時に竿が曲がっていく部分のことです。穂先の部分から曲がる、道に近い部分から曲がるなど、釣りのスタイルによって変わってきます。
 

職人技

同じ種類の竹を使うにしても、手元の方だと若く、繊維の抜けているような、少し軽めの竹を使うそうです。
逆に先端の方だと繊維が詰まったような竹を使うんだとか。いくつかの竹を集合させて「調子」を出すんだそうです。

「今でも作られてる職人の方いらっしゃるけれども、これはちょっと素人では一から作るのは難しいですよね」

完成までには、竹に熱を加えて真っすぐにしたり、防腐処理をしたりと、様々な工程があるようです。まさに職人技。

例えば防腐処理。漆を塗ることで、少しでも腐食を遅らせます。

 「器で漆器がありますよね。あれも元々は木ですけど、お味噌汁とか入れても大丈夫なようになります」

漆は湿気で硬化し、防水性に優れています。
こうした技術を駆使して作られた和竿は、ちょっとした伝統工芸品と言えそうです。
 

ちょいと出かけてくらあ

「釣り文化資料館」で特に多く収蔵されているのは、タナゴという魚を釣るためのタナゴ竿。タナゴは大きくても4~5センチ程の小さな魚。大人の指サイズぐらいの淡水魚です。

「長さは1メートルちょっとぐらいのものなんですが、全部畳むと10センチ以下ぐらいになってしまって、大人のポケットにスポッと入ってしまうぐらいの大きさです」

シュシュシュッと引き出して一本の竿になるのではなく、いくつかに分割されたものを接いで一本の竿になるタイプだそうで、この小ささにも理由がありました。

「大きな魚を釣るというんではなくて、昔の旦那衆の遊びの一環でやってました。釣りに行く素振りを見せずに出かけて、実は釣りをしてくるスタイルが粋だったんでしょうね」
 

現代のタナゴ釣り

現在でもタナゴ釣りマニアがいるそうです。
ただ、残念ながらタナゴはその数が減少しています。タナゴは淡水性の二枚貝に卵を産み付ける習性があり、その貝がいなくなってしまうと、姿を消してしまうそうです。
そのため、釣り場はかなり絞られてる状況なんだとか。

気になるのはマニアの使う竿。粋な和竿を使っているのでしょうか?

「今だと和竿とは限らないですね。和竿だと折ってしまったら終わってしまいますので、弊社みたいにコレクションとして収蔵してる方がほとんどです」

ちなみに藤村さんへ、いま和竿を作るといくらになるか尋ねたところ…。

「『タナゴの和竿で』という方はほとんどいらっしゃらないので、オーダーで作るとなるとかなり高くなると思います」
 

後世に伝える使命

いくつもの竹を使い、様々な工程を経て出来る和竿。美術品のようですが、本来は道具。使っていくうちになくなって、残ってるものは少ないのでは?

「例えばおじいさんが釣りをされてて残っていたということがあったりするんですけど、結局のところ、釣り道具はどんどん使い古して新陳代謝が激しいものなんです」

そこで釣り文化資料館では、昔の竿が失われる前に収集、保存、展示して後世に残しているんだとか。来館者は釣りマニアだけでなく、様々な人が訪れるそうです。

「大学で民族学を勉強されてる学生さんが、釣り文化の勉強のためにいらっしゃいますね。あとは、漁の形式だとか魚釣り自体を勉強されてる方もいらっしゃいますね」

みなさんも、ふらっと出かける感じで粋に釣り文化資料館に足を運んでみてはどうでしょうか。 
(尾関) 
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2020年09月30日08時15分~抜粋

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