日本で今月に入り、旅客機の乗客2人がマスク着用を拒否して降ろされるというトラブルが相次いで報道されています。
マスク着用を拒むこと、そうした乗客を降ろすこと、こうした事項は法律的にどのように解釈されるのでしょうか?
9月16日放送の『多田しげおの気分爽快~朝からP•O•N』では、あすなろ法律事務所弁護士の國田武二郎弁護士に聞きました。
マスク着用拒否で臨時着陸させた男。損害賠償はいくら請求される?
マスク着用を拒否した乗客
まず9月7日、北海道の釧路空港発、関西国際空港行きのピーチ・アビエーション機の中で、男性の乗客がマスク着用を拒否しました。
釧路を飛び立った飛行機は、途中の新潟空港に臨時着陸して、マスク着用拒否で暴れる男性を降ろしました。
結局、同機は2時間15分遅れで関西国際空港に到着しました。
法律ではこういった飛行機の臨時着陸などは、どういう取り決めがあるんでしょうか?
かなりの損害が航空会社に出ましたが、航空会社はこの乗客に損害賠償請求はできるのでしょうか?
釧路を飛び立った飛行機は、途中の新潟空港に臨時着陸して、マスク着用拒否で暴れる男性を降ろしました。
結局、同機は2時間15分遅れで関西国際空港に到着しました。
法律ではこういった飛行機の臨時着陸などは、どういう取り決めがあるんでしょうか?
かなりの損害が航空会社に出ましたが、航空会社はこの乗客に損害賠償請求はできるのでしょうか?
機内の安全を守るのは機長
國田「航空法では、安全阻害行為が認められて、目的地まで安全に飛行することができない可能性があると機長が判断した場合には、当該乗客に対して、それを阻止する行為ができるんですね」
「安全阻害行為」とは、文字通り安全を阻害した行為です。飛行機に乗った乗客が、他の客に危害を加えたり、客室乗務員の指示に従わず、航空機内の規律を乱すような行為をすること。
この行為に対する航空機内の判断は、全て機長に任せられているそうです。
「安全阻害行為」とは、文字通り安全を阻害した行為です。飛行機に乗った乗客が、他の客に危害を加えたり、客室乗務員の指示に従わず、航空機内の規律を乱すような行為をすること。
この行為に対する航空機内の判断は、全て機長に任せられているそうです。
粗暴な客には抑止措置
今回、釧路から関空へ向かう間に新潟に臨時着陸しました。
この臨時着陸も機長の判断でできるのでしょうか?
國田「これも航空法に規定がありまして、安全を害するような行為をした場合には、いきなり臨時着陸じゃなくて、まず機長が『そういう行為はやめなさい』という命令書を発することができるんです」
ところが今回のケースは、機長の指示に基づいて命令書を示した客室乗務員に対して、「やれるものならやってみろ」と言うように乗客が威嚇しました。
そのような行為をした場合、機長の判断で、いくつかの抑止措置を取ることが出来るそうです。
抑止措置として、当該客を他の客から離して座らせたり、途中で臨時着陸をさせることもできる、と航空法で規定されているということです。
この臨時着陸も機長の判断でできるのでしょうか?
國田「これも航空法に規定がありまして、安全を害するような行為をした場合には、いきなり臨時着陸じゃなくて、まず機長が『そういう行為はやめなさい』という命令書を発することができるんです」
ところが今回のケースは、機長の指示に基づいて命令書を示した客室乗務員に対して、「やれるものならやってみろ」と言うように乗客が威嚇しました。
そのような行為をした場合、機長の判断で、いくつかの抑止措置を取ることが出来るそうです。
抑止措置として、当該客を他の客から離して座らせたり、途中で臨時着陸をさせることもできる、と航空法で規定されているということです。
威力業務妨害罪
國田「ですから加えて、この機長の命令に従わない場合は50万円以下の罰金に処せられるという規定もあります。だから降ろされる以外に刑罰も課せられるということです」
さらに、もう一つ。
威嚇して秩序を乱し、予定の時間を変更させて臨時着陸させていますので、航空会社の業務を妨害したということになります。
この行為は、刑法で威力業務妨害罪に当たるそうです。
國田「これだと3年以下の懲役、または50万円以下の罰金と、こういう刑法の規定に該当する可能性も十分あります」
さらに、もう一つ。
威嚇して秩序を乱し、予定の時間を変更させて臨時着陸させていますので、航空会社の業務を妨害したということになります。
この行為は、刑法で威力業務妨害罪に当たるそうです。
國田「これだと3年以下の懲役、または50万円以下の罰金と、こういう刑法の規定に該当する可能性も十分あります」
賠償金1千万円
この乗客、新潟空港に臨時着陸をさせたことによって、燃料費やダイヤの乱れなど、航空会社に多大な損害を与えました。
損害賠償はどうなるのでしょうか?
國田「これも当然ありうるし、現に当該航空会社は法的に検討しているようです」
例えば、臨時着陸する時にも空港使用料がかかります。機体整備や給油もあり得ます。そうなると当然人件費がかかります。
さらに、定刻より2時間以上遅れたので、仕事に支障をきたしたとして、損害賠償を求めてくる乗客が出る可能性も。
國田「少なくとも新潟空港の離着陸利用料とか、整備費なんかを考えると、まぁ1千万近い金額を請求される可能性はあると思いますよ」
損害賠償はどうなるのでしょうか?
國田「これも当然ありうるし、現に当該航空会社は法的に検討しているようです」
例えば、臨時着陸する時にも空港使用料がかかります。機体整備や給油もあり得ます。そうなると当然人件費がかかります。
さらに、定刻より2時間以上遅れたので、仕事に支障をきたしたとして、損害賠償を求めてくる乗客が出る可能性も。
國田「少なくとも新潟空港の離着陸利用料とか、整備費なんかを考えると、まぁ1千万近い金額を請求される可能性はあると思いますよ」
問題は拒否した後
國田「恐らく航空会社は、こういった行為を防ぐための一つの制裁として、賠償を求めるんじゃないかと思います。気をつけないといけないのは、マスクの着用拒否だけが安全阻害行為じゃなくて、マスク着用拒否に伴う、当該客の言動の粗暴さです」
マスク着用拒否した後の行為が、全体として航空機内の秩序を乱したと、機長により判断されたわけです。
マスクを着用しない人を乗せないということなら、予めカウンターで「マスクを着用しない人は搭乗できません」という規定が書かれたボードを置いておけば、その規定に基づいて、最初から拒否できるそうです。
マスク着用拒否した後の行為が、全体として航空機内の秩序を乱したと、機長により判断されたわけです。
マスクを着用しない人を乗せないということなら、予めカウンターで「マスクを着用しない人は搭乗できません」という規定が書かれたボードを置いておけば、その規定に基づいて、最初から拒否できるそうです。
しっかり考えて行動を
國田「ですからマスク着用拒否が、思わぬ派生的な行為を生むということを、よくよく考えて行動しないといけないでしょうね」
シートベルトをするのを拒否する、テーブルや背もたれを元に戻さない、なども安全阻害行為の一つになり、乗務員に文句を言うと命令書が出される可能性もあるそうです。
國田「ですから客室常務員の指示には従って対応しましょう。よくあるのが携帯電話の電源。ああいうのは安全阻害行為の一つの例ですから、指示されたらやらないといけないですね」
後先考えずに、勢いで行動すると大変なことになります。
(尾関)
シートベルトをするのを拒否する、テーブルや背もたれを元に戻さない、なども安全阻害行為の一つになり、乗務員に文句を言うと命令書が出される可能性もあるそうです。
國田「ですから客室常務員の指示には従って対応しましょう。よくあるのが携帯電話の電源。ああいうのは安全阻害行為の一つの例ですから、指示されたらやらないといけないですね」
後先考えずに、勢いで行動すると大変なことになります。
(尾関)
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