多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

お家で名作映画鑑賞『ジョーズ』の上手な見方教えます

コロナ禍のお盆はお家で名作映画を楽しみましょう。
今週の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』では、かつて日本ヘラルド映画の宣伝でも活躍されていた映画評論家の広江邦生さんが選んだ5作品を紹介しています。

8月12日の放送で広江さんが紹介したのは、スティーヴン・スピルバーグ監督の作品『ジョーズ』(1975年)。

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パニック映画の王道

「今の全世界の映画界を牽引しているのが、スティーヴン・スピルバーグ、フランシス・フォード・コッポラ、それとジョージ・ルーカスの3人。
3人とも黒澤明監督の門下生と言われるぐらいに、黒澤映画を勉強してから、映画界に飛び出した人たち」

そのうちの一人、スピルバーグが1975年、27歳の時に作ったのが『ジョーズ』です。
ジョン・ウィリアムス作曲の「ジョーズのテーマ」を聞くと、サメの背びれが海面をスーッと移動していく場面を思い出す人も多いでしょう。
パニック映画の王道です。

主演はロイ・シャイダー。シャイダーは続編の『ジョーズ2』(1978)でも主演を務めています。
 

巨大ザメとの戦い

舞台はアメリカの東海岸リゾートタウン。
その浜辺に、サメに食いちぎられた若い女性の遺体が上がりました。そこで警察は、海岸を閉鎖して遊泳禁止にしようとします。

しかし街はリゾートで成り立っているため、市長をはじめ市の有力者が猛反対。何もなかったことにして、そのまま海水浴場を開いています。

そして少年が第二の犠牲者となってしまいます。その両親が仇のサメに懸賞金をかけたことで人食いザメの存在が公になります。
巨大なサメと人間との戦いを描いた作品です。
 

映画館がお化け屋敷に

「『ジョーズ』は音を大事にした作り方をしている。お客さんはサメがいつ出てくるか?どういうパニックシーンを見せるのか?と楽しみに映画館に来てるんですけど、なかなかサメを出さないんですよ」

最初の犠牲者で圧倒的なサメのパワーを見せつけ、二人目の犠牲者の時は、海に広がる血で満員の浜辺がパニックになりますが、肝心のサメはなかなか登場しません。
その姿なき怖さを盛り上げているのが、あの「ジョーズのテーマ」です。

「やっと1時間ぐらい後にサメが出てくるんですよ。それも突然出てくる演出だもんですから、館内がお化け屋敷のように、女性客の悲鳴でいっぱいになります。そういった大変考えられた作り方をしています」
 

『激突』と同じ手法

本作の4年前の1971年、スピルバーグが25歳の時に撮ったテレビ映画が『激突!』です。
内容は大型トレーラーの運転手と乗用車の運転手との戦いを描いた作品。
セールスマンが一台のトレーラーを抜いたことで、今でいう「あおり運転」のごとくトレーラーに追いかけられます。

「でも、映画が終わるギリギリの最後まで、どんな人間がトレーラーを運転してたのか見せないんですね。その見せないってことが逆に恐怖を煽るわけです。『ジョーズ』はまさにその作り方です」

『ジョーズ』以降、スピルバーグの演出を真似したようなパニック映画が続出しました。
現在では、見せずに怖がらせるという手法が定番となっています。
 

言葉の意味を変えた映画

ジョーズという言葉は英語でもともと「顎(あご)」という意味です。
しかし、この映画が大ヒットしてからは「巨大なサメ」の意味で使われるようになりました。
言葉の意味を変えてしまうほどのインパクトを持った作品だった証しですね。

お家で名作映画鑑賞する時は、カーテンを閉めてミニシアター風にして、音量は思いっきり上げて途中でトイレに行かず、映画館と同じく一気に見ることをオススメします。 
(尾関) 
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2020年08月12日07時38分~抜粋

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