普段意識することのない唾液。
最近さまざまな研究によって、唾液の意外な役目が明らかになっているそうです。
7月13日『多田しげおの気分爽快～朝からP•O•N』では、神奈川歯科大学大学院歯学研究科長・教授の槻木恵一先生に聞きました。
唾液の出口
唾液が出てくるのはどこからでしょうか？
槻木先生「上顎の奥の方に臼歯っていう歯があるんですけど、その横の頬のところに出口が一箇所。それから舌を上げて頂くと、そこの下に唾液の出口があります」
上からと下から毎日出る唾液の量は健康な人なら一日1リットルから1.5リットル。
また、唾液は血液から作られているため、唾液中には血液中の成分がたくさん含まれているそうです。
唾液の役割りは？
唾液の一番大切な役割は口の中の汚れを洗い流すこと。
もし唾液がなかったら、口の中は細菌だらけ。口臭が出てきて、虫歯や歯周病が増えてくるそうです。
槻木先生「もう一つ大切なことは、唾液中にはいろんな種類の抗菌物質が入っているんです。
そういった抗菌物質が細菌とかウイルスと結合して、できるだけ悪さをしないようにしてくれているんですね」
口の中の汚れを洗い流した唾液ですが、飲み込んで大丈夫なのはこの抗菌物質のおかげのようです。
食べる時に活躍
さらに、こんな役割も。
槻木先生「ごく初期の虫歯であれば、再石灰化を促進したり、ウチンなんていうネバネバ成分は、お口の中の潤滑であったり、あるいは胃や食道の粘膜を守る役割をします」
唾液は口の中だけでなく、他の部位の臓器へも作用しているのです。
また、物を食べて飲み込みやすいのは唾液のおかげだそうです。
食べる時は、口の中で咀嚼をして、食塊という食べ物の塊を作って飲み込みます。唾液があることで食塊が作りやすくなっているそうです。もし唾液がないと、パサパサのままで、飲み込みづらいんだとか。
唾液が再吸収される？
唾液は脳にも影響しているという研究もあるようです。
槻木先生「最近出た論文によると、唾液中の抗菌物質が、実は舌の下にある粘膜から再吸収されるっていうシステムがありまして」
再吸収された抗菌物質が脳に移行して、脳の中で、細菌の悪さを抑制していると言われているそうです。
唾液中のラクトフェリンという物質は、アルツハイマー型認知症の進行を抑制しているのではないか、という論文も最近出たんだとか。
槻木先生「新しい可能性が提示されているっていうのが、今の現状じゃないかなと思います」
唾が出なくなるとどうなる？
この唾液、もし出なくなったらどうなるのでしょう？
槻木先生「命に係わることは多くないかもしれませんけど、口の中がネバネバして、とにかくいつも気になっちゃいます」
気になって日々の生活の質も低下してしまうのだとか。
また、口の中を汚しておくことは、高齢者だと誤嚥性肺炎の原因にもなるため、口のケアは重要。
唾液の量が少なくなり、口の中が乾燥することを「ドライマウス」と言いますが、要因は何なのでしょうか？
槻木先生「ストレスで少なくなってきたり、あるいは、睡眠薬や向精神薬といった薬の作用で減ってくることもあります」
自己免疫疾患の一つでシェーグレン症候群という唾液腺自体の細胞が壊される病気があるそうで、唾液の分泌が減ってくる要因は複数あるとのことです。一般的に加齢とともに唾液の量は減ってくるんだとか。
槻木先生「ドライマウスの方は、水分の摂取を増やしていただいた方がいいんじゃないかなと思います」
口を潤すために、水よりも保湿の持続時間が長いジェルタイプも販売されています。
緊張すると本当に喉が渇く？
「緊張すると喉がカラカラになる」と言いますが、これは唾液の分泌が少なくなっているのでしょうか？
槻木先生「ストレスがかかって交感神経が強く働いている状態です。その場合、どうしてもサラサラ唾液が減ってきて、唾液全体の量が減ってきますので、どうしても喉が乾いて口がカラカラ、あるいはネバネバの状態になってくるんですね。
唾液は日常にはあるんですが、関心がない方が多いと思います。今、いろんな作用がわかってきていますので、ぜひとも、皆様のご興味を頂くとありがたいと思っています」
（尾関）
多田しげおの気分爽快!!～朝からＰ・Ｏ・Ｎ
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2020年07月13日07時19分～抜粋