多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

新型コロナ拡大で注目!?100年前の「スペイン風邪」から学ぶこと

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない状況ですが、実は約100年前にも同じような感染病が世界中に蔓延していました。

当時の教訓を活かすことで、私たちが今すべきことが見え、被害を少なくすることができるかもしれません。

4月17日放送『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、「感染症と世界史」と題し、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が天然痘やペストなどの歴史を解説しましたが、ここではその中でも「スペイン風邪」について取り上げます。

[この番組の画像一覧を見る]

スペインが感染源ではない

日本では「スペイン風邪」と呼ばれた病気ですが、これはインフルエンザのことです。

1918年から広まり、世界で約6億人、当時の人口の半数近くが感染したと推定され、日本でも約39万人が亡くなったとされています。

名前から誤解しがちなのですが、実はスペインが感染源ではありません。

アメリカで初めて感染した人が出たといわれ、当時は第一次世界大戦でアメリカからヨーロッパに出兵していたため、それで感染が広がったことが考えられます。

アメリカやイギリスなど戦争の当事国は、自国の弱みを見せないため、情報統制によって感染者数を内緒にする一方で、スペインは中立国だったため、感染者数はオープンにしていました。

そのため、スペインだけがかなり流行しているように見えたため、「スペイン風邪」「スペイン・インフルエンザ」と呼ばれてしまうようになったのです。

石塚は「国家の力で情報統制をすると、間違った情報が広がってしまうよという、ひょっとすると今につながる教訓かもしれないですね」と警告しました。

「当時はスペイン風邪という名前が使われていた」というように、現代に伝わっていますが、正しい情報とセットにしなければ、将来に渡って誤った情報が歴史上に残ってしまいますね。
 

今と昔の違い

ただ、100年前と比べて、さらに今は感染症が世界中に広がりやすくなっています。

石塚「人類は感染症と隣り合わせで暮らしていかなければならない。いつどこで起きてもおかしくないわけですね。また、よりグローバリズムになってて、スピード感が出ている。

医学は昔より確かに進んでいるんです。しかし、何度も同じようなことが起きているのは、医学では解明できないことがあるのは1つですけど、もう1つは昔のペストや天然痘が起きていた時に比べると、雲泥の差で地球が小さくなってるわけ。すごくあっという間にいろんなところに行けるわけですよね。

だから21世紀は感染症にとっては、ひょっとしたら都合の良い時代かもしれない。昔よりもパッと止めなければ、すごい遠くの国にウイルスや細菌が行ってるかもしれない」

21世紀に入っても、いまだに新型インフルエンザやSARSなど、さまざまな感染症が新たに発生し続けていることからも、感染症が撲滅できないことは明らかです。
 

感染症で文明の発展も

そのため、新型コロナウイルスが収束したとしても、また次に新しい感染症が起きるのを想定して準備するため、過去の経験から学ぶことが重要となります。

石塚「感染症の戦いで人類が得たものは実はたくさんあるんですね。例えばコレラを撲滅しようとした時に、衛生概念を覚えるわけです」

多田「火を通して食べましょう、なんかそれですもんね」

石塚「単純なことなんですけど、病気を通して気づいていくわけです。『コレラは空気で移ったりして(対処の)しようがないよ』と言っていた時に、ある医者がコツコツ調べて、この辺で流行っているのは、この井戸が原因だと気づくわけです。

この水を使うのを止めてごらんって指示したら、近所のコレラがふっとなくなるんです。これが水道や下水道の整備につながっていく」

また、検疫を表す英単語は「quarantine」ですが、これはイタリア語で40を表す「quarantena」が語源で、コレラ患者のいる船を40日間沖に留め置いていたことから来ています。

石塚は感染症によって大勢の命を落とす人もいる一方で、いろんなことをも学んできたと語り、この学びを続け、過去の経験を軽視してはいけないとまとめました。
(岡本)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
この記事をで聴く

2020年04月17日08時31分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報