多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

「急がば回れ」のルーツは滋賀県草津市にあった?

「急がば回れ」ということわざがありますが、このことわざ、実はルーツが滋賀県草津市にあるそうです。
なぜ草津市で生まれたのでしょうか?

4月1日の『多田しげおの気分爽快!!朝からP・O・N』では、この謎について草津宿街道交流館の館長、八杉淳さんに聞きました。

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急がば回れ

「急がば回れ」。早く物事を成し遂げるには、危険な近道を行くより安全確実な遠回りをした方が結局は得策だ、という意味です。

このことわざが出来た滋賀県草津市は、滋賀県の南西部にあり、琵琶湖の南部に面した街です。
滋賀県では大津市に次いで第2位の人口を誇り、13万人の方が暮らしています。
この街で、「急がば回れ」は室町時代あるいは江戸時代には使われていたといいます。
 

和歌の一節

草津市でどういったことがあって、このことわざが生まれたのでしょうか?

八杉さん「琵琶湖にまつわることわざなんですよ。『もののふの 矢橋の船は 速けれど 急がば回れ 瀬田の長橋』という和歌があるんです。

この和歌の作者は諸説あるんですけど、平安後期の歌人、源俊頼が詠んだとも言われてますし、江戸時代の『醒睡笑』という庶民の間で流行した話を集めた本には連歌師の宗長が詠んだと書かれてるんですね」

「もののふ」とは武士のこと。
つまり、武士が琵琶湖を越えて京都へ向かう道中を詠んだ歌なのです。
 

武士の選択

八杉さん「東海道を通って草津から大津へ行く時には、瀬田の唐橋という橋を渡って陸路で琵琶湖を迂回して行くルートと、草津から大津まで琵琶湖を船に乗って渡るというルートがあります」

陸路で行くルートは約12キロ。琵琶湖を船に乗って横切ると約6キロだそうです。
船に乗った方が早い上に、乗船中は足を休めることが出来ます。当時、移動手段は歩くしかなかった旅人にとってはかなりのメリット。

「非常に風光明媚な風景も見られるわけです」と付け加える八杉さん。
 

歌の内容

この話に「船の方が良いじゃないですか?」と尋ねる多田。
確かに船の方が距離も短く、メリットが多いように思えます。ところが…

八杉さん「冬から春にかけては、比良八荒とか比叡下ろしと呼ばれる、対岸の方から吹き下ろす風があるわけですよね」

当時の船には現在のようなエンジンはありません。
向かい風だと船が進まず港から出られません。港で風がやむまで待たされることになります。出港したとしても強風に煽られて遭難事故の可能性も。

八杉さん「船で近道をするよりは、遠回りであっても歩いて東海道を通る方が着実ですよ、ということを戒めたような歌ですね」
 

地元民にも急がば回れ

八杉さん「今は船はないですね。東海道で琵琶湖を迂回するルートと、昔の船のルートに近ところに近江大橋という新たな橋がかかっています」

今は、草津から大津へ行くには、渋滞さえなければ明らかに近江大橋を渡った方が早いそうです。地元の人の生活には近江大橋が当たり前。急いでも回りません。

地元の人たちは、「急がば回れ」ということわざが草津でできたとを知っているんでしょうか?

八杉さん「どうですかね?若い方が『急がば回れ』ということわざそのものをご存じかどうかですよね」

「急がば回れ」発祥の地、ということが知られていないようです。

八杉さん「最近は私どもも、歴史的な背景から少しずつPRしていってるんですけど、なかなか若い方は、ことわざそのものに結びつけて考えるということはしないですよね」

「急がば回れ」のルーツが草津だと地元の若者に定着させるのも、急がば回れのようです。 
(尾関)
 
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2020年04月01日07時42分~抜粋

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