世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス。パンデミックの加速度も増しています。
診療現場から見た現状はどうなっているのでしょうか?
3月30日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、大阪医科大学附属病院の総合診療科特任教授、鈴木富雄先生に話を伺いました。
長い戦いに
感染者の数が拡大していますが、病院で診療している実感はどうなのでしょうか?
鈴木先生「検査をする患者さんの数がかなり増えています。実際に検査で陽性になる方も増えてきています。実感として感じています」
どういう状況になった時に「収束」と判断できるのでしょう?
鈴木先生「普通の季節性のインフルエンザでも落ち着くには、11月から5月までの半年くらいはかかります。
今回はそれより、潜伏期も長いですし、おそらく感染する能力をもつ時期も長いとみていますので、少なくとも半年以上はかかる。ひょっとすると年余の単位になる可能性もあります。そして、その中でいくつか波があると思います。
第一波、第二波、第三波という形で、ピークがいくつか来る。小さなピークで抑えられたらいいですが、大きなピークになってしまうと、いわゆるヨーロッパ諸国、スペイン、イタリアのようになってしまう可能性も大いにあります」
ピークを低く
鈴木先生「全人口の中の何割かが実際かかってしまって、身体の中にウイルスに対する抗体を持たない限りは広がっていきます」
「集団免疫」という言葉がありますが、多くの人が感染して、結果免疫ができたということにならない限り、感染者の数はずっと増えていくだろうということです。この時期については?
鈴木先生「まったくわからないですね。いわゆるピークが前倒しになると、早く収束するかもしれません。
しかし、ピークにかかる人の数が非常に大きくなりますので、いわゆる医療崩壊につながる可能性があります」
感染者が増えても病院にはベッドがない、医療関係者の方も足りないまま。重傷者への対応が難しい状況に陥るかもしれません。
鈴木先生「だからできるだけこのピークを後ろにずらそうと、いろいろなことをやっています。
そうすると皮肉なことに、みんながかからないので、ピークの頂点は下がりますが、収束するまでの長さは長くなります」
危険性のある4月
最近は地方自治体からは外出自粛や自宅で過ごすよう要請されるようになりました。感染予防への効果はどうなのでしょう?
鈴木先生「非常に効果があります。他の人に会わないわけですから。せいぜい家族内での感染です。インフルエンザの時もそうですし、間違いなく効果があります。
ただ、非常に怖いのは、4月は人が大きく動く時期です。会社でも新入社員の方、人事異動で転勤も多い。
大学では、今まで休みだった学生たち、とくに海外に行っている人が多いですから、そういう人が一気に大学に入ってくるとそこでクラスターが発生し、集団的なピークが多く巻き起こってくる。それを一番危惧しています」
『3密』を避ける
改めて、一般の人が新型コロナウイルスの感染を予防するのに、日常生活で一番効果のあることは何でしょう?
鈴木先生「ある程度、感染しているかもしれないということで、人からうつされない、人へうつさないということを考えると、非常に密度の高いところ、換気の悪いところに行かない、そういう催し物を開かない。いわゆる『3密』を守っていただくことです。
『3密』とは「密閉空間」「密集場所」「密接場面」。
つまり「換気の悪い密閉空間」「多くの人の密集する場所」「近距離での密接した会話」を避けることです。
鈴木先生は「また、個人の予防としては手洗いが非常に重要です」と、付け加えました。
コロナの感染を予防するには、「3密」を避けること、「手洗いをする」こと。今日から徹底しましょう。
(みず)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2020年03月30日07時18分~抜粋