今月、国立がん研究センターの研究で、食物繊維をたくさんとると死亡リスクが下がるという研究結果が報道されました。
野菜や豆類などに含まれる食物繊維が、コレステロールや血圧を降下させる効果が実証された形です。
3月25日『多田しげおの気分爽快』では、国立がん研究センター代謝疫学研究室の室長、後藤温先生に尋ねました。
そもそも食物繊維とは?
食物繊維にはお通じが良くなるイメージがありますが、それだけではなく死亡リスクを下げてくれる可能性があるということがわかってきました。
多田「スジスジのセロリとか繊維質が多いというイメージなんですが…」
後藤先生「消化しにくい炭水化物を指して食物繊維と言っています」
食物繊維はいろんな食物に、まんべんなく含まれており、中でも野菜、果物、豆類に比較的多く含まれているんだとか。見た目では判断できませんね。
食物繊維を摂るメリット
食物繊維を摂取することで、我々の身にはどんなメリットがあるのでしょうか?
後藤先生「食物繊維にはコレステロールを下げる効果があります」
その他、身体の血糖置を下げるとされる「インスリン」というホルモンに対する感受性をよくする作用があるのではないか、とも言われています。
また、今のところ強い科学的根拠はありませんが、身体の中の炎症を和らげる作用があるとも言われているそうです。
ちなみに後藤先生に多田が「便通は?」と尋ねたところ、「まあ、そういう効果もある…かもかなあ」との回答です。
食物繊維で真っ先に浮かぶ「お通じ」の効果はハッキリしていない模様です。
研究でわかったこと
今回、どんな研究によって食物繊維をたくさん摂ると死亡リスクが下がる可能性があるとわかったのでしょうか?
後藤先生「1995年から1998年にかけて、全国11カ所の45~74歳の地域住民約9万人に対して、食事調査アンケートに回答いただきました」
その後、平均17年間追跡調査をして、その食事調査アンケートに基づく食物繊維摂取量と、その後の死亡リスクとの関連を調べ、こんなことがわかったそうです。
後藤先生「計算した食物摂取量に基づいて、均等に5つのグループに分けて、男女別に分析いたしました。その結果、食物繊維摂取量が多いほど、男女共に総死亡リスクが低いということが明らかになりました」
最も食物繊維を摂っているグループは、最も食物繊維を摂っていないグループと比較して、死亡リスクが2割ほど低いという結果が得られたそうです。
食物繊維の働き
食物繊維は私たちの身体に対してどのような効果を持つのでしょうか?
後藤先生「コレステロールが下がることで、心臓の病気や脳卒中が少なくなったりします。あとはインスリンの感受性が良くなって、糖尿病などの代謝性の病気が少なくなることで、その後の死亡リスクが安定化したと考えられます」
食物繊維は直接、死亡リスクを下げる働くをするわけではありませんが、様々なものに作用して間接的に死亡リスクを下げているようです。
理想の食生活
食物繊維をより多く摂るため、理想の食生活について尋ねました。
後藤先生「食物繊維が多く含まれている野菜、果物、豆類などを意識的に摂っていただくことで、食物繊維の摂取量も増えますし、食物繊維以外の栄養素の摂取量も増えることになりますので、結果的には健康的な食生活に繋がるんじゃないかと思います」
「歳をとっても肉は必要」という情報もありますが、要はいろんな食物をバランスよく食べていれば、摂取した食物繊維が間接的に死亡リスクを下げてくれるということのようです。 (尾関)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2020年03月25日07時20分~抜粋