多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

こどもでも「地獄」を体験?大阪市の全興寺

大阪の平野区に地獄を体験できるお寺があるそうです。
3月10日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』の「日本全国47の旅」は、毎週、ひとつの県を紹介していますが、今週は大阪府。大阪市平野区の話題です。

お寺の名前は全興寺(せんこうじ)。怖そうですが、そこは小さなこどもに来てもらえるような仕組みになっているそうです。

塩見啓一が、どのような建物か、その奥にある思いを、全興寺のご住職、川口良仁さんに伺いました。

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歴史ある全興寺

川口さんによると、全興寺は約1400年ほど前、聖徳太子によってお薬師さんをまつる薬師堂が建てられたのが由来と言われています。

「大坂夏の陣」の時の戦火でお寺は焼けましたが、のちに再建されて、本堂は現在400年の歴史があります。
大阪市内でも最も古い木造建築のひとつだそうです。
 

地獄の恐ろしさを体感

その全興寺には地獄堂という建物があるそうですが、どんなところでしょうか。

川口さん「もともと江戸時代から閻魔様をおまつりする閻魔堂というのがありました。
それを平成元年に地獄堂としてリニューアル。音と映像で地獄の恐ろしさをこどもたちに体感してもらえるようにと造りました。

令和になって、ハイテクを導入。地獄の『通行手形』というのを求めていただきます。
通行手形にQRコードがあって、それをかざすと、地獄の門が開きます。
中に入ると7分間の地獄のストーリーが流れます」

近頃は地獄の門もQRコードで開くようです。
 

地獄のメッセージを伝える

なぜこのような地獄堂を造ったのでしょうか?

川口さん「平成元年にリニューアルした時、今でもまったく状況は変わりませんが、こどものいじめや自殺が多かった。

それで、自分の犯した罪は必ず死んでからでも自分に戻ってくる、命はひとつきりなので大切にしなさい、という地獄のメッセージを、こどもたちに伝えなくてはいけないということで造りました」

塩見「私は昭和34年生まれで60歳ですが、地獄の話とか、ウソついたら舌を抜かれるとか聞かされて、そういうのがストッパーになりましたね」

川口さん「今、道徳教育が、小学校でやっていませんので、昔からおじいさん、おばあさんのさとしが伝わってないです。

ことばだけではどうしても、伝えられないので、音と映像のビジュアルでこどもたちに教えるのが有効だと思います。
けっこう小さいときに見たものは残るので、それが歯止めになります」

塩見は「非常に深いメッセージが込められています」とその思いに感心しました。
 

『地獄度・極楽度チェック』

他には地獄か極楽か判定するチェックシートもあるとか。

川口さん「地獄堂を入る前に、地獄へ行くか、極楽へ行くか『地獄度・極楽度チェック』というのがあって、これもゲーム仕様になっています。
10の質問にボタンで答えていくものです。

例えば『極楽の道で感謝して真剣に努力するか、地獄の道でたえず不満や愚痴が多いか』『義務や責任をすすんで果たすか、やる気がなく無責任か』『時間を守り金をいかして使うか、時間も金も無駄にするか』など10項目を選びます」

塩見「自分で選んだら、すぐ極楽行きになりそうですけど」

川口さん「そうなんです。どうしても自分で選ぶと、自分に甘いです。友達同士とか夫婦だったらお互いに冷静にやるといいです。ご夫婦でやると、たいがいはケンカになります(笑)。

最後10項目終わると、ガンと音が鳴って、閻魔様の裁きが出ます。6段階あって、それが『極楽太鼓判』とか、『地獄行き覚悟せよ』とか」

この裁き、おとなの方が重く響きそうです。
 

極楽もある!

では、地獄と反対の建物はあるのでしょうか。

川口さん「地獄だけでは救われないので、極楽というか、地下に瞑想空間があります。

これは四国八十八カ所の各仏様の石仏が並んでいて、中央にステンドグラスの曼陀羅があって、そこに座って心を落ち着けます」

塩見「どうですか、こどもたちには地獄の方が楽しそうじゃないですか」

川口さん「幼稚園とか保育所の子が団体で来ると質問します。『地獄に行きたいか、極楽に行きたいか』。たいていは『極楽』と答えます。

たまには変わった子がいて『地獄に行きたい。極楽は退屈だから』(笑)
地獄の方が、針の山もあるし、釜茹でもあるし、刺激が強いですね」

塩見「そういうことで地獄はあるわけですね、自分の心の中に。いけないとわかっていても、刺激の強いものに手を出してしまうとか」
 

地獄はどこにある?

川口さん「結局、地獄というところは欲望や争いが絶えずあって、心が波打っている状態。現在がまさしくそうです。

一方仏の国は、そこに座って瞑想すると心がだんだん安らいできて心が鏡のようになります。それで癒される。

こどもたちには、地獄極楽は空の上や地下にあるのではなく、自分の心の中にあるのだよ。しかも同時にあるよと言っています。それが5歳でもわかります。

質問の時に、『どこにあると思う』と聞くと、必ず、ひとりかふたり手をあげて『心の中にある』と言います。本当に幼稚園のこどもは大したもんです」

塩見「楽しそうですね。おもちゃの展示もあるそうで、一度伺いたいです」

楽しみながらも、してはいけないことがこどもの心に残りそうです。
(みず)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2020年03月10日07時43分~抜粋

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