福島県会津地方には戦国時代より受け継がれてきた「高遠そば」という名物料理があります。
「高遠」がそもそも会津の地名ではないことに加え、箸の代わりにネギを使うという独特の食べ方など、非常に謎の多い料理です。
3月4日『多田しげおの気分爽快!!』では、この「高遠そば」を提供している福島県会津の大内宿にある蕎麦屋、三澤屋の佐藤さんを取材しました。
福島県に長野県の地名
高遠そばの「高遠」、実は現在の長野県伊那市高遠町に由来があります。
桜で有名な高遠城址公園がある街ですが、なぜ長野県の地名が福島県の蕎麦に命名されたのでしょう?
歴史は江戸時代初期にさかのぼります。
信濃高遠藩の藩主だった保科正之が会津藩へ転封になりました。そば好きだった正之はその時にそば職人も一緒に連れて行きました。そのためお城で客をもてなす時に出していた「辛つゆそば」が会津の地でも広まりました。
会津では、正之が最初の藩主を務めた高遠の名を取って「高遠そば」と呼ぶようになったそうです。「ねぎそば」という別名もあります。
箸代わりのネギ
長野県にも正之の愛した「辛つゆそば」があります。
こちらはネギを薬味として食べますが、福島県の高遠そばは薬味でもあるネギを、箸の代わりに使うそうです。
佐藤さん「難しいと思うんですけど、食べやすいように農家の方に協力して頂いて、先を少し曲げて作って頂いています」
箸代わりの長い白ネギの先が少し湾曲しています。
この曲がった部分にそばを引っ掛けて食べるわけですが…
佐藤さん「みなさん、上手に食べられますよ」
食べ方のコツ
もちろん、ネギは単にそばを食べるためだけに供されるわけではありません。
佐藤さん「おそば食べたら、おネギは薬味ですので、ちょっとかじっていただいて…」
このかじり方にコツがあるようです。
佐藤さん「先の方をかじるとネギが真っすぐになってしまいますから、ちょっと上の部分をかじって下さい。そうすると歯型でギザギザができますから、そこに上手に引っ掛けて下さい」
観光で大内宿を訪れて初めて「高遠そば」を食べる人に、このようにアドバイスしているという佐藤さん。
さて、そのネギの味は?
佐藤さん「ネギも美味しいと思います。上の方の緑の部分に近づくにつれ、辛くなるみたいですけど、最初の方は『甘い』なんて言う方もたまにいらっしゃいますよ」
ネギがダメな方も安心
「佐藤さんは上手に食べることはできますか?」と尋ねる多田しげおに、佐藤さんの答えは…
「できません」
きっぱりと言う佐藤さん。
多田「佐藤さんが食べる時は箸を使ってるんですね?」
佐藤さん「はい、そうです(笑)」
三澤屋ではネギと一緒に箸もつけて提供しているそうです。
佐藤さん「なのでネギではどうしても無理という方は、お箸ですくって食べて頂いて、たまにネギをかじっていただければそれでいいと思います」
会津へおでかけの際は、ぜひ高遠そばにチャレンジみてみましょう。
(尾関)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2020年03月04日07時44分~抜粋