多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

こっちも大変!「国民病」花粉症の現在

日本国民の4人に1人が悩んでいて、「国民病」と言われる花粉症。
これから1ヶ月ほど花粉のピークが続くそうです。

2月28日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、藤田医科大学医学部 耳鼻咽喉科学Ⅱの中田誠一先生に花粉症のしくみ、最新の治療法を伺いました。

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花粉症のしくみ

まず花粉症の概要です。

中田先生「(医学的には)『季節性アレルギー性鼻炎』という言い方になります。抗原が花粉の場合、花粉によるアレルギー性鼻炎、つまり花粉症になります」
(抗原:それがあるとアレルギーになるという物質)

花粉を鼻に吸い込むと、どういう現象が起こるのでしょう?

中田先生「鼻の粘膜にある肥満細胞にIgEという抗体がくっついていて、花粉に反応するIgEに花粉がくっつくと肥満細胞が興奮しだして、鼻水、くしゃみ、鼻づまりを起こすような原因物質を出します」

多田「簡単にいうと、花粉が入ってきて、肥満細胞を刺激して、鼻炎を起こす物質をたくさん出すということですか?」

中田先生「はい。最後に出すのは肥満細胞で、それと花粉との橋渡しをするのがIgEという抗体です」
 

花粉症の人とそうでない人の差

花粉症にかかるかどうかの差はどこにあるのでしょう?

中田先生「そこに対するIgEをたくさん作る人、作らない人、遺伝的な関係があると思います。体質です」

これまでなんともなかった人が、突然花粉症になるのはなぜでしょう?

中田先生「発症するまでIgEとかがずっとできてきてて、ある一定の、閾値、発症するしないのそこを超えた時にポンと症状が出でしまうからです」
 

なぜ花粉症が多くなった?

その昔は存在しなかったと言われる花粉症ですが、どうして起こったのでしょう?

中田先生「スギ、ヒノキは割と早く成長する木です。戦後、できるだけいろいろな建築物をということでたくさん植樹されました。

スギが10年、ヒノキが15年で成木になり、昭和30年あたりから花粉症が出てきたと言われています。日本人が抗体を作るような身体になってそれがずっと続いています。

政府も植樹を抑え気味だそうで、スギはさすがにピークを越えているかも、ヒノキはまだ植えた木が成長過程です。これから先、花粉はヒノキの方はまだひどくなり、スギは横ばいではないかと言われています」
 

日本特有のもの

花粉症は「季節性」のアレルギー性鼻炎ですが、季節に関わらず通年のアレルギー性鼻炎もあるのでしょうか?

中田先生「それが家のホコリやダニです」

多田「昔からあるわけですね。それに加えて季節性のアレルギー性鼻炎が増えてきた。これが今の日本ですね」

中田先生「スギ、ヒノキは日本特有のものです」
 

炎症はなんのため?

そもそも何のために鼻は炎症を起こすのでしょうか?

中田先生「それは人間の防御反応です。花粉やばい菌は身体の外に出したい。異物が入ってきて、くしゃみや鼻水で出すという人間の防御反応、それが過剰になった状態がアレルギーです。
身体の健康を守るためには必要ですが、あまり強く出ると困ります」
 

舌下免疫療法

花粉症の新しい治療法を紹介しましょう。
まずは2014年から一般的になった「舌下免疫療法」です。

中田先生「これは弱い刺激をずっと身体の中に与えて慣れさせて、いざスギの花粉が来てもそれに反応させなくするものです」

具体的には舌の下に錠剤を入れて、それが溶けて血管の中に入ると、弱い刺激をずっと与えていくという治療です。

中田先生「一番はじめに与える刺激は弱く、だんだん上げていきます。ある程度になると量は維持していきます。これを毎日します。

多田「そうすると、本物の花粉が入ってきてもなんともない?」

中田先生「患者さんによっては、今まで普通のアレルギーの薬でまったくダメだった人がほとんど薬が要らなくなったりします。今はスギとダニとが出ています。

注意としては、スギの花粉症の季節には使えません。例えば5、6月の終わりから始め、来シーズンに備えます。また使った後はすぐ運動はできません」
 

新薬ゾレア

そしてもっと新しい方法で、「ゾレア」という薬があるそうです。

中田先生「IgEが肥満細胞にくっつかないようにするものです。IgEに『俺のところに来い』というもの。結果、アレルギー反応を起こさないようにするものです。

これは今まで蕁麻疹、喘息には使われていました。1日にくしゃみが11回以上ある、血液検査でスギに対してある程度重症の反応がある、というようなことが揃っている時に使います。苦しい人にはいいと思います」

ただし、ゾレアは多少値段が張るようですので、使用前には医師と相談してくださいとのこと。
 

花粉症は薬で治る?

多田「花粉症は近い将来、薬で抑えることができると思っていいんですか?」

中田先生「抗生物質が出た時に『細菌性の病気は全部叩ける』と言ってましたが、今はむしろ『叩けないので、無意味な抗生剤使用はやめましょう』となってきています。
同様に、いたちごっこの可能性もあるかもしれません。

その時の事情に合わせて対処する、というのが病気との戦いですね」

花粉症はつらいものですが、日々新しい治療法も開発されているので、悩んでいる方は希望を持って医師に相談しましょう。
(みず)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2020年02月28日08時15分~抜粋

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