連日、新型コロナウイルスの報道でもちきりです。
この報道に出てくる言葉「陰圧室」(いんあつしつ)についてご存知でしょうか?。
「陰圧室」とは、感染症にかかった人への対応として、病院が確保している部屋だそうですが、具体的にどういう病室なのでしょう。
2月25日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、医療問題について取材を続けているCBC論説室の後藤克幸特別解説委員が説明します。
部屋の空気圧が低い
陰圧室について説明する後藤委員。
後藤「これは感染症の患者が隔離されて入院するための部屋です。特別な空調設備を備えていて、部屋の中の空気圧が部屋の外より低くなるように管理されています」
部屋の外より、中の方が空気圧が低い、これが「陰圧」の意味です。
後藤「この部屋の扉を開けると、部屋の中より廊下側の空気圧が高いので、廊下側の空気が部屋の中に吸い込まれるようになっています」
部屋の空気が外に出ないことがポイントです。
病原体を外に出さない
感染症対策として、それはどういうことを意味しているのでしょうか?
後藤「病室の中にある病原体が、部屋の空気の中に浮いていた場合、病室の外へ広げないということです」
感染した人がいると、病原体である細菌やウイルスがその部屋の空気中にいる。その空気を外に出さないようにしているのです。
後藤「病院の他の病室や廊下に広げないためです。基本的には陰圧室とは感染力の強い、空気感染をする感染症、たとえば結核などの患者を隔離し治療することを目的にしています」
院内感染を防ぐのが陰圧室の役割です。
全国に400カ所余りの指定病院
あまり聞き慣れない言葉ですが、これは全国にあるのでしょうか?
後藤「そうです。感染症法という法律にもとづいて感染症指定医療機関が全国に400カ所余りあります。
このうち、陰圧病室を基本的に備えることになっている、空気感染の感染症を治療するための第一種感染症指定病院は55カ所くらいあって、そういった陰圧室は100床余りです。
他にも感染症指定医療機関には結核病床という、結核の患者さんを治療するところがあります。結核病床も3,500床あって、ここは陰圧の部屋を備えているところが多いです」
この数字は多いのでしょうか?それとも、足りないのでしょうか?
後藤「今のような状況になってくると足りなくなることも考えられるのですが…。
基本、陰圧病室というのは空気感染の患者さんを治療することに集中するところです。
今のコロナウイルスのように飛沫感染の患者さんの場合、ウイルスは水に含まれて下に落ちます。テーブルや床の清掃が基本で、必ずしも陰圧の部屋で治療する必要はないと言われています」
近くの感染症指定病院
この地方ではどんなところが陰圧室を備えているのでしょうか?
後藤「いわゆる感染症法にもとづく第一種の、基本的に陰圧室であるように求められている指定病院は、名古屋市でいうと名古屋第二赤十字病院、岐阜県の岐阜赤十字病院、三重県だと伊勢赤十字病院の名前が挙がっています。
他に、空気感染ではないが、飛沫感染の感染症の患者を治療するための第二種感染症指定病院というのも全国にあります。
名古屋市立東部医療センター、大垣市民病院、三重県立総合医療センターなどありますが、ここにも陰圧病室を備えている病院もあります」
先ほど飛沫感染のコロナウイルス治療には、必ずしも必要ではなさそう、ということでしたが…
後藤「基本的に感染症の管理については、飛沫感染であっても、合併症でいろいろな空気感染の病気を併発することもあるので、陰圧室を設けているという病院もかなりあります」
こうした感染症に対応できる病院は各地域にあります。気になる方は調べてみてはいかがでしょうか。
(みず)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
この記事をで聴く
2020年02月25日07時22分~抜粋