多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

世界一細長い博物館?福井県年縞博物館の展示物がすごい

2018年9月に開館した福井県年縞博物館(福井県若狭町)は、世界でも最も細長い展示物のある博物館です。
その展示物は地球の歴史を知る上で、世界的に貴重かつ重要なものだということですが、それはいったい…

2月12日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP.O.N』は、福井県年縞博物館の学芸員である長谷さんに尋ねました。

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年縞とは?

この博物館の名にもある「年縞(ねんこう)」とは、湖などに溜まった堆積物の層のことです。

一年に一層づつ積もって縞模様になるので「年縞」と言います。
この博物館にある年縞は、福井県若狭町の水月湖から採取されていますが、非常に特殊な環境にある湖だそうです。

長谷さん「深い湖で、湖の底に生物がいないんですね。湖底を引っ掻き回す生き物がいないので、静かに地層が堆積していくんです」

堆積物は、一年間のうち、暖かい時期と寒い時期で異なるそうです。
暖かい時期は、主に有機物であるプランクトンの死骸など。
寒い時期は、生物の活動が少なくなるため、主に鉱物や無機物が溜まっていくんだとか。

結果的に、明るい部分と暗い部分で一年分の層になります。それを数えることで何年かがわかります。
 

世界一細長い博物館

この博物館の年縞は、縞模様が7万層、つまり7万年分が堆積しているそうです。
7万年分の年稿ともなると、厚みが45メートルにもなります。

長谷さん「これだけ連続しているものは世界で唯一といってもいいと思います」

展示されている年縞は、湖底にパイプを差すボーリングという方式で採取してきているそうで、幅はパイプの幅の10センチぐらいだそうです。
つまり10センチ×45メートルという、かなり細長い展示物です。

長谷さん「非常に長いものを展示しなければいけないので、世界一細長い博物館の建物になってます」

実は45メートルのビルを建てることが非常に大変なので、採取した堆積物を横に寝かせて展示しているそうです。その結果、この博物館は横に細長い建物となったのです。

長谷さん「来館者の皆さんは、現在から過去に向かって、どんどん歩きながら7万年分の時間を体験できるということです」
 

年縞の役割りは?

その7万年分の縞模様からわかることは何でしょうか?

長谷さん「主に2つわかることがあります。ひとつがモノサシの役割です。年縞の縞模様を一枚一枚全て研究者が数えたんです。そうすると例えばこの層は何千何百何十何年前っていうところまで正確にわかるんですね」

年縞の中に入っている"炭素14"という放射性物質も調べるそうです。
炭素14は時間の経過とともに規則正しく減少して行くので、掘り出したものの年代を見極める目安にされています。

ある土器の年代を調べるには、土器に含まれる炭素14と、年縞の炭素14を比較すれば良いわけです。量が一致した年縞の層が、土器の年代だと特定できます。
年縞がその出土品の年代を測るモノサシになるわけですね。

長谷さん「実は、この博物館の年縞が年代を測定するモノサシとして世界中で使われています。ここの年縞のデータが世界中で共有されてますので、若狭町のこの博物館の存在を知らなくても、その恩恵にあずかっている人は世界中にいます」

なんと福井県年縞博物館の年縞が、地質学における「世界標準」というわけです。
 

過去の環境が分かる

では、年縞のもうひとつの役割は何でしょう?

長谷さん「年縞の中に入っている花粉を調べるんです。そうすると地球の過去の環境がわかるんですね」

この年縞は、7万年分の地球環境が詰まった、まさに「奇跡の堆積物」というわけです。

長谷さん「町の宝であり、福井県の宝であり、日本全体として、こういう素晴らしいものがあることを誇っていいんじゃないかと思います」

福井県若狭町にある年縞博物館、名古屋からであれば日帰りで行けます。
世界に誇る年縞、ぜひ一度実際にこの目で見たいものです。
(尾関/画像:公益社団法人 福井県観光連盟) 
 
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2020年02月12日08時13分~抜粋

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