多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

お正月映画は大豊作!元映画宣伝マンが薦める5作品

2019年12月30日(月)

エンタメ

12月27日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、年末年始休み直前ということでお正月映画を紹介しました。

紹介するのは、日本ヘラルド映画の宣伝で活躍されていた広江邦生さん。
「48年間映画の仕事をやっていて、今日はすごく作品紹介するのが楽しみ」と広江さんが絶賛するほど豊作ということです。

男はつらいよ お帰り 寅さん

1996年に68歳で亡くなった渥美清さんの代表作『男はつらいよ』。
シリーズは今回で50作目となります。シリーズの大半を監督し、本作を手掛けた山田洋次さんは87歳となりました。

多田「昔の映像を使って新しい作品を作ったのでしょうか?」

広江さん「不思議でしょう?私は見るまでどういうふうに作られるか楽しみでした」

本作品は2本のストーリーで構成されています。
ひとつは寅さんのおい・満男(吉岡秀隆)の妻の七回忌で、おなじみの顔ぶれが帝釈天の「とらや」へ集まります。
寅さんの話題が出ると、過去のシリーズ映像が流れます。

ふたつめのストーリーは有名な小説家になった満男の話。中三の娘がひとりいます。
満男のかつての恋人の泉(後藤久美子)が偶然、満男のサイン会に現れたところから新しいドラマが始まります。

満男は娘との二人暮らしを7年間続け、再婚話があっても拒否してきました。
娘は満男がひとりでかわいそうと思っているところへ泉が現れ、家族会議が開かれる…。

多田「後藤久美子は今の映像。寅さんの映像は昔の映像、それはなんの違和感もなく入ってくるんですか?」

広江さん「約2時間の映画の中で二本の線路が敷かれている。ひとつは満男のほろ苦い現在進行形の恋話。もうひとつは団子屋でわいわいやっている」

多田「つまり2本のストーリーが1本の映画の中でなんの違和感もなく現在と過去の思い出として流れていく、すごい脚本ですね」

広江さんは「1時間55分、俺、映画の仕事をやっていてよかったなと思ったね」としみじみ話します。

男と女 人生最良の日

スキャットのテーマソングで有名な『男と女』は、1966年に公開されたフランス映画。本作はその続編です。
監督は前作同様クロード・ルルーシュ、82歳。音楽担当は昨年亡くなったフランシス・レイです。

当時の主人公、カーレーサー・ジャン役のジャン=ルイ・トランティニャンとアンヌ役のアヌーク・エーメの二人が、本作も同じ役で出演しています。
ジャン=ルイ・トランティニャンは89歳、アヌーク・エーメは87歳です。

かつての主人公・ジャンは老人ホームに入所しています。彼の頭の中に浮かぶのはかつての恋人だったアンヌのことばかり。

ジャンの息子がアンヌを探し出して再会させますが、アンヌは予想もしていなかったジャンの気持ちに応え、一気に恋が燃えあがります。

かつてのシーンも自然の流れの中で挿入されています。

ただ哀しいことに、ジャンはアンヌのことを覚えていない。思い出はいっぱい残っているけど、今のアンヌがわからない。
「昔こういう人がいて…」とかつてのアンヌのことを本人にしゃべってしまうのですが、彼女の恋心はどんどん燃えてくるのです。

多田「役者を変えて、若い人で続編を作ったのではなく、リアルに50年たった今を描いているのがすごいですね」

広江さん「ノルマンディーのホテルで会う時、役者さん同士ではなく、本当に50年ぶりに再会した恋人同士のような感じだったそうです」

まさに「恋愛バイブル」と言われた『男と女』が復活したと語る広江さん。
アンヌがノルマンディーへ誘うシーンがいいそうです。

多田「広江さん、自分の今までの人生を振り返っているでしょう?」

広江さん「多田さんの青春もそうでしょう?」

以上、二作品は広江さん、多田世代にとっては自分の青春を思い出しつつ、人生を感じることのできる作品になっているようです。

フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて

この作品は実話を映画化したもの、アカペラおじさんコーラス隊、と例える広江さん。

イギリスの小さな漁村の水夫たちが自分たちのためにコーラスをやっていたところ、一気にインターネットで人気となり、メジャーデビューする話です。

テーマは絆。人間関係を大事にする小さな漁村のコーラス隊のところに、都会からレコードを作る若い人たちが行くのですが、両者にはあまりにギャップがありました。
現代はどこか間違えている、ということがわかる映画だそうです。

多田「寅さんと根底に流れる考え方に共通点がある映画ですね」

リチャード・ジュエル

本作も実話を映画化したものです。
1996年にジョージア州アトランタで起こった爆破テロを題材に、あのクリント・イーストウッド監督が手掛けた超ハードな作品です。

主人公は若き警備員リチャード・ジュエル。オリンピック開催中のアトランタで、彼は不審なバックパックを見つけました。周囲の人々を非難させていると、このバックパックに仕掛けられた爆弾が爆破し、死傷者を出します。

ところが、たった1本のメールをきっかけに「なぜそんな簡単にバックパックを見つけテロを防止できたのか」「実は彼が犯人ではないか」と、全米のジャーナリストやマスメディアが彼を誹謗中傷しはじめます。彼の容疑は果たして…

本人を守るのは弁護士とお母さんだけ。二人がネット社会にぶつかっていくという現代ならの映画です。

ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋

ロングショット 僕と彼女のありえない恋』は、アメリカンジョーク満載のラブコメディ映画ですが、作中には大きなテーマとコンセプトがあります。

インテリで頭が切れて次期大統領候補の女性と、小さい時の幼友達、お金も地位もファッションセンスもない、だけど生一本の男。二人が25年後に再会し恋に落ちます。

広江さん「会話やシーンのすべて、おとなの男女が見るとたまらない映画です。風刺もきいているし、楽しい映画、まさにお正月映画です」

幅広いジャンルの良作が揃った今年のお正月映画。あなたはどれを観ますか?
(みず)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2019年12月27日08時14分~抜粋
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