多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

首里城にスプリンクラーがなかった理由

10月31日未明、沖縄県の首里城で大規模な火災が発生し、正殿などが全焼してしまいました。
正殿内にスプリンクラーは設置されていませんでした。

そこで11月12日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、スプリンクラーの設置されなかった理由、取り付けの判断などについて、CBC論説室の北辻利寿特別解説委員に話を聞きました。

スプリンクラーと消防法

スプリンクラーは、火災発生時に熱などを自動的に検知して、水を撒いて火を鎮める装置です。初期消火には非常に役に立つと言われています。

このスプリンクラー、建物につける基準はどうなっているのでしょうか?

北辻「消防法という法律があり、設置基準が決められています。映画館、劇場、デパート、ホテル、11階建て以上の商業施設など、床面積とかいろいろな条件で決められています」

一般的には大きめの建物で、人が集まる施設が対象となっています。

設置の義務はない

今回の首里城での火災をきっかけに、日本各地の文化財で消火対策が検討されています。
そもそも文化財に対する基準はあるのでしょうか?

北辻「消防法では関係ないです」

ちなみに1950年(昭和25年)に文化財保護法が制定されています。きっかけは前年の法隆寺金堂の火災だそうですが…

北辻「文化財保護法にスプリンクラーの設置基準はありません。あくまでも消防法上の基準で文化財施設も対応している、というのが文化庁の担当者の言葉です」

首里城は世界遺産ですが、琉球王朝時代の遺構が対象です。
しかし今回炎上した本殿などの建物は25年前に再建されたもので、文化財にも指定されておらず、設置を義務付けられているほど大きな建物でもありません。
そのため、消防法でスプリンクラーをつける対象ではなかったということです。

文化財につけられてない理由

パーソナリティの多田しげおが「スプリンクラーをつけるつけないというのは管理する側の判断で、つけてないところが多いということですか?」と尋ねます。

北辻「多いです。文化庁の担当者によると、費用がかかる、配水管を建物に張り巡らせますから、貴重な文化財がそれによって損害を受けてしまう。

最後に、万一、機械が誤作動したら水が撒かれてしまいます。スプリンクラーは自動で水を撒きますが、基本止まらないです。誰かが止めないといけない。

貴重な文化財が水で損害を受ける『水損』です。その恐れが否定できないと躊躇する文化財の施設も多いそうです」

設置率1.5%

今年は、海外でも貴重な文化財を失う火災が発生しました。
4月にはフランス・パリのノートルダム大聖堂が火災で焼失しました。

北辻「実は文化庁が、国宝や重要文化財の防火設備について緊急のアンケートを実施しました。
国内4,649のうち98%が回答しましたが、なんとスプリンクラーを設置していたのが、4,543のうちの66だけでした」

日本中にある数多くの文化財で、わずか1.5%という数字です。

北辻「これを受けて、文化庁もスプリンクラーの設置を進めるという通知書を出しています」

この通知からわずか1ヵ月後、首里城は火災に遭ってしまったのです。

消失したら取り返しがつかない

木造の建造物が多い日本の城郭。

北辻「名古屋城は今の天守閣も本丸御殿もスプリンクラーは付いてないです。大阪城も付いていないですが、姫路城は1,000基付けています。こちらは国宝です。

姫路城でも議論があって、『水損』とか配管で傷がつくとかありましたが『一度消失したら取り返しがつかない』という意見が大勢を占めて付けました」

多田「判断は難しいですが、費用がかかるのは上手に解決して、誤作動の水損と、火が出たらもっと損害が大きい…どっちをとるかですね」

北辻「文化財であろうがなかろうか、首里城は沖縄の皆さんの心のよりどころです。自主的にやるならやる。『一度消失したら取り返しがつかない』という言葉の重みを噛みしめるべきと思いました」

一方で、誤作動による「水損」を危ぶむ声もまだまだ根強いスプリンクラー。
「なんとか誤作動の確率をテクノロジーで抑えて付けるべきだと思いますけどね」と、感想を述べる多田でした。
(みず)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2019年11月12日07時21分~抜粋

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