多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

無電柱化が遅れている!災害時に被害が大きくなる?

先日、台風15号で千葉県を中心に大規模停電が発生しました。
その時に、もし無電柱化が進んでいれば、こんなにも大きな停電にはならなかったのに…という声がありました。

9月30日の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では「無電柱化」を取り上げました。

政府は2016年に無電柱化の推進法を作り計画を進めていますが、現状はどうでしょうか?
パーソナリティーの多田しげおがCBC論説室の後藤克幸特別解説委員に尋ねました。

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「無電柱化」とは?

まず、「無電柱化」とはどういうことでしょうか。

後藤「電力会社の電線とか、通信会社の通信の線を、例えば都市部では地下に空間を作ってそこに埋めたり、観光地の場合、表通りから見えないような軒下をはわせることで、電柱をなくしたりすることです。
表通りの景観をよくするということもあって、電柱をなくそうとしています」

無電柱化のメリットは何でしょうか?

後藤「災害が起きた時に電柱が倒れたりすると、凶器になったり、停電を起こしたりするおそれがあります。
電線が切れて垂れ下がって感電したり、お子さんが事故にあったりすることがなくなります。

その他、電柱をなくすと、道路の幅が広くなって、歩道を広くとれるので、車いすの方、ベビーカーの方の通行がスムーズになって、生活空間が安全で快適なものになるとも言われています」

多田は「名古屋市でも官庁街あたりは無電柱化が達成できていますが、あそこにいくと何となく空が広く感じますね」と、実感を語ります。

遅れた現状

日本の無電柱化はどこまで進んでいるのでしょうか?

後藤「電線が張り巡らされた道路のうち無電柱化できた割合は、今、最も進んでいる東京の23区でも8%、名古屋市だと5%、その他の地域はもっと低くて0.5とか、それ以下の地域もかなりあります」

多田「結構前から言われ始めた割には、ほとんど日本では進んでいないですね」

進んだ外国

しかし、海外では全然事情が違います。

後藤「ロンドン、パリ、香港、シンガポールは100%と言われています。韓国ソウルでも50%ということです。海外と比較すると相当立ち遅れています」

多田「考えてみれば、ヨーロッパでは、電柱をほぼ見たことがないです。考え方がそもそも違うんですか?」

後藤「欧米では『電線は地下にあるもの』という認識があります。
ロンドンでは18世紀の産業革命以来、街の治安がよくないということでガス灯が普及していきました。ガス管は地下に埋めていた。その後に電気も普及していった。当然、電気も地中に、という歴史的な背景があります」

経費が問題

日本で電柱が今なお普及しているのはなぜでしょうか?

後藤「日本は戦後の復興過程で電気が急速に広がっていきました。その時に戦後の貧しい国家財政の中で、コストの安い電柱を立てて電線をはわすという選択をしました」

後藤委員によれば、日本における電柱は3,500万本以上。しかも、いまだに毎年7万本の新しい電柱が立てられているそうです。

多田「無電柱化が進まない一番の原因は経費ですか?」

後藤さん「一番はコストです。電柱を立てて電線を這わせるコストに比べると、無電柱化するとおよそ10倍くらいかかると言われています」

災害に強い町を

しかし、後藤委員は先日の千葉における教訓を生かして、無電柱化を早く進める必要があると言います。

後藤「例えば、南海トラフ巨大地震への備えはとても重要です。災害に強い町づくりを優先する上でも、電柱をなくすことは大事なことだと思います」

多田「地震が発生する、電柱が倒れる。それより、電線はそもそも地中に埋めておいた方が、はるかに安全なインフラだと」

後藤「できるところからなるべく頑張って無電柱化を進める方向で、国も地方自治体も動いています」

多田「そういうところにお金をかけて欲しいですよね」

後藤委員は最後に「災害に強い街、魅力ある景観、両方から無電柱化は必要だと思います」と、まとめました。
(みず)
 
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2019年09月30日07時21分~抜粋

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