いよいよ食欲の秋です。9月18日の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』「朝からPON」のテーマは「味」です。
何かを食べておいしい、甘い、からい、すっぱい…味はどういう風に決まるのでしょうか?
そして総合的に味をどういうところで感じているのでしょうか?
実は味は、その時聞いている音や見ている映像なども影響するようです。
東京大学大学院情報理工学系研究科の鳴海拓志先生に伺いました。
音からの影響
まずは音です。「何かを食べている時に、ある音を聞きながら食べると味が変わる」という例がいくつかあげられました。
まずポテトチップスを食べている時です。
鳴海先生「ポテトチップスを食べている時、そのパリパリという音をマイクで拾って大きくして聞かせると、ポテトチップスはよりサクサクに感じます」
次にベーコンエッグです。
鳴海先生「ベーコンエッグを鶏の鳴き声を聞きながら食べると卵の味が強く感じられて、豚の鳴き声を聞きながら食べるとベーコンの味が強く感じられます」
さらに驚きなのがシーフードです。
鳴海先生「シーフードを食べるときに波の音を聞かせた状態で食べると、塩味を強く感じたり、海のような風味をすごく感じるというのが知られています」
もちろんそれまでの人生経験によって、「波の音を聞くと海」と感じるので、幼児がこれをやってもほとんど効果はないそうです。
音楽からの影響
さらに、音楽を聞かせながら何かを食べると、味に対しての効果がいろいろ出てくるそうです。
鳴海先生「高い音のものを聞くと、より強く苦みを感じやすくなる。低い音のものを聞くと、甘味の感じを強く受けることが知られています。
音の高低のほかに、リズムがあるようなものビートがわかりやすいものは、酸味、苦いを感じさせやすいです。
なめらかさが続くような音、ピアノやフルートの音は甘味とか舌触りがよく感じるという効果もあると知られています」
フランス料理店でクラシックが流れているのは理屈に合っているような気がします。
映像からの影響
さらに、映像も味に影響を及ぼします。
鳴海先生「天ぷらを机の上に置いて、そのまわりに天ぷら屋さんの映像をプロジェクションマッピングで出すと、自分がまるで天ぷら屋のカウンターにいて、おじさんが天ぷらを揚げて出してくれるように見えます。
映像を出した瞬間に、みなさん香りを強く感じます。食べると温かくておいしい」
でも、実際天ぷらは同じものです。不思議ですね。
五感
つまり味は五感にずいぶん影響されるようです。
鳴海先生「食べる時は、実は舌以外もフル活用しています。匂いを感じる、食べる前に食べるものを見て、その後口に入れると食感を感じて、匂いを感じて、味がやってくる。
よく考えると、食は五感が全部ミックスされた体験です。例えば、鼻をつまんでご飯を食べると味がしない。これは香りがわからないからです。
味は、味覚以外の体験が多くて、お互いがどういう風に補完しあってひとつの味を作っているかちゃんと理解すると、味覚以外の感覚が味を大きく左右していることがわかります」
多田は「確かに、嗅覚がおちてきて、『最近もの食べてもおいしくない』という人がいます。これは嗅覚が味を補完している、その部分が落ちてしまったのでおいしくないとつながってくる」と、腑に落ちたようです。
機内食の話
最後は、飛行機の機内食がおいしく感じにくい、という話です。
鳴海先生「ガーっというタイプのノイズをずっと聞いているから。その状況だと人間は甘味を特に感じにくくなり、味が全体的に薄く感じてしまう、だからおいしくないということが知られています。
ある航空会社はそれに気づいていて、本日の機内食にあった曲をかけるというサービスをしています。甘味を感じやすい曲を流すことで、ノイズの影響が下がって、機内食でもおいしく食べられます」
多田は「イヤフォンでいろんな音楽を提供していますから、ピアノなどの音楽聞きながら食べると、機内食もよりおいしく食べられるかもしれません」と補足しました。
(みず)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2019年09月18日07時22分~抜粋