「切実すぎる」と話題の奈良市観光ポスターの謎。観光協会に聞いてみた。

多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N / レジャー

ネット上で奈良の観光キャンペーンのポスターが「切実」「自虐的」と話題となっています。
一体どんなポスターなのでしょう?

8月27日『多田しげおの気分爽快!!』では、奈良市観光協会広報企画課グループリーダーの胎中謙吾さんに制作意図などを伺いました。

みんなで泊まれば怖くない

このポスター、奈良公園の横断歩道を三頭の鹿が渡っているという、ビートルズのアルバム『Abbey Road』風のデザイン。
注目すべき点は横断歩道のさらに手前、「止まれ」の表示が「泊まれ」になっています。

奈良には数多くの観光客が訪れますが、宿泊客は少ないそうです。調査によれば年間観光客約1700万人に対し、1割という数字もあるようです。

胎中さん「観光客の方は多いんですけど、周りの大阪とか京都といった場所に宿泊されて、荷物はホテルに置いたまま、奈良に日帰りで来るっていう方が多いですね」

大阪や京都から奈良までは、近鉄電車でわずか30~40分の近さにあります。
しかし敢えて奈良で泊まる良さもあるはずです。

胎中さん「やっぱり連泊とかで来られると、そっちの方が観光客の皆さんにとっては楽かもしれないですね」

泊まらないとわからない夜の魅力

多田「宿泊した経験があるんですが、あの街の中心部、奈良公園の辺りが夜、シーンと更けていく風情っていいですもんね」

胎中さん「そうなんです。そこが、やっぱり奈良の魅力かなと思いますね!ゆったり過ごせるっていうのが奈良の魅力ですね」

思わず声が大きくなる胎中さんですが、この風情を楽しむためには、とにかく観光客に泊まってもらわないといけません。
そして話題となっているこのポスター、果たして効果のほどはいかに?

泊まらないといけない気分に

このポスターが作られたのは、3年前の2016年(平成28年)度のキャンペーン。

胎中さん「奈良市の中の観光案内所はもちろんですけど、東京にある奈良のアンテナショップ『奈良まほろば館』に貼ってあったり、あとは『ポスター欲しいです』っていう旅行会社さんにお渡ししたりしてます」

効果のほどは?

胎中さん「一概に、このポスターを見てグッと伸びるか?と言うと、わからないんですけれども(笑)」

とは言え、反応は上々のようです。

例えば、修学旅行担当の学校の先生からは「これ見ると泊まらないといけないような気分になったなあ」、旅行会社からは「このポスターで奈良をPRします」の声、また最近ポスターの話題の元になったSNSのコメントでも「泊まらなあかんなあ」という声が多いそうで…。

胎中さん「そういうコメントを見てると、多くの方に認知されて、宿泊への動機付けにはなっているのではないかと感じます」

鹿の横断が普通という感覚

このポスターはかなりのインパクトです。人は写っておらず、三頭の鹿だけが横断歩道を左から右に悠々と渡って行っています。
奈良に住んでいる方は、このポスターを見てどう思うんでしょうか?

胎中さん「私自身、奈良に生まれて、奈良で育っている人間です。中学、高校からこの奈良公園のあたりにずっと通ってたんですけども、鹿が横断歩道を渡る様子はよく目にしてたので、それが普通という感覚だったんです」

県外の人からすると、驚きの光景ですが…。

胎中さん「それが当たり前ではなかった、ということに気づきました(笑)」

鹿よりもむしろ犬

特に奈良公園の周辺は、生活の中に鹿がいるのが自然な場所。

胎中さん「私の通ってた中学、高校が奈良公園の近くだったんですけれども、校庭の中に鹿が入ってくるっていうのは日常茶飯時でした」

運動場で鹿が草を食べている、その横で胎中さんたちは鹿を気にすることもなく、ソフトボールをするような光景がよくあったそうです。

胎中さん「逆に犬が入ってきた方が、みんな『うわ~犬や~』って騒いでましたね(笑)」

このポスターこそ奈良市民の日常というわけです。

鹿はどこで寝る?

ちなみに奈良公園の鹿は天然記念物に指定されています。
『鹿政談』という鹿が出てくる落語もあり、江戸時代より前から、奈良の人にとって鹿は、いることが当たり前の、家族のような存在であることが想像できます。

その鹿と一緒に「泊まれ」と観光客を誘う観光ポスターですが、夜になると鹿はどうしているのでしょうか?

胎中さん「奈良公園内に自分たちの寝床がありますので、そこに帰って行きますね」

鹿たちは奈良公園周辺の林で、10~30頭のグループを作って寝ているとのこと。

夜の風情を楽しんだり、有名な朝の「鹿寄せ」に参加したいなら、やはり宿泊がよさそうです。
(尾関)
 
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2019年08月28日07時38分~抜粋

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