あんこの原料となる国産小豆が高騰し、特に北海道産のものは15年ぶりの高値だそうです。
原因は天候悪化による不作で、業者では仕入れにも苦労しているようです。
7月2日『多田しげおの気分爽快‼︎』では、CBC論説室の後藤克幸特別解説委員に和菓子への影響などについて聞きました。
赤い色は神の色?
日本では古くから小豆を食べているようで、縄文時代の遺跡から小豆の種が発見されています。
「ヒマラヤ地方から中国、朝鮮半島、日本に至る広いアジアの地域で、原種が野生していたらしいんです」
日本で「小豆」という名前が初めて登場するのは、奈良時代に書かれた『古事記』において。
「"あ"は赤い色。"つき"って言うのは溶ける意味だそうで、赤い豆で煮ると柔らかく溶けて形が崩れることから小豆と呼ばれるようになった、と日本豆類協会さんに教えていただきました」
古くは、赤色には神が宿っているというイメージがあって、儀式に使われていたようです。
小豆が一般的になってからは、あんこや煮豆などに用いられるようになっていきました。
北海道が90%
「食料の自給率が日本は低いんですけど、小豆は国産の割合がおよそ7割と言われていて、国産小豆の中でも90%が北海道産です。圧倒的シェアは北海道なんです」
これには、明治時代に北海道を開拓するにあたって小豆の栽培が奨励されて、品種改良の研究なども行われてきた歴史が関係するそうです。
シェアナンバー1が北海道、言い換えれば北海道で気候変動があると、いっぺんに収穫量が減るということにもなります。
地球温暖化の影響なのか、台風が直撃したり、長雨が続いたり、ここ数年、北海道の気候変動が大変でした。
「2000年代の初頭の北海道の小豆の収穫量は7~8万トンありましたが、2016年には3万トン、2017年がおよそ5万トン。2018年は4万トンと低迷が続いているのが気になるんですよ」
赤いダイヤ
小豆は「赤いダイヤ」と呼ばれ、投機の対象になる穀物です。
前述のように国産小豆は産地が集中しているため、北海道の気候に収穫量が大きく左右されます。
これによって価格も大きく変動するため、投機の対象として扱われました。
ただ最近は、農業技術の進歩や、冷害に強い品種が開発されたりするなどして生産量は安定傾向に向かっていました。そこへ最近の異常気象…。
「地球温暖化の影響だと長期傾向として続くので、変動というよりも、北海道で小豆が作りにくくなる、そういう予兆だと嫌だなと思うんですけど…」
和菓子に影響が
小豆が少なくなるということは、あんこの生産も少なくなるため、和菓子に影響が出そうです。
夏は、水ようかんやあずきバー、氷菓子などあんこが活躍するシーズンですが…。
「井村屋さんなどはホームページを見てみると、この春から10%程度値上げがされていますよね。これから夏の美味しい小豆を食べようというシーズンですから、甘党の方には影響が出ますね」
ここでも少子高齢化が問題
当面は輸入の小豆を増やすことで凌ぐそうです。過去には中国産の小豆が多く輸入されていましたが、最近はカナダと北アメリカの小豆が多いそうです。
カナダと北アメリカの小豆は、日本の小豆を持って行って栽培しているので、味も美味しいと言われています。
味は維持できるかもしれませんが、しかし自給率は低落傾向が続きます。
実は北海道での小豆の収穫量減少の要因は、異常気象の他、少子高齢化も挙げられるそうです。
「小豆農家の高齢化、担い手不足が深刻になり始めていると言われているので、温暖化と少子高齢化の二局面から小豆が攻められるという時代なんですよね」
甘いものが好きな方は、ちょっと心配な話です。
(尾関)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
この記事をで聴く
2019年07月02日07時21分~抜粋