農林水産省は2日、セントレアで今年1月に中国からお土産として持ち込まれた豚肉ソーセージが原因で、感染力のある「アフリカ豚コレラ」のウイルスが初めて2例確認されたと発表しました。
4月4日放送『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』のニュース解説では、この「アフリカ豚コレラ」についてCBC特別解説委員の後藤克幸が解説しました。
以前、東海地方で大変な被害を受けた豚コレラよりとは何が違うのでしょうか。
アフリカ豚コレラと豚コレラは違う
「アフリカ豚コレラ」という名前を聞くと、元はアフリカで発生した豚コレラなのか、と思いがちですが、実は「豚コレラ」とは病原菌も異なり、全く別の伝染病なのだそうです。
しかし、「豚とイノシシが発症する」「豚が発熱し、高い致死率である」という点でよく似た症状があるため、日本名では同じような名前になっています。
元々はアフリカで発生した病気ですが、航空機の発達や物流の国際化により、まずはヨーロッパに入りました。
ヨーロッパは地続きであるため、野生のイノシシが国境とは関係なく移動するため、ロシアに広がっていき、さらに中国やベトナムにまで到達しています。
一方、日本は海に囲まれた国であるため、まだアフリカ豚コレラは入ってきていないと思われていたのですが、今回の発表であらためて危険性が示されたわけです。
アフリカ豚コレラが厄介な理由
そのアフリカ豚コレラですが、豚コレラよりも厄介なのだそうです。
アフリカ豚コレラは日本ではまだ発生していないとされていますが、豚コレラの方は明治時代から報告があり、養豚業者を長らく苦しめてきた家畜の伝染病です。
ただし、豚コレラはワクチンが開発されており、1990年代に熊本で発生して以降は、いったん終息していました。
一方で、アフリカ豚コレラはワクチンが開発されていません。
なぜかというと、豚が感染しても身体の中にウイルスを見分ける抗体ができない種類の病気であるため、ワクチンの開発が難しく、まだないのが現状です。
なお、ここで押さえておきたいのは、豚コレラと同様、アフリカ豚コレラも人には感染しない病気であり、万が一、感染した豚肉を食べたとしても、人には影響はないということです。
海外旅行での注意点
しかし、人には影響はないとはいえ、養豚業者の方々には大きな影響を与えていることに変わりはありません。
豚コレラと違って、アフリカ豚コレラにはワクチンがないことで、深刻な問題があります。
多田「アフリカ豚コレラは日本に入ってきて蔓延し始めると、止めようがないかもしれないですよね」
後藤「そこが問題になっているところなので、水際で日本に入らないようにする対策が今非常に重要になってきています」
多田「どんどん広がっていったとしたら、殺処分が行われる。そうすると、本当に養豚業が大打撃の可能性がありますね」
後藤「国産のものが少なくなっていってしまうという恐れはありますね。
国内で豚は約920万頭、九州・関東・東北が3大産地で、東海地方も4番目の産地ですから、この地方の経済にとっても非常に重要な問題になってますよね」
今回持ち込んだソーセージを人間が食べたとしても人間に影響はありませんが、もし食べ残しを捨てた物を豚やイノシシが食べて感染し、それが養豚場の付近に来ると一気に感染する恐れがあります。
日本では肉製品や動物から作った製品の持ち込みは検疫で本来没収されますが、荷物にまぎれると見過ごされる可能性があります。
10連休で海外旅行に行く方も多いと思われますが、私たちも肉製品などを持ち込まないよう、あらためて認識しておく必要がありますね。
(岡本)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2019年04月04日07時21分~抜粋