人の名前が思い出せないのは、本当に老化のせい?

多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N / ライフ・ヘルスケア

2月1日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、「脳の不思議」シリーズ第32回として「脳の老化」を取り上げました。

お話を伺うのは、脳の研究では日本のトップレベルにある自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)の柿木隆介教授です。
聞き手の多田しげお(69)も他人事でないと興味津々です。

脳の老化と筋肉の老化

─脳の老化と筋肉の老化、違いはあるんでしょうか?

柿木さん「脳と筋肉は両方とも他の臓器と極端に違います。
筋肉は60、70歳になっても鍛えたら大きくなります。これは他の臓器ではないことです。

脳は鍛えてもそれほどでもなく、やらないよりやった方がましというレベルです。やろうという気持ちが大切です」
 

名前が思い出せない…これ老化?

─69歳の私の最近のできごとを例にとって「これは脳の老化か」をお聞きします。
顔は思い出せても名前が思い出せない、これは老化ですか?

柿木さん「これは老化と思わないでいいです。結構若い人でも起こります。

名前を思い出せないのには、特別な理由があります。
顔の記憶は特別で、ほとんど無限大に覚えられると言われています。しかも一回見ただけでも大体覚えています。

言葉のない原始時代は、顔を見て相手が敵か味方か、それで判断しないといけません。だからすごく発達しました。言語はずっとその後です。

顔だけに特化した細胞がたくさんあり、脳の一番奥の傷つけられない狭いところに集中しています。脳の右半球奥のやられにくいところです。
記憶力で顔だけは無限大に覚えていけます。

名前は記号です。それは限度があるし、覚えてもその場でぱっと出てくる名前はもっと限度があります。

顔は無限大に覚えられる。名前はある程度決められている。そうなるとその差がどんどん大きくなります。

こどもの時は知っている人は少ないです。だから名前がわからないということが少ない。

ところが大人になると顔は右肩上がりで無限大に覚えていきます。ところが覚えられる名前は平行線です。そうすると、歳をとるとだんだん差が大きくなります。

だからボケてきたわけでも、能力が落ちてきたわけでもないのに、必然的に歳をとると顔は覚えていても、名前が出てこないという現象が出やすくなります」
 

複数のことを同時にできない

─「○○を取ってこよう」と2階に行く。階段の途中で、カミさんに「××取ってきて」と言われる。2階に着いた。が、何を取りに来たかわからない。これは老化?

柿木さん「若い時にも起こりうることですが、歳をとるとそれは激しくなります。
これは『作業記憶』と呼ばれています。同時に複数のことをやるということです。これは意外に難しいです。
残念ながらこれは歳をとるとひどくなります。老化現象です」

─車の運転は同時に複数のことをやることの典型ですね。老化でだんだんやれなくなるのでしょうか。

「普通に道を行っている分には大丈夫です。ところが、知らないところに行くとか、何かアクシデントがある、工事で別の道を通らないといけない、そういうことがあると乱れます。
『俺はぼけてない、大丈夫だ』と、変な自信を持っている方が一番危ないです」
 

一年が早く感じる…これも老化?

脳の老化について、質問が届きました。

「還暦を過ぎて一年が経つのが早くなりました。これは脳の老化でしょうか」(Aさん)

柿木さん「老化ではないです。こどもの時は日々楽しいことがいっぱいあります。トンカツがうまかったとか、先生に褒められたとか、いじめられたとか、日々いろんなことがあり、一日が結構長く感じます。

歳をとると毎日同じようなことばかりやっている。トンカツがうまくても別に感動もしないし、日々変わりないところを過ぎていくので、思い出になるようなことがあまりなく、早いと感じてしまう。
諸説ありますが、たぶんそれが一番の原因と思われます」
 

脳の老化とは?

─そもそも『脳の老化』とはどういうことですか?

「まず第一に神経細胞が日々減っていきます。若い頃から減っていますが、歳をとると加速度的に減っていきます。当然いろんな脳の機能が落ちます。これは仕方ないです。

ただ、歳をとると経験則で身についた、脳が覚えていることがたくさんあるので、あまり考えなくてもなんとかなることがあり、それで補っています。

考える能力、記憶する能力は間違いなく日々どんどん老化で落ちています。それを経験則で補っているのが『歳をとる』ということです」
 

若い人には○○しないこと

「一番よくないのは、自分が昔うまくいったという成功体験をそのまま引きずって、それを若い人に押し付けることです。

僕は60歳過ぎてから若い人に何も言わなくなりました。
若い人には説教しない、威張らない、飲みに行ったらおごる、この三つしか考えていないです(笑)」

柿木さんは数多くの著作がありますが、中でも『記憶力の脳科学』(大和書房)は、最近、中国版、韓国版が出版され好評だそうです。ぜひ読んでみたいですね。
(みず)
 
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2019年02月01日08時14分~抜粋

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