『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』の「ネーミングミステリー」、よく知っている商品の名前などがどういう風についたかを解き明かす名前のミステリーです。
1月29日の放送で取り上げたのは、日清食品の『どん兵衛』。
1976年誕生のロングセラー商品で、カップうどんの代名詞のような存在です。
桐生順子がレポートします。
丼型うどんの先駆け
『どん兵衛』がこの名前になったのはなぜでしょうか。
お話を日清食品ホールディングスの松尾知直さんにお聞きしました。
まずこの商品が生まれた背景についてです。
松尾さん「開発当時1970代の半ばには、即席めん市場にカップうどんが登場してきました。コップを大きくしたような縦型のカップで、カップうどんが発売されていて、それが主流でした。
日本人がうどんやそばを食べる時は、ああいったカップではなく丼で食べるので、食べやすい丼型の容器を新たに開発して作りました」
多田は当時のことをリアルに覚えているそう。
多田「私は1976年、もう仕事を始めていましたから、『どん兵衛』が登場したことを覚えています。『あ、丼型だ!さすがうどんやもんね』と思いました」
桐生「それまでは縦型容器で丼型がなかった、まず容器にこだわりました」
発売当時、丼型は画期的だったでしょうね。
"どん"はうどんと丼から
『どん兵衛』という名前はどこから来ているのでしょうか。
松尾さん「『どん兵衛』の"どん"は、うどんの"どん"でもあり、丼の"どん"でもあります。
そういうインパクトのある"どん"という言葉に、日本人らしい古来からある名前の"兵衛"をつけました。
これはまったくの造語です。
和風のジャンルの新商品、コンセプトはどちらかというと素朴なものを基本にしていましたので、覚えやすく素朴な感じがする『どん兵衛』というちょっとユニークな名前をつけました」
桐生「素朴さ、ほのぼのとした温かさが感じられるということで『どん兵衛』に決まりました」
『どん兵衛』という名前は、人のようで親しみが持てますね。
異論百出
ところが、このネーミングには反対意見もあったそうです。
松尾さん「"どん"という言葉は非常にインパクトがある言葉です。日清食品はもともと大阪が本社の会社ですが、関西弁で『どんやな』というと、どちらかというと、どんくさい、にぶい、のろまな、みたいな意味があります。
あと商品名の中に"ん"がつくと縁起が悪い。食品だと売れたためしがないという異論が社内で出たそうです」
桐生「他にも"どん"は『どん底』を連想させることもあって、ヒットする商品にするには縁起が悪い言葉ではないかと反対があったそうです」
「ユニークな名前でいい」
いったんボツネームとなりかけた『どん兵衛』が、最終的に採用されたのはなぜでしょう?
松尾さん「創業者・安藤百福の息子の安藤宏基(こうき)が当時日清食品で商品開発のマーケティング部長をやっていました。
社内でいろいろ反論がある中で、商品としての素朴さというコンセプトを反映している、なかなかこんな名前は他社ではマネできないのではないか、非常にユニークな名前でいいと、安藤宏基が押し切って決定したと聞いています」
『どん兵衛』という素朴な名前と商品にマッチして深く印象に残り、ロングセラーになったのではないでしょうか。
多田は「商品のネーミングはいろいろ考えて、マーケティングもして決まっていくものなのですね」と、感心しました。
(みず)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2019年01月29日08時32分~抜粋