多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

冥王星と「世界の果て」という名の天体

『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』、1月25日の放送では、シリーズ「天体の不思議」の8回目として、冥王星とそのまた外側の外縁天体について特集しました。

お話は名古屋市科学館の天文係の毛利勝廣さん、聞き手は多田しげおです。

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冥王星とは?

冥王星は現在、太陽から約50億キロのところに存在しています。
太陽からの平均距離としては約59億キロ。最も遠い位置では70億キロの位置になります。

1930年に発見された冥王星は、太陽に近い順に水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星に次ぐ第9の惑星とされてきました。
しかし2006年に、冥王星は惑星から外され、現在は準惑星へと格下げされました。

これはいったいなぜでしょうか?
 

惑星から準惑星へ

発見当時は惑星の定義が定まっておらず、とにかく太陽のまわりを回って大きければ惑星、小さいのは小惑星としていました。

見つかった時には大きいと思われていた冥王星ですが、観測の精度が上がってくると、月より小さいことがわかりました。
また、他の惑星が同じほぼ平面で回っているのに、冥王星は随分と斜めで軌道も楕円という特徴がわかってきました。

20世紀から21世紀にかけて、海王星より向こうに冥王星より大きい星が見つかりました。

今後も同じような星が見つかるのではないかということで、2006年に惑星の定義をし直すことになります。
そこで冥王星やその外は、準惑星とか外縁天体という別のカテゴリーになったのです。
 

観察の方法は?

太陽系の外側近くに存在している冥王星、どのように観測されているのでしょうか?

他の星の動きとの関係で観測します。
冥王星のは後ろに多くの細かい星があって、その前を通過する時間を測れば大きさがわかります。

地上からでは空気のゆらぎのために望遠鏡の精度が下がりますが、1990年にハッブル宇宙望遠鏡が上がったことで、大気の影響を受けない中での観測が可能となりました。
精度そのものも上がり、表面の模様もなんとなくわかるようになりました。
 

表面はすべすべ

2006年、アメリカ航空宇宙局(NASA)は冥王星を探査するため「ニュー・ホライズンズ(New Horizons)」という探査機を打ち上げ、2015年に冥王星の近くまで到達しました。
最接近は冥王星から12,500キロの位置でした。

もともと小さい天体は早く冷えて火山活動がないので、月のように凹凸が多いだろうと考えられていました。ところが観測した冥王星の表面は予想外にすべすべでした。
つまり、これは今でも地質の活動があることを示しています。

気温はマイナス200度。氷が地球で言う岩石の代わりになっています。
なぜあんな寒く遠い星に、未だエネルギーがあるかはまだ謎です。
 

雪だるまみたいな天体

今月1日、前述の「ニュー・ホライズンズ」が冥王星の向こう側に天体を発見したと報道されました。
実は2014年にハッブル宇宙望遠鏡が見つけていた場所へ、改めて確認に向かったということです。

ニューホライズンズが送ってきた写真によって、不思議な形の物体が見つかりました。
その名はウルティマ・トゥーレ、「世界の果て」という意味です。

そのサイズは小さく、30キロと20キロくらいの星が、まるで雪だるまのようにくっ付いています。
二つの天体が激しくぶつかるとバラバラになるものですが、この「ウルティマ・トゥーレ」は衝撃が緩かったようです。
 

宇宙人へのメッセージ

「ウルティマ・トゥーレ」の撮影を終えたニューホライズンズは、この後も太陽系の外へ向けて航行を続けています。

1977年に打ち上げられた無人惑星探査機「ボイジャー」は、40年以上経った今も通信できていて、200億キロ以上航行しています。
その前の1972年と1973年に打ち上げられた探査機「パイオニア」は、通信こそ途絶えていますが、人類からな地球外知的生命体へのメッセージとして、絵が描かれた金属プレートが取り付けられています。ちなみに「ボイジャー」にはレコード盤が搭載されています。

ニューホライズンズは全てのミッションが終わったら、メモリーをできるだけ空けて、そこに宇宙人へのメッセージを入力するのだそうです。

海に投げる「瓶詰めの手紙」の宇宙版ですね。
(みず)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2019年01月25日08時15分~抜粋

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