日本時間11月27日(月)の未明、NASAの火星探査機インサイトが、火星への着陸に成功しました。
NASAにとって火星の無人探査機の着陸は今回で8機目、2012年以来の成功だそうです。
11月28日『多田しげおの気分爽快‼︎』では、この火星探査機について、名古屋市科学館の天文係、毛利勝廣さんに聞きました。
NASAの火星探査機が着陸成功。今回は何を調査しているの?
どうやって行ったの?
2014年12月に日本が打ち上げた小惑星探査機「はやぶさ2」は、地球から一直線に小惑星リュウグウへ飛んで行くのではなく、何周も地球の公転軌道を回って、地球の重力を利用して加速する「スイングバイ」という方法がとられました。
今回のNASAが打ち上げた火星探査機は、それとは違った方法をとったそうです。
毛利さん「地球と火星が最接近する日が7月31日だったので、その前に打ち上げて、最接近の後に到着する計画でした。
そうすると平均して火星と地球との距離が近いところで行けるんです。この火星接近を狙って2年ごとに探査機が火星に打ち上げられるんです」
今回のNASAが打ち上げた火星探査機は、それとは違った方法をとったそうです。
毛利さん「地球と火星が最接近する日が7月31日だったので、その前に打ち上げて、最接近の後に到着する計画でした。
そうすると平均して火星と地球との距離が近いところで行けるんです。この火星接近を狙って2年ごとに探査機が火星に打ち上げられるんです」
着陸の時は祈るしかない
毛利さん「今回は、パラシュートでスピードを落として、最後にエンジンを逆噴射して降りました。結構ストレートな感じの降り方でしたね」
火星は地球よりも小さい天体で、重力も地球の約4割で大気も薄いなど、いろんな障害があり、火星探査の着陸は6割しか成功していないそうです。
逆噴射するにも火星の重力と釣り合うように噴射させるとのこと。
過去にはいろんな着陸方法がとられました。
毛利さん「1997年に行った探査機は、いわゆるエアバッグですね。パラシュートで十分に抵抗を落として、最後はボコボコっとエアバッグを膨らませて、それでボーンボーンと弾んで降りるとか、その次には、もうちょっとそれを大きくしたり」
さらに、その次は二段構えだったそうです。
毛利さん「ステーションみたいな機体がロケット逆噴射で火星表面近くまで降りて、最後は紐で探査機を降ろすとかですね。今回は比較的小さめの探査機なので、シンプルにパラシュートと逆噴射で着地させて上手くいきました」
着陸の難しさは地球と火星の距離も関係するそうです。
信号を送っても、光のスピードで8分かかります。往復で16分です。今回のパラシュートで降りる時間が7分間なので、信号を送っている間に降りてしまうことになります。
毛利さん「最後のところは、探査機自身が自分でちゃんとやる自立航法ということになります。もう着陸のコマンドのスイッチを入れたら地球からは祈ってるしかないです」
火星は地球よりも小さい天体で、重力も地球の約4割で大気も薄いなど、いろんな障害があり、火星探査の着陸は6割しか成功していないそうです。
逆噴射するにも火星の重力と釣り合うように噴射させるとのこと。
過去にはいろんな着陸方法がとられました。
毛利さん「1997年に行った探査機は、いわゆるエアバッグですね。パラシュートで十分に抵抗を落として、最後はボコボコっとエアバッグを膨らませて、それでボーンボーンと弾んで降りるとか、その次には、もうちょっとそれを大きくしたり」
さらに、その次は二段構えだったそうです。
毛利さん「ステーションみたいな機体がロケット逆噴射で火星表面近くまで降りて、最後は紐で探査機を降ろすとかですね。今回は比較的小さめの探査機なので、シンプルにパラシュートと逆噴射で着地させて上手くいきました」
着陸の難しさは地球と火星の距離も関係するそうです。
信号を送っても、光のスピードで8分かかります。往復で16分です。今回のパラシュートで降りる時間が7分間なので、信号を送っている間に降りてしまうことになります。
毛利さん「最後のところは、探査機自身が自分でちゃんとやる自立航法ということになります。もう着陸のコマンドのスイッチを入れたら地球からは祈ってるしかないです」
やっぱりNASAには敵わない
日本の「はやぶさ2」は、現在リュウグウに再接近して到着した状態です。
「はやぶさ2の技術とNASAの今回の火星無人探査機の技術と、どっちが偉いんですか?」と下世話な質問をする多田に、「どっちも偉いです」と答える毛利さん。
リュウグウという非常に軽い天体にはやぶさを送ることは、ある意味、日本のお家芸的なところがあるそうです。
一方、火星探査はアメリカだけで何度も行っています。実は、今回の探査機も以前行った探査の予備機だそうです。
「2007年にフェニックスという探査機が行っています。これは地球でいえばアラスカとかシベリアのような非常に寒いところに降りました。地表を削ったら霜のようなものが出てきた、みたいな探査をしたんですが、その予備機です。ですからフェニックスと形がよく似てるんです」
NASAはある程度、火星探査の技術が確立されているので、トータルなレベルでは日本はNASAに全然敵わないということです。
「はやぶさ2の技術とNASAの今回の火星無人探査機の技術と、どっちが偉いんですか?」と下世話な質問をする多田に、「どっちも偉いです」と答える毛利さん。
リュウグウという非常に軽い天体にはやぶさを送ることは、ある意味、日本のお家芸的なところがあるそうです。
一方、火星探査はアメリカだけで何度も行っています。実は、今回の探査機も以前行った探査の予備機だそうです。
「2007年にフェニックスという探査機が行っています。これは地球でいえばアラスカとかシベリアのような非常に寒いところに降りました。地表を削ったら霜のようなものが出てきた、みたいな探査をしたんですが、その予備機です。ですからフェニックスと形がよく似てるんです」
NASAはある程度、火星探査の技術が確立されているので、トータルなレベルでは日本はNASAに全然敵わないということです。
探査機が調べていること
今回の探査では何を調査しているのでしょうか?
火星と言えば火星人を浮かべる方もいるでしょうが、生物の探査はすでに1975年の探査機「バイキング」が行ったそうです。
今回の探査では、天体としての火星、岩石の塊としての火星が、どういう特性を持っているのかを調べるそうです。
毛利さん「そのために地震計を持って行ったんです。地球の場合も、中の方にはマントルがあって、その後に外核、内核があってみたことが言われるわけですが、これ見に行ったわけじゃないんですね。地震波の伝わり方を分析してわかった。火星も同様に調べます」
火星と言えば火星人を浮かべる方もいるでしょうが、生物の探査はすでに1975年の探査機「バイキング」が行ったそうです。
今回の探査では、天体としての火星、岩石の塊としての火星が、どういう特性を持っているのかを調べるそうです。
毛利さん「そのために地震計を持って行ったんです。地球の場合も、中の方にはマントルがあって、その後に外核、内核があってみたことが言われるわけですが、これ見に行ったわけじゃないんですね。地震波の伝わり方を分析してわかった。火星も同様に調べます」
地震計でリベンジ
地震計を持って行くのは、今回で2回目だそうです。
毛利さん「1回目はバイキングっていう最初の探査機で持って行きました。本体に取り付けだったんですが、強風で本体自体が揺らされてしまって、地震計としては失敗でした。何せ70年代の話で、初めてなので何もわからないんですね」
今回のリベンジは念には念を入れています。探査機から離れたところにロボットアームで地震計を設置。さらに風の影響がないようシールドします。
毛利さん「本体の探査機の方にも気象データが取れるようになっています。これは風が吹いた時のデータだから地震じゃないとか判定しながら、微弱な地震を調べようというのが今回の目的の一つです」
毛利さん「1回目はバイキングっていう最初の探査機で持って行きました。本体に取り付けだったんですが、強風で本体自体が揺らされてしまって、地震計としては失敗でした。何せ70年代の話で、初めてなので何もわからないんですね」
今回のリベンジは念には念を入れています。探査機から離れたところにロボットアームで地震計を設置。さらに風の影響がないようシールドします。
毛利さん「本体の探査機の方にも気象データが取れるようになっています。これは風が吹いた時のデータだから地震じゃないとか判定しながら、微弱な地震を調べようというのが今回の目的の一つです」
火星を知って地球を知る
地下から地熱がどれくらい上がってくるかを調べる熱流量計を持って行っているそうです。地中5メートルまで差し込んで、表面に近いところと深いところの温度差を計るんだそうです。
また、火星の表面の位置を正確に測ることによって、火星全体がどっち向きに動いてるのかという微妙な計測をすることも目的なんだとか。
毛利さん「とにかく火星を物体として捉えて、それが揺れるのか?熱はどうなっているのか?向きにはどういう揺らぎがあるのか?みたいなことを計るという地道な、でも本当に火星を理解する上では大事な初のミッションになるんです。
他の天体の成り立ちを比べるのは、地球を理解する上ではもちろんですが、太陽系全体を理解することにも大きく寄与すると思います。探査機はこれから2~3ヶ月、火星にいるんで気長に見守っていきたいと思います」
(尾関)
また、火星の表面の位置を正確に測ることによって、火星全体がどっち向きに動いてるのかという微妙な計測をすることも目的なんだとか。
毛利さん「とにかく火星を物体として捉えて、それが揺れるのか?熱はどうなっているのか?向きにはどういう揺らぎがあるのか?みたいなことを計るという地道な、でも本当に火星を理解する上では大事な初のミッションになるんです。
他の天体の成り立ちを比べるのは、地球を理解する上ではもちろんですが、太陽系全体を理解することにも大きく寄与すると思います。探査機はこれから2~3ヶ月、火星にいるんで気長に見守っていきたいと思います」
(尾関)
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